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「バティモン5 望まれざる者」鑑賞後メモ
かつて貧しい市民たちがその手で封建的な体制を打ち崩した革命の歴史を持つフランスの現状にはどのような側面があるのか、この作品によって非常に繊細に描出されている。パリ郊外の一画における行政と市民の対立の構図は、まず端的に旧世紀の封建的社会に逆戻りしているかのような印象を強く我々に抱かせるが、武装しているのは常に行政側の特殊部隊の人間たちだけであり、バティモン5と呼ばれる主に移民系の貧しい人々が多く暮
もっとみる「カード・カウンター」鑑賞後メモ
「同じことの繰り返しだ。どこかへ向かっている気が全くしない」と話すカーク(タイ・シェリダン)に対して、「ああ。ひたすら回ってるんだ。納得いくまでな」と返す主人公のウィリアム・テル(オスカー・アイザック)らふたりの劇中におけるこのやり取りに今作が語ろうとしていることが端的にまとめられているように思えた。ブラックジャックや拷問というモチーフを通して語られるのは、人間があらゆる物事において「負けた」と
もっとみる「デューン 砂の惑星PART 2」鑑賞後メモ
IMAXの巨大なスクリーンにとてつもなく巨大なものが現れたり動いている様子が映し出され、さらに緻密に構築されたサウンドデザインの音響や劇伴が全身を貫いていく心地よさ。「デューン」自体は非常に情報量の多いSF小説ではあるものの、ドゥニ・ヴィルヌーヴによるそれは映画鑑賞の快楽性を押し出す方向性に振り切っている。個人的には少し拍子抜けするくらいに物語自体はシンプルに見えるようにまとめられているのは、や
もっとみる「エクソシスト 信じる者」鑑賞後メモ
アメリカという国を構成している根幹的な思想として存在するキリスト教的なマインドを解体していくことを今作は試みているというか、より平たく言えばアメリカに暮らす白人中年男性による自己批判的なトーンが本編を覆っている。それぞれの人物造形が図式的すぎるきらいはあるものの言及している事柄自体は非常にシリアスで根深い問題だ。
主人公のヴィクター(レスリー・オドム・Jr.)は過去の経験により宗教に対しては