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2024

21
2024年の作品たちです。
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記事一覧

ねぎの蜜花

ぱんぱんに膨らんだねぎ坊主 薄皮を脱いで弾けると 無数の黄色い蕊たちが 花火のように広が…

ヒトシ
8時間前
13

麦、出穂す。

三日続いた慈しみの雨に ぐいっと背中を押されたか 吾畠の麦が一気呵成に穂を出した 清々し…

ヒトシ
2週間前
24

穀雨の森

降り続く細やかな雨は 森を穏やかに潤しながら滴り落ちて 降り積もった腐葉の土に沁みてゆく…

ヒトシ
2週間前
20

漲るいのち

皐月の風に乗って降り立った 一粒の赤いプロペラが 小さく芽吹いたのは一昨年の春 そして三…

ヒトシ
3週間前
20

陰翳の舞姫

暖かな陽が野を優しさで包みこみ とりどりの花々が一斉に咲き乱れ 誰も彼もが我世の春を謳歌…

ヒトシ
1か月前
24

遅れ馳せの春

南の強い風に乗って 大急ぎでやってきた 遅れ馳せの春 待ちかねていた草花たちは 一気呵成…

ヒトシ
1か月前
21

春待ち、晴れ待ち

もう四日もお天道様が隠れ続けて 挙句に今日は冷たい雨 桜の蕾もまだまだ固く 暖冬はどうしたんじゃいと 誰にともなく悪態を吐く 芽吹いたばかりの苗たちも 寒さを避けて部屋の中へ 窓辺でずっと日差し待ち 軟風にも折れそうなか細い茎で 薄黄緑の双葉をもたげ 雨雲のそらへ背伸びする 勝てない相手は泣く子と地頭と空模様 この先もしばらくぐずつく予報に 幼苗達の行く末を案じる 薄寒の彼岸明け

探り探りの春仕事

暖かな冬だと思いきや 菜虫が蝶になる頃を迎えても 寒さがもたもたと居座って 桜の蕾もまだ…

ヒトシ
1か月前
22

手前味噌

土づくりと苗づくりの間の早春の日 食卓に欠かせない名脇役を仕込む 山の畠で仲間と共に育て…

ヒトシ
1か月前
23

大地の微睡み

巣篭もりの小さな生命が目覚める頃と 春の暦はいそいそと 心を吾畠に向かわせる けれどまだ…

ヒトシ
2か月前
27

生け花

秋に実った吾畠の大根たち 暖かかった冬のおかげか いつになく丸々と肥えて 一本で三本分の…

ヒトシ
2か月前
26

早春の薫り

畠の隅にある道具小屋の脇 無造作に掃き溜められた 落ち葉の蔭に芽吹いた蕗の薹 遠慮がちに…

ヒトシ
2か月前
31

耡い初め

月のこよみの正月もはや十日 日が随分と長くなり 夜明けもだんだん早くなり そこここに感じ…

ヒトシ
2か月前
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春の羽音

抜けるような青空を背に ふわふわと揺れる紅の梅 てんでに天を指す細枝の あちらこちらで蕾と花が さきを競って咲き誇る 忙しなく飛び回るのは この春初めての蜜蜂たち 生まれたての小さな体で せっせせっせと蜜を集める 少し強い南風に紛れても ブンブンと確かに響くのは 近づいてくる春の羽音