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ウサギの欺瞞


この本を買いました。

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著者である武田砂鉄さんのことは、ずっとフォローしていました。
『紋切型社会』は評判になった時に読んでいたし、『コンプレックス文化論』は、たまに読み返したくなるのでKindleに入れています。

『コンプレックス文化論』の天然パーマ、略して天パについての項は、生まれてこの方、超のつくほどの直毛の私は、逆に直毛コンプレックスについて投げ返したいと思いました。

高校時代、女友達に頭をぺちぺち叩かれ、「瞳ちゃん、すぐ頭やな!」(髪が細くボリュームがないので、頭を叩いてもクッションがなく、手がすぐ頭に到達する)と言われていたことは、大阪の女子高生らしいエピソードとしても書いておきたい。

ちなみに、当時流行っていたポンパドール(頭頂部の髪をふわっと結えてピンで止める女版リーゼント)も決まらない。
その少し前の、ケープで固定する工藤静香型の前髪も決まらない。ケープという整髪料に何度もトライしたけれども、半日後には確実に敗北する人生を送ってきました。アップ・スタイルなんて、もってのほか。

42歳になった今、髪が加齢して超直毛から少しゴワついてきて、少しはマシになりましたが、相変わらずヘア・セットは諦めています。

それよりも大量の白髪の方が気になるのですが、先日共演した憧れの先輩・橋本一子さんが、楽屋で「いきなりカーラ・ブレイみたいな髪型にならないかしら」と、私が10年ぐらい口癖のように言ってきたことをふと呟かれて、いつまでも素敵な御髪でらっしゃる一子さんでも、同じようなことを考えられるのだなあと思いましたよ。



話が逸れました。
いや、まだ本題には入りません。

武田砂鉄さんの文章はその2冊と『ヘドバン』の連載や寄稿で読んでいましたが、「あっ」と思ったのが、ヘドバンがスピンオフ的に出した『月刊 伊藤政則(仮)』という本への寄稿です。


こちらは、僭越ながら私もアンケートの末席に名を連ねておりますが、伊藤政則本に自分の名前が載るというこの高揚感、わかりますか。端的にやばいんですよ。すごいことなんですよ。

NHORHMでは、マーティ・フリードマンさんや高崎晃さん、聖飢魔IIのデーモン閣下にまで推薦コメントを頂き、「残る頂上は伊藤政則ただ一人」と内心思っていましたが、コロナでバンドが活動休止を強いられ、ドラマーも演奏活動を休養することになったので、無期限休止状態。ドラマーの復活を待っているところですが、幸いなことに、伊藤政則は年をとらない。まだチャンスは十分ある。

『月刊 伊藤政則(仮)』には、砂鉄さんがコラムを寄せており、今まで読んできたものは、いずれも非常にしつこく面倒臭い(褒め)文章でしたが、どことなくマグマのようにうごめく熱量が見え隠れする、その根幹が、ほかでもない伊藤政則だと発覚。同じ世代の政則チルドレンだったんだと、腹に落ちました。とても納得した。


そろそろ、ウサギの欺瞞に到達しますかね。
まだですね。

私はTBSラジオリスナーでもあり、『アシタノカレッジ』は、武田砂鉄さんの金曜は、大体毎週聴いています。
ミュージシャンという職業柄、週末の晩は大抵仕事があるのですが、TBSラジオ公式でYouTubeに番組全体が上がっているので、放送時間後にアクセスしやすい。

ゲストへのインタビューは毎回面白く、リズム感が独特。
曲で言うと「Sad But True」みたいな感じです。
アフタートークの澤田大樹記者とのやりとりも楽しく、普段からニュースを聞くたびに思っている「まじで日本心配なんだけど」という不安が、ラジオの向こうと、またそのリスナーと共有できていると思うと、少しだけ安心します。


