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成長とは、同じ悩みをまた新しい角度で見れること。2年半のコーチングセッション大公開【コーチ視点】

こんにちは。松浦瞳です。

先日、2年半もの間、月に一度の頻度で継続していたマイコーチとのセッションが完了しました。前回のnoteでは、「2年半のコーチングセッション大公開」と題して、【クライアント編】つまり私自身から、2年半のコーチングを受けて起きた変化を振り返りました。

続く今回の【コーチ編】では、2年半コーチングセッションをご一緒してくれたコーチ・草さんに、私の変化をどんなふうな気持ちで見届けてくれていたのか、お話を聞きにいった記録をお届けします。

多くの方の人生の変容に伴走してきた草さんの、コーチとしての姿勢やこだわりが伝わってきて、コーチとしての腕を磨いていきたい方にも参考になる内容かと思います。

※コーチングセッションは、守秘義務を厳守のもとおこなわれます。今回のnoteは、クライアントである私自身がコーチングセッションの内容の開示を希望し、コーチの草さんにもご了承いただいた上で実施しています。

awai 佐藤 草(さとう そう)
コーチ・エィにてビジネスコーチ・コーチングスキルのトレーナーとして従事し、フリーランスへ。新規事業の立ち上げや人材育成等に携わった後、渡欧。人の意識や「人と人のあいだにあるもの」について探究と実践を深める。オランダ人のパートナーとの2年間の世界の旅を経て2023年3月より日本で古民家のリノベーションを開始。
専門領域:人生の変容期および「いのちを生きる」ことに向けた伴走
最新の探究テーマ:意識と声と言葉・インナーコンディショニング
国際コーチング連盟認定プロフェッショナルコーチ(PCC)
Link: https://lit.link/awaisou


苦しみの先にある何かを一緒に見たいと思った


——私にとって草さんとのセッションは、本当に心の支えだったんです。私のように人生の中でも大きな変容が起きているクライアントさんに伴走する際、草さんはどんなことを意識していますか?

コーチングってどちらかというと目標に向かってスピードを早めていくイメージがあるかもしれませんが、変容の時期というのは、私はどちらかというとスピードを緩める時期だと思っています。

これまで自分が握ってきた正解や価値観に揺らぎが出てきて、どっちに向かえばいいのかわからなくなる。そういう時は、自分が心から大切だと思えるものが自然と見えてくるまでじっくりと時間をかける必要があります。

瞳さんの場合は「成果を出さなければ自分には価値がない」という、これまでの人生で築いてきた価値観の中に「いや、もしかしたらそうじゃないのかもしれない」と新しい価値観が芽生える兆しが初回のセッションで感じられました。

2つの価値観の狭間ですごく葛藤していたと思います。でも、それと同時に瞳さんの苦しさの中に輝きや強さのようなものをすごく感じて。瞳さんのエネルギーがのびのびと開花する瞬間を見てみたいと、ただただ純粋に思っていましたね。


「わたし」を味わいきって見えた社会とのつながり


——この2年半のセッションの中で、草さんが特に印象に残っている回はありますか?

瞳さんも前回のnoteに書かれていましたが、終盤にあたるセッションで「私がいま抱えている苦しみや葛藤は社会の縮図なんだ」と言っていたのがすごく印象に残っています。

「私や組織がいま抱えている苦しみや葛藤は、社会の縮図であって、どこか別の場所でも起きているはず。だから、私1人の話として済ませたくない」

この言葉を話している瞳さんから、ものすごく強さを感じたんですよね。「この葛藤から逃げてしまいたい」とまで言っていた瞳さんが、すごい強さを持って「誰かのためにも乗り越えたい」と伝えてくれたんです。瞳さんの本当の願いが見えた瞬間だったなあと、感動してしまいましたね。

——この回を機に、常に自分の方を向いていた矢印が「会社のメンバー」や「社会」に向くようになったなあと、私も思います。ただ、なぜこのタイミングで視点が「わたし」から「わたしたち」に変わったのか、実は自分でもよくわからないんです。

私の見解としては、「わたし」を味わいきったからではないかなと。経営者やリーダーは、社会的な視点を持つことが大切だと言われがちですが、「じゃあ持ってください」と言われても、無理があると私は思うんです。

一旦、自分は何を想い、どんな人間であるのか、まずは「わたし」を味わい切ることで初めて、他者や社会に目を向けられるようになるんじゃないかなと。

——初回の方のセッションでもビジョンらしきものは語っているのですが、いま見るとちょっと恥ずかしいんです...(笑)どこか見栄を張っている感じがして。いまは、自分の気持ちに従った行動が社会をより良くすることにつながっていると感じられるようになったので、見栄を張る必要がなくなりました。

