原点

仕事辞めようかな?

緊張すると腰が痛む。耳に幕が張ったような違和感。一瞬だけど強烈なめまい。原因は仕事のストレス。このままだといつか壊われてしまう。

そんな折り、ゴールデンウィークで帰省中の4つ上の兄が「いつでも話をしに来い。」「二人で話せば何か見つかるかもしれない。」と言った。

翌朝、まだパジャマ姿の兄に「準備して。出掛けるよ。」と声をかけ、私と兄が幼少期思春期を過ごした場所を廻ることにした。

地元の小、中学校、祖父母の家と近くの駅、祖父母の墓参り、通い詰めたショッピングセンター、片道2時間かけて通った高校。兄と話をしながら1日がかりで廻った。

最後に訪れて30年以上経つ場所もあったけど、私と兄の思い出は間違いなく「そこ」にあった。

祖父母の家に行くために兄に手を引かれて汽車に乗った。思えばあの日からずっと兄の背中を追いかけてきた。中学、高校に入っていつも機嫌が悪い兄。嫌いだった。それでも兄を追って都会の高校、大学に進学した。お互い就職して、家を出て、もう二度と兄と話すことはないと思っていた。

そうだ。私は兄のようになりたかったんだ。

迷う私に兄は「何がいいのかは分からない。けど健康が一番大切。体に症状が出てるのであればそういう(辞める)時だよ。」と言ってくれた。

それでも迷う私は、心の中で、兄に手を引かれて汽車を降りた幼い自分に問いかけてみる。すると「難しいことは良く分からないや。でもすごいね。これからも頑張ってね。」と無責任で無邪気な返事が帰ってきた。

う~ん…

じゃあ、これまでの功績に誇りと自信を持って、これからの人生を精一杯生きてみようかな。

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