190913制作ノート1_呼び名

きたいばらきに会いたい ~「イバーランドの県道」制作ノート1~

note記事にて、茨城県市町村擬人化×ゲームブック「イバーランドの県道」を公開しています↓。

この記事では、「イバーランドの県道」を制作した過程を書いてみたいと思います。1回では終わらないので、何回かに分けて書きます。1回目です。

なお、「制作過程」については、この記事もご参考に↓。

1、「きたいばらき」という人

ある日、高速道路に乗っていた時のこと。「あおり運転」で有名になってしまった茨城県の常磐道。あおられることもなく快適に車を走らせていた私は、「北茨城市」という看板を目にしました。

「きたいばらき…か」

何かが頭をかすめる。いばらき、ならともかく、きたいばらき。きた・いばらきと分けて読むのが普通ですが、なんとなく分けるところを変えて読んでみたくなりました。

「きたい・ばらき。何かを期待しているような感じだな。きたいば・らき。らき。ふむ、何か人の名前に似ているな…」

と、そこまで考えて電光が走ったように感じます。

「きたいば・らき。漢字なら北伊庭らき…。これ、キャラにできないか?」

これが、茨城県の市町村擬人化を志した瞬間でした。

「つくばみらい…。つくば・みらい。みらいも人の名前にできるしな。かすみがうら…。かすみが・うら、なんてどうだろう。ひたちおおた…。おおた君はいるしな。ひたちおおみや(常陸大宮市)とひたち(日立市)で、三兄弟にしたらどうだろう。ひたち・なかは親戚のお姉さんで…」

と、茨城県市町村の名前を思い浮かべながら、連想(妄想)は止まることがありません。

早速、PCのExcel上で、設定を書き出していきました(かなり初期の設定表なので、完成版の設定では変わっていたりします)↓。

190913制作ノート1 設定

とりあえず全市町村(44)の名前を書き出して、ひらがなでふりがなをつけ、そこから名前を付けていきます。

最初は「きたいば・らき」のように、長い市町村名は名字と下の名前に分けていたのですが、「水戸市(みと)」のように短い名前もあるために、市町村名は全部名字、下の名前は随時考えていく、というスタイルに変えました。きたいば・らきは、きたいばらき・てん(岡倉天心で有名だから)というように…。

2、「風来のシレン」的なネーミング

次に考えたのは、このキャラたちの「キャラ付け」です。

「ただ市町村名を名前をしただけでは、そのまんま東だよな…」

どのようにキャラ付けするか。まずは「名前だけでも憶えて下さい」というスタイルならば、名前に「あだ名」的な感じでキャラを示すようなキーワードをつけるべきだと思いました。ノリはドカベンです。「小さな巨人・里中」とか「秘打男・殿馬」とか。一発でキャラがわかる。

「六角堂の北茨城。…これもそのまんま過ぎるな…」

そこで「降りてきた」のが、「風来のシレン」というキーワード。有名なゲームですね↓。

知る人ぞ知る漫画、原作:大塚英志さん、画:相川有さんの「聖痕のジョカ」というキーワードも、芋づる式に思い浮かびました↓。

漢字熟語2文字+カタカナの名前。

六角のキタイバラキ…。いいじゃないか!」

市町村名は、北茨城市ならともかく、行方市(なめがた)、神栖市(かみす)、河内町(かわち)など、読み方に悩むことも少なくありません。それならば、いっそ全部カタカナにしてはどうか。読み方さえわかれば、あとは漢字は調べてもらえばいい。そのカタカナの上に、漢字で特徴的な二字熟語をつける。

ということで、PCのExcel上に設定をポチポチと。

190913制作ノート1 呼び名

こんな感じですね。

なお、キタイバラキなどが「きたいば・らき」のように・で区切られているのは、最初に設定した「きたいばが名字、らきが名前」の名残です。そうそう、最初は「ヒタチ」も「ヒタチオオタ」も「ヒタチオオミヤ」も、みんな名字が「ヒタチ」で、三兄弟にしていたんだよな…(画像は以前の設定なので、完成版では変更されているものも多々ありますので…)。

さとう七味さんもTwitter上で書かれているように、

キャラ設定というのは楽しいものです。各市町村の特色を調べて、できるだけ、名前を聞いただけでイメージがわくような、そんな熟語を考えていきました。

3、学生設定なら部活動・サークルもできるか?

これで、名前は決まりました。

さらにキャラ付けをしていくために、それぞれのキャラを「部活動」や「サークル」に入れていこうと思いました。

できれば「お酒ネタ」「車運転ネタ」なども入れたいために、高校生ではなく大学生、20歳以上の設定にしたい。大学生くらいならば、何となく自由に自分の好きなことをやっているイメージがあります。スポーツだけ、体育会系だけの部活動だと、ネタが切れます。〇〇研究会ならば、いくらでも創作できます。

ちなみに、早稲田大学など大きな大学の新歓祭などに行くと、星の数ほど部活動やサークルがあり、(新入生ではなくても)たくさんの新歓チラシを受け取れます。サークル一覧はこちらですが、掲載されていない小さなサークルもあったりします↓。

「北茨城。六角のキタイバラキ…。となるとやはり『美術部』だよな。水戸。好文のミト。『納豆研究会』でもいいけれど、それはあまりにもストレートすぎるので、高校野球の開会式も決勝戦も閉会式も水戸でやるから、王道の『野球部』にするか。飛田穂洲という『学生野球の父』の出身地でもあるしな…」

(飛田穂洲についてはこちらから。銅像もあります↓)

といった具合です。思いついたものは、どんどんExcelへ↓。

190913制作ノート1 部活

ここで重要なのは、必ずしも有名なもの、わかりやすいものばかりが良いとも限らない、というところです。

例えば、石岡市の擬人化である「祭行のイシオカ」。さいこうと読みます。祭りを行う、祭りに行く、かつ読み方で「最高だぜ!」という、いろんな意味をかけた熟語ですが、ふだんはあまり使いません。「斎行」の方を使うこともありますが、ちょっと神秘的なイメージが強すぎる。最初は「大祭のイシオカ」にしていましたが、あえて「祭行」の熟語に変えました。

石岡市は「おまつり」と呼ばれる「常陸國總社宮例大祭」で有名です↓。

このホームページの記載によると(太字引用者)、

石岡のおまつりは、「正月やお盆には帰省しなくても、おまつりには帰る」と言われるほど、出身者にとっては思い入れのある祭りで、石岡市民にとって、1年間でもっとも熱くなる日です。

だそうで、出身者にとっては、正月やお盆よりも最高に熱くなれる1日。そう、石岡市民は「おまつりに行く」人が多い。

このような大きなイベント、出身者にとってはもちろん基礎知識、というか血肉になっている。県内の他の市町村にとっても