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2022

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2022年10月の記事一覧

世界の終わり、そして始まり。 -10月の星々②-

世界の終わり、そして始まり。 -10月の星々②-

丘の上から見える大きな川の向こう岸、

名前も知らない里山の頂に

いく筋もの雲が吸い込まれていく。

最も強そうな雲の筋に太陽が絡めとられる。

燦然と輝く無敵の星が、

ゆるゆると軌道を外れ山頂に不時着し、

瞬時に暗闇が世界を覆う。

翌朝、全く違う太陽が東の空に現れた。

世界はもう一度そこから始まる。

深まる秋 -10月の星々-

深まる秋 -10月の星々-

高度を下げた朝の太陽が窓から差し込み、

ファンヒーターがタイマーで動き出す。

日増しの寒さにフリースを重ね着する。

明日から霜月。

「畑の一年は仕舞仕事に始まる」と

古書店で手に入れた歳時記の余白に記された先人の知恵。

四季折々の恵みに感謝しながら御礼肥えを撒く。

三度目の冬を迎える畑にて。

今年の生姜

今年の生姜

梅雨明けが早すぎたり 

戻り梅雨が長かったり

酷い暑さと強い雨が変わりばんこに続いたり

気分屋できかんぼだった今年の天気

それでも秋は急に深まり

霜降る寒さは暦どおりに訪れて

そろそろ生姜の掘り出しのころ

適期を逃さぬようにと

痛めた膝を庇いつつそろりそろりと試し掘り

植え付け直後の雨続きもあって

無事育ったのは半分くらい

それも育ちはいまいちで

反省しきりの今年の出来栄え

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奇跡のようなこの空の下

奇跡のようなこの空の下

どんな理由でそうなるのか

どんな意味があるのか

そんなことは全然わからないけれど

こころが揺さぶられるほど

美しいと感じる夕景がそこにあって

その瞬間に巡り会えた偶然はきっと

わたしたちの道を

明るく照らしてくれる祝福なんだと

そう素直に思えたある日の夕暮れ

ひまわりの手渡しサービス

ひまわりの手渡しサービス

今日は朝から冷たい雨。

畑仕事を諦めて、のんびり過ごす午前10時。

ゆっくりと珈琲を淹れて、雨宿りカフェを開店。

香りを楽しみながらnote街を散策していると、

間もなく常連さんがお目見しました。

ありがたくも、お仲間にお声がけいただいたようで、

ここ数日は団体さんでご来店いただいております。

いつもお皿からのセルフサービスでは味気ないので、

今朝は手渡しひまわりをお楽しみいただき

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草むらの秋

草むらの秋

ひんやりとした風が渡る寒露の手前

あちらこちらの野の草むらが

実りの重さに首を垂れて

啄む雀が喧しく踊る

夏の光を集め続けた緑の葉

秋虫たちに齧られて

草臥れ萎れ穴だらけ

賑やかだった草花の舞台は終演間近

残り少ない蜜床を探して

ミツバチたちが飛び巡る

やがて来る眠りの季節のその前に

今しばし続く

小さな小さないのちの躍動

虫喰いを悔いる白菜畑

虫喰いを悔いる白菜畑

ただいま絶賛生育中の白菜

大きく広げた葉でたっぷりと陽を集め

真ん中にくしゅくしゅの柔葉を丸める

幾重にも重なった大きな葉っぱは

虫たちにとっても大のご馳走

どの野菜よりもたくさんの虫を集める

育苗初期の虫対策をしくじって

防虫ネットにわずかな隙間

数匹の侵入を許したが最後

葉影のどこかで卵を産んで

孵った幼虫が這い回り

葉のあちこちを喰い荒らす惨状に

こぼれた水は盥には戻

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