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ホワイト化する社会〜えっ社長って経費使い放題じゃなかったの?〜

最近、経営者の経費の私的流用のニュースが多くなってきました。

いよいよ、ホワイト化する社会が加速しているのでしょう。みんな清廉潔白でなければならない社会です。

決まりはいかなることがあっても、守らなければならない。なぜなら、決まりだから。正しいんだけど、決まりを決まりだから守るということになっていくと、少し危険なんだよなと正直思ってます。

先に言っておきますが、経費の私的流用をした方を養護するつもりは全くありませんが、それもだめなのーという感じ。まあ、だめなんですけど。

昭和の時代、儲かっている会社は、バンバン経費を遣いました。メインは接待交際費です。会社の経費を飲み代でバンバン遣う。さすがに昭和の時代に働いたことはないんですけど、銀座とか赤坂とか、地方だと博多とかの夜ののお店は、会社の経費で飲める人たちで発展したと聞いています。

博多には、たくさん支社があって、支社の人が、東京本社から来た人を接待する、といっても、今想像するようなヘコヘコした上下関係というより、会社の金で今日はぱあーっとやっちゃいましょうよーという感じだったんじゃないかなと思うんです。

厳密に、それが直接的に仕事につながっているかどうか、まあ、遠い意味では、一緒にどんちゃん騒ぎして、絆が強くなって=仲良くなって、ズブズブになるから、仕事が進むとかはあると思うんですが、まあ、殆どの場合、遺書に遊んでるだけだったんだと思います。そこに、ホステス必要?本当に仕事ですか?だったら、ちゃんとレポートしてください。事前稟議です。

その日の乗りで次の店行って、じゃ、ここはウチで持ちますよ、みたいなこともだめなの?で感じですが、まあ、そうなんでしょうね。

管理職とか、役員とかの役職者になると、決裁をする立場になります。そうすると、当然、接待交際費も決裁できる。それで、飲みに行くわけですが、(もちろん仕事としてですよ)給料はそんなに増えないけど、経費はつかっていいよ、みたいなところあったんじゃないかなと思うんです。オーナー会社はもっとそうなんですけど、オーナー会社は、株主も自分なんで、税務上の経費として認められるか別にして、もっとずさんなところが多いとは思いますが、サラリーマン役員とか役職者なんか、接待交際費枠は、ある程度自由に使っていいお金みたいな認識が、会社側も雇われてる側にも暗黙の了解であった気がするんですよね。

アメリカの大企業とかだと、役員とか社長とかの給料が桁違いで、社員も日本に比べたらいっぱいもらっているので、日本で言う接待交際費みたいなのは、自腹でやれよと。もちろん、食事のお金とかはでるけど、女の子がいるようなお店の領収書なんか落ちません。経費で落とそうとしたら、下手すると解雇です。でも、あれくらい給料もらってたら、そりゃ、自腹でいいでしょう。

日本の給料は、それに比べると異常に安い。その代わりに、女の子のいる店の領収書がバンバン落とせるわけです。取引先と一緒に行けば全く問題ない。僕も、取引先大手企業のサラリーマン役員の方に食事の後に女性のいるお店に連れて行っていただいたことが無数にありますが、彼が言っていたのが、自分は、月間これだけ会社に利益を与えているけど、役員報酬は、数千万円で1億円までは出せないといわれている。その代わり経費は使っていいといわれていると。彼の月の経費は、500−600万円でした。夜のお店に一軒いくと、だいたい30万円くらいは払っていました。一軒目の食事は、お酒を入れても、1人5万円くらい、2人で10万円くらいなのに、女の子とちょっとお酒飲むだけで、1人15万円。(経費でなくて、給料からの手取りの中から自腹なら、税率50%として、給料30万円分です)

でも、そういうものだったんだと思います。まあ、頑張ってるだから、ちゃんと利益出してるんだからいいじゃないとも思うんですが、もはや、世間様は許しちゃくれないんですよね。

私達がスーパーで1円単位で切り詰めてるのに、1人15万なんて、キーッって感じでしょうか。

この方のケースでは、僕は取引先の社長なので、会社の経費としても認められるわけですが、同じ金額使うなら、他のことに使っても会社の負担は一緒でしょって考えちゃう人が多いのも事実。正直、経営側から見ると、この経費引いても十分な儲けだしてるなら、構わないんですけどね。

もちろん、経費の私的流用はダメですよ。(しつこい)

他の記事でも言及しましたが、誰もが知っている上場会社の税務調査で、たくさんの風俗店の経費が、接待交際費で申請されていたことが判明して大問題になったこともありました。領収書は、レストランになってるんですが、税務署は、このレストランは、風俗店Aが出すダミー会社の領収書だという対応表を持っていたという落ちです。実際、取引先と行っていたのかどうかは知りませんが、取引先と行っていたら、OKだったんですかね?

大手レンズメーカーのタムロンの元会長、元社長の経費の私的流用も、インターネット広告代理店のセプテーニ・ホールディングスの社長の経費の私的流用もそんなことの延長線だったんじゃないかなと思います。

正直、現場のサラリーマンでも、経費の私的流用なんて、多少あるんだろななんてことは、上司も経営者も暗黙の了解で、要は、程度の問題なんだよっていうのが、平成まで。でも、ホントはもちろん、ちょっとでも、ダメなものはダメなんです。はい。

となると、正攻法は、給料をその分上げるから、そういうのは自腹でやってねという話になるんですけど、例えば、毎月そういう経費を100万使ってるとすると、給与の手取りで同額渡そうとすると、税金考えるだけで、倍は渡さなければならないんですよね。給料を月に200万円増やさなきゃいけない。そういう理由もあって、だったら、経費枠渡すから、ある程度の範囲でうまくやってよ、ね。という企業側の事情もあったんですよね。きっと。誰も表立っては言えないけど。

なんとも、生きづらい世の中ですね。

ただ、100%株主で社員ゼロの1人会社オーナー社長は、税務署に、これは、経費として認められないので、損金不算入っていうのはありますが、会社のお金は使い放題です。と思って、念の為調べてみたら、社長が100%株主で、唯一の役員が社長で、社員ゼロの会社で、会社のお金を社長が私的流用した場合、民事上は、株主総会で自分の損害賠償義務を免除できますが、刑事としては、業務上横領罪に問われる可能性があるとのこと。

マイクロ法人オーナー社長のみなさまも、気をつけてくださいね。

もう一度言っておきますが、経費の私的流用をした方を養護するつもりは全くありませんのであしからず。