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2022

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2022年1月の記事一覧

もうすぐ春ですか

もうすぐ春ですか

今年の冬は寒い日が多くって

また週末は寒波が来ると言ってるし。

なんとなく夜明けが早くなって

ほんのちょっと日暮れが遅くなったくらいしか

季節の進み具合いは感じられないんだけど、わたしには。

それでも南向きの畦の陽だまりにはもう

小さな野の花が咲いていて

踊るように背伸びをして

精いっぱいに陽の光を浴びていたのですよ。

そういえば、もうすぐ立春。

もうすぐ春なのですね。

手付かずの雑木の森

手付かずの雑木の森

緩やかな里山の遊歩道と隣り合わせの尾根筋で

手付かずの雑木の森と出会った

聳え立つ逞しい木々の冬枯れの枝を透かして

暖かな陽射しがたっぷりと差し込み

幾年も降り積んだ腐葉土がふかふかと香る

倒れて朽ちた大樹の上には美しい緑の苔が蒸して

伽藍洞になった幹には冬越しの虫たちが宿る

人々がこの里山を忘れ去っても

力強く繋がれる小さくも確かな命のバトンは

連綿と続いていくのだろう

手付

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地球儀とアヒル隊長

地球儀とアヒル隊長

理不尽なことがあったとき

思い通りにいかないとき

その人はパソコンのそばにある

地球儀に乗ったアヒルを眺めるんだそうな

「地球規模で考えたならあなたのそのイライラは

取るに足らない些細なことさ」と

アヒル隊長が教えてくれるんだって。

なんて素敵なおまじない

みんながみんな

そんなふうに考えられたら

世の中はもっと

幸せと平和にあふれそうだよ

坂道の地蔵さま

坂道の地蔵さま

河原に続く道を探して いつもと違う辻を左へ

民家の庭先を抜けた先 ぽっかり空いた異空間

陽当たりの良い斜面に 蕾を赤く膨らませた梅

段々の坂を登った先は 枯葉を敷いた春待ち畑 

その懐に祀られたのは 柔和な顔した地蔵さま 

揃いの赤いおべべ着て 平穏無事な日日を願う

行く人来る人隔てなく 春夏秋冬の朝な夕なに 

お見護りくださる姿の 包み込むような暖かさ

手袋を取り帽子を脱いで 膝

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光の糸 -1月の星々-

光の糸 -1月の星々-

その桂の大樹は奥まった社にあり

幾本かの太い幹が鬩ぎ合いながら

はるか高い空へと聳え立っている。

大寒の強い北風が冬枯れの枝枝を

轟々と揺さぶりながら吹き抜ける。

一条の光が幹の根本の隙間を貫き

鮮烈に迸る谷川の水面を照らした。

まるで光年の距離と悠久の年輪と

刹那の流れを光の糸で結ぶように。

里山の馬頭観音

里山の馬頭観音

木洩れ陽溢れる里山の散策道を行く。

峠にひっそりと佇む小さな馬頭観音。

昔、人々は馬を労いこの祠を建てた。

馬は必死に背負ったのだろう。

村からは木炭を、穀物を。

町からは魚を、塩を、娘の衣を。

存外きつい坂道に息を切らし

往時の馬の苦労はさぞやと感嘆しつつ

リュックサックのお茶で喉を潤す。

背負ったものの重さの違いに苦笑いしながら。

初春をことほぎながら

初春をことほぎながら

森の入口の枯葉を敷き詰めた小さな庭先

野鳥の啄ばみを楽しめる流木の餌台の上

常連のヤマガラやシジュウカラに混じって

ようやく訪れた新顔の小鳥は美しい目白

鶯色の小さな身体 目元の白いアクセント

チッチッと微かな地鳴きを響かせながら

ふくふくとした愛らしい身体で枝を渡り

甘いもの好きの彼のために置いた蜜柑を

器用にくちばしの先でほじくって食べる

木漏れ日の窓辺で過ごす穏やかなこの時

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雪の初詣

雪の初詣

密を避けてと日延べした初詣

気がつけば残りわずかの松内

漸く訪れた氏神さまは雪の中

境内の空気は凛と澄み切って

白く化粧した玉砂利の参道は

巷のあらゆる音を吸い寄せて

いつにもましての静寂のなか

茅の輪をくぐり柏手を打てば

正月気分が一気に吹き飛んで

新しい年の活力が満ちてくる

今年も、丁寧に一歩一歩ずつ

神さま、何卒どうかご加護を

よろしく、お願いいたします