そろそろ本題にいきます。
ウサギです。

『べつに怒ってない』の書影が出た時、「あっ」と思いましたよ。
ウサギです。

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知っている方も多いですが、私も20年近く、サインにウサギを添えたり添えなかったりしています。
我ながら、軽薄な絵を書いているなと、うっすらと感じてはいました。
私は基本的に辛気臭い音楽をしており、誰にでも笑顔を振りまく人間でもないし、なんならウサギだって別に好きじゃない。
同じマンションにウサギを飼っていた同業者夫婦が住んでいた時には、彼らが家を空ける時に餌やりに行ったりしていましたが、ウサギというやつは結構凶暴。それに、私はアレルギー持ちなので、目鼻がすぐやられる。
直接触れればキック、触れなくても空気を介して目鼻が攻撃されるので、明らかに私はウサギに向いていない。
それなのに、サインの片隅にウサギを書いている。

書影を見た時に、
「武田砂鉄が同じことをしている… しかも滅茶苦茶軽薄なウサギだ…」
と、同じようなことをする人がメタラーの中にいたことに驚き、一瞬のうちに、自分のウサギを振り返り、私のサインにウサギを添える行為は実は大きな欺瞞であったのだと悟りました。
もう一度言います、ウサギは特に好きでもなんでもない。

本の表紙。それは作品の顔。
CDの空きスペースにするサインなどとは、比べ物になりません。
そんな場所に、私のウサギを上回る軽薄なヤバいウサギがデカデカと載っている。

もう一度。

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私のウサギはこちら

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自分の描くウサギについて考えました。
見ておわかりのとおり、私の絵の方が時間がかかっていないです。
私の方が手抜きです。曲線ばかりで角がない。胴体もない。
2秒以内で書ける。マーカーのかすれ具合でスピード感がわかって頂けるかと。
たまに、吹き出しをつけて「イエーイ」と言わせることもあります。

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砂鉄さんのウサギは角がある。目の点だって、丁寧にマーカーを下ろさないとこんな風にならないでしょう。おまけに服も着ている。隣には花も咲いている。

それに比べて私のウサギ。

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手抜きだ。
なんだかとても反省しました。


本は、Twitterでサイン本の情報を見て、7月16日の朝10時に本屋に行き、無事購入。本当は7月19日発売のはずです。本の発売日って、CDより厳密じゃなかったでしたっけ。雑誌だけなのかな。

サインなしの普通の本と、ビニールで閉じられたサイン本が並べられており、中学校の時に聞いた〈ビニ本〉という言葉を一瞬思い出しながら、レジへ。
ご丁寧に、レジで「サインの確認をいたします」と、ビニールを取ってサインを確認させてくれたのですが、ちゃんと直筆のウサギがonされており、サイン本を手に入れることができて良かったなあと思いました。
出版社がこのウサギの缶バッジをツイートしていたのですが、イベントのノベルティみたい。一個1000円でも買うので売って下さい。

直筆サインの写真は、勿体無いので載せません。


今読んでおりますが、この前の『マチズモを削り取れ』は、非常に面白くて一気読みしたのですが、『べつに怒ってない』は、心底どうでもいい話が続いており、一気に読むものではないなと思って、少し休憩しています。
この、心底どうでもいい話を面白く読ませる、というのが、実力です。
我々がブルースを演奏するようなものに近いかもしれません。ブルースは全くもってどうでもよくないのですが、ほぼ更地をどれだけの演奏力で組み立てていくことができるか、という意味で、力を試される曲です。


自分のウサギについて、これからどうしようか、少し考えています。
「ウサギ入りで」と言われれば書きますが、しばらく考える時間を下さい。


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7/24追記

西荻窪の今野書店で半日店長をされていたので、缶バッジ目当てで行ってきました。どうしても缶バッジが欲しくて、2冊目を購入して、無事ゲット。
うれしい。
上に、「一個1000円でも買う」と書きましたが、結局一個1760円(本1冊)でゲットしたのがこちら。

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うれしい。
サインも順番にしてらっしゃって、私の整理番号は86番だったかな。
自分もサインする側と考えると、うわーこれは大変だなと思いました。
音楽アーティストだったら、普通、一つのイベントで連続2時間滞在で50人以上サインとか、なかなかさせないです。手え壊れるし。
ので、とっとと撤収しました。ご苦労様でした。


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