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ヒトシ
2022年6月7日 14:02
ページをめくると、たくさんの書き込みに目を奪われる。几帳面な小さな文字で、余白を埋め尽くさんばかり。活字の本文が薄れてしまうほどの情報量だ。かつてこの本を手に歳時を過ごした人の経験と知恵が詰まっている。唐突に、この続きを僕が始めようと思った。新しい季節が今、動き出そうとしている。この作品は、小説家ほしおさなえさんの門下生を中心にした140文字小説サークル‘lotto140‘
何十年も薄暗い古書店の端っこにいた。年代物同士、老店主と余生を送るはずだった。ところがある日、一人の若者がわたしを取り上げると熱心に頁をめくり、町外れの古家へ連れて帰った。昔ながらのやり方で畑仕事を始めるんだそうだ。窓から森の薫風。止まっていた歳時が今、再び動き出そうとしている。この作品は、小説家ほしおさなえさんの門下生を中心にした140文字小説サークル‘lotto