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親父の梅酒 -11月の星々-

一足早い大掃除。

埃の積もった保存棚の隅っこに琥珀色の瓶を見つけた。

親父が元気だった頃に仕込んだ梅酒。十年物か。

硬くなった蓋をこじ開けグラスに注ぐと、芳醇な香りが広がる。

熟成が進んでまろやかになった液体。

あの日止まった親父の時間は、こんなところで動き続けていた。

穏やかにゆっくりと。


140文字小説コンテスト「月々の星々」11月のお題は「保」でした。
今月もなかなか創作意欲が上がらず、締切ギリギリになりました。

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