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2022

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2022年2月の記事一覧

鍬入れ

鍬入れ

雨水も超えての大安吉日

ようやく春めいてきたこの日を選んで

2022年の初鍬を入れる

厳しく長いこの冬を超えた土は

日々の降霜の凍て溶けでゆるみ

鍬の刃をすすすと受け入れる

いつもは手を焼く根深の草も

ここぞとばかりに引き抜いて

堆肥を施し天地替え

五度折り返してしっかり耡い

畠の恵みに感謝を込めて

この一年の豊穣を祈る

寒ちぢみした身体が火照り

ふっくらと漂う土の匂いに

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菊芋の切り干し作り

菊芋の切り干し作り

たった数株 軽い気持ちで植えた菊芋が

処理しきれないほどの大豊作

長い冬じゅう 都度掘り出して

シャキシャキ食感を満喫したけど

まだまだ大勢 畑の土中で出番待ち

放置したなら いずれ芽吹いて一大事

来期の準備もそろぼちゆえに

一念発起でほっくり返し 在庫一掃キャンペーン 

次から次へ掘り出して 洗って切って干しまくる

味の決め手の乾かし加減は 

春めいてきたおてんとさまと

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土の鈴 -2月の星々-

土の鈴 -2月の星々-

隣町の民芸品店で見つけた小さな土鈴2つ。

シジュウカラとヤマガラ。

まあるい形と丁寧な絵付け。

しばらく手のひらで愛でたあと、窓辺の飾り棚に並べて寝た。

翌朝、日差しが差し込むと、

その子らは仲間たちに混じって空に飛び立ち、

あれよと思う間に森の中に消えていった。

私に柔らかな鈴の音を残して。

新しい日課

新しい日課

10日ほど前。

その朝、一羽のヤマガラがガラス窓に向かって飛んできて

もしもし、餌の時間だよ、とまるでおねだりするように

ホバーリングしながらそう言った。

そんなに欲しいなら、この手のひらから持っていきなさい、と

わたしはちょっといじわるをした。

人懐っこいとはいっても野生の鳥

そう簡単に警戒心を解きはしないだろうと思っていたのに

その子はすすっと止まり木を渡って近づくと

手のひ

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メンバー選定

メンバー選定

2月の恒例行事は

春夏野菜のラインナップを検討する作戦会議

畑の見取り図と品種の名札を用意して

昨シーズンの成績と今年の期待を考慮しつつ

先発メンバーとポジションを決める

もっと欲しかったネギとニンジンを増やして

ゴボウとキクイモは今年はスタメン落ちかな

お隣さんを真似てオクラをラインナップに追加

昨年不作のトマトとナスはリベンジを期して

主力組は連作障害を考慮してポジションチェ

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雪の日の森

雪の日の森

明け方から降り続く雪の真白が

景色に溶け込んでいた木々の枝に

くっきりとした輪郭線を引いていく

風の音もなく小鳥たちの姿もなく

ただ白に閉じ込められた静寂の世界

細い枝先が、時折弾けるように跳ねて

重みを振り払う小さな旋律だけが

影絵芝居のように生命の躍動を映す

暖房の火に温もりながら眺める

いつもの森のいつもと違う表情

行く冬の名残りを惜しむひととき

何もしない巣篭もりの一

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目標は2040年

目標は2040年

冬至の頃にいただいた柚子の黄色い実

良い香りをたっぷりと堪能し

取り出した種子をひと粒ふた粒

水洗いして日当たりの良い窓辺の鉢

水をやったりやらなかったりで

気長に冬越しを決め込んでいたら

窓越しの暖かな日差しに誘われて

緑の双葉がニョキっと芽を出した

柚子の大馬鹿十八年とは真実か否か

さて、のんびりと試してみますかね

さて、そろそろ。

さて、そろそろ。

節分は季節の分岐点

北風小僧は健在だけど

紅梅の蕾のほころびと

畦の野花の健気な姿に

そこはかとなく春の気配

教科書と5年手帳を机に広げ

コーヒーと羊羹をお供に陽だまりの午後

早春の仕事を復習いながら

今年の畑に思いを馳せる

まずは深くしっかり耡うべし

堆肥は多過ぎず少な過ぎず

何をどれだけ植えようかと作付けを描き

種苗店のカタログを捲る

ふかふかの畑に青青と育った野菜を

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おすそ分けの紅梅

おすそ分けの紅梅

週末のお気に入りの散歩道

憧れの大きな畑地を抜けて出る小さな天神様

質素なお社の入り口には数本の紅梅

ふっと見つけた

剪定を済ませたばかりの梅の木に留まった

払い忘れの小枝たち

寸時、逡巡したけれど

たくさんの蕾を捨ておけず

いただいて帰りますと許しを乞うて

我が家の窓辺の陽だまりで切り花に

立春が間近になった新しい月の初めの今日

一輪、二輪とほころんで

鮮やかな紅の花がぱ

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