友人でも同僚でもない。コーチとクライアントの不思議な関係性


——経営者としての悩みに関しては周囲に相談しづらかったので、草さんがフラットに話を聞いてくれたことに救われました。

私もコーチングをやっている人間なので、THE COACHの考え方にはすごく共感するし、「何か役に立てないか」と考えてしまいそうになる瞬間もありました。ただ、私にとって瞳さんは「THE COACHのひと」である前に、「松浦瞳さん」という一人の人なんですよね。

一緒に仕事をしたり役割を担ってしまうと、無意識のうちに話せないことが出てきてしまうものなんです。私はコーチとして、クライアントさんが自分の人生や命を思いっきり生きれるように後押しする存在です。フラットな目線で瞳さんを応援できるように、一定の距離を取ることはすごく大切にしていました。

——心から私の人生を応援してくれているからこそ、一定の距離を保ちつづける。友人でも家族でもない、仕事仲間でもないけれど、なんでも話すことができるコーチとクライアントというのは、改めて不思議な関係ですよね。

もし会社を通じてのコーチングセッションの提供だったら、また違っていたんじゃないかなと思います。お互いどこか「THE COACHのひと」「経営者」というフィルターを外せなかったかもしれません。

私としては、瞳さんが一人の人間として「自分にとってはこれが幸せなんだ」と、心から美しいと思えるものを信じてほしいと思っています。自分が美しいと思うものを信じて、その気持ちが行動につながれば、ゆくゆくや世界にも影響を与えていくもの。役割ではなく、一人の人としてはじめることがすごく大切だと思います。


同じ人でも“新しい人”。同じ悩みでも“新しい視点”

——完了セッションの日、私はまだまだ不安と葛藤の渦中にいたんです。この2年半で私は本当に成長できたんだろうかと。でも、「瞳さんは自分に向き合うことをあきらめなかったんですね」という草さんの一言で、この2年半に意味が与えられたというか、救われた気持ちになりました。

瞳さんは、自分の身に起きた出来事や生まれた感情に対して、2年半の間、毎回真剣に向き合っていました。自分の正直な気持ちに向き合ってきた2年半の経験は、何十年先とつづいていく人生の糧になると思います。

「あきらめなかったんですね」という言葉は、そんな瞳さんの様子から感じたことをそのままお伝えしたという感じで。

——そうだったんですね。自分と向き合えたのは、やっぱり草さんがどんな私も受け止めてくれたからだと思います。「いまの気持ちを出し切るとしたら?言い切るとしたら?」という問いを要所でかけてくれたことが印象に残っていて。その問いがあったから、本当は目を背けたくなるネガティブな感情も出し切れたんじゃないかなと。

これまでの学びや実践で感じてきたのは、「人間ってこうだよね」「この人ってこうだよね」と、そんな簡単に言い切れないということです。多種多様な考え方がある中で、自分はどんなポリシーで生きていくのか、人は都度選択しているものなんだと思います。

だからその日の瞳さんがどんな様子でも、評価判断せずに向き合うことはすごく大切にしていました。

——ネガティブな感情に飲まれている私がいたとしても、それが明日も明後日もずっとつづいていくわけではなくて、日々変わりゆくものとして接してくれたなあと。それがすごく嬉しかったんですよね。

たとえば、その日食べたものが自分の身体をつくるし、どんな場所で実施するかによっても、その日のセッションは変わってくるんですね。クライアントさんだけでなく、私自身も常に変化しているんです。だから、毎回新しい人としてその人に向き合えるといいですよね。

前回のnoteに「同じテーマを一度ではなく何度も扱った」と書いていましたが、一見同じ悩みを再び抱えているように見えても、実は全然違った瞳さんが全然違った角度から見ているなあと感じました。2年半の間、螺旋階段を登っているようなイメージ。また同じところに戻ってくるけれど、見える景色は違う。

成長というのは、悩みや課題を解決することではなくて、同じ悩みをまた新しい角度・新しい自分で見れることなのかなあと、瞳さんの姿から感じました。

——長い期間、同じクライアントに伴走していると、草さんも影響を受けるようなことはあるのでしょうか?

もちろんありますよ。瞳さんのように、毎回自分に一生懸命向き合おうとするクライアントさんの生き様に「私もがんばろう」と力をもらっていますね。

あとは、どんなセッションでも私一人にとどめてしまうのはもったいないくらい、名言がクライアントさんからたくさん出てくるんですよね。名言集を出版したいくらい(笑)

クライアントさん自らが大切なことに気づいていく様子に、ライブで立ち会えることが、コーチという仕事の魅力だと思います。

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2年半の間、螺旋階段を登っているようなイメージ。また同じところに戻ってはくるけど、見える景色は違うーー。

草さんの言葉を聞いて、この2年半、わたしは確かに変化し成長をしていたんだなあと、感じました。一人で考えていると「また同じ悩みにぶつかってることにぶつかってる...」と自分を責めてしまいそうになりますが、コーチという存在がいてくれると、自分の現在地が明らかになり、決して同じ場所にいるわけでないと実感することができます。

次はどんな場所から、自分の感情や出来事に向き合えるか、とても楽しみです。

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