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雨の日のメイク時間

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メイクの力を私は知っている。

昨日は朝目が覚めると、外から聞こえる音で「ああ、雨だ。」とわかった。6時半の外の空気は澄んでいながらも、地球の重力が湿度を思いきり引き寄せたみたいで、重心が少し下がったようになんだか重い。天気予報をチェックすると、1日雨の予報だ。沖縄の天気は変わりやすく、天気予報は当てにならないという認識が常識になっているのだけれど、雨に関しては、1日通しての天気予報ではなく5分ごとの雲の動きを見ると、まんざら外れることもないように感じる。

個人的にはとても雨が好きだ。嵐のように雷が伴って窓ガラスに打ちつけてくるような激しい雨でなければ、しっとりさらさら降る雨も、空気を洗い流すようにざーっと降る雨も、どちらも心地がいい。

雨の日はピーカンの晴れに比べるとやはり行動は制限されるし、できることも限られる。もちろん外に行くのもいつもよりは腰が重くなるし、家にいても洗濯モノも干せないので洗うこともできなければ、雨のおかげでベランダの植物や野菜に水をあげる必要もない。つまり、おうちの中での時間が増える、ということだ。

雨の日の時間の過ごし方ほど贅沢なものはないと思っている。なんだか雨の神様が、今日はじっくり自分のために時間を使いたまえとお許しをくださったような。

そんなお許しを朝からいただけてウキウキが止まらない私は、何をしようかと考えた結果、思いっきり丁寧にメイクをすることに。

お休みの日にちゃんとメイクをすることは今はほぼなく、外出したり人に会ったりするときにメイクをするだけなのだけれど、ヘアメイクを10年以上仕事にしている身として、メイクがどれだけ楽しいモノかは言うまでもなく体が知っている。ただ、いつもは10分くらいでサクッと終わらせるメイクを、30分ほど時間をかけてゆっくり、ゆっくり進めてみる。

スキンケアから時間をかけて整えて、しっかりと肌を作り込む。いつもは自分専用のメイク道具を使ってメイクをするのだけれど、お客様にメイクするように、お客様のヘアメイクのときに使うファンデーションやコンシーラー、アイシャドウを仕事の時のように引っ張り出して、自分自身に施してみる。濃いメイクは好みではないので、時間はかけてもあくまでナチュラルに。いつもは10分で出来上がる見慣れた自分の顔だけれど、パチっ、パチっとパズルを組み立てるようにゆっくりと表情を持っていく。なんだか緩んでぼやけていた顔が、着物の帯をキュッと最後に締めたときのように引き締まるのを感じる。

雨の日の時間を、たっぷりとメイクに使う。自分の肌の呼吸を感じて、化粧品の香りに浸って、潤う質感を乗せて、微細な表情を作る。なんて贅沢で豊かな時間なんだろう。ついでにネイルも塗り直しちゃったりして。

誰に見せるわけでもない、自分のためだけのメイクの時間。この朝の贅沢な時間が、しとしとと雨が降り続ける1日をさらに彩り豊かな1日にしてくれたことは言うまでもない。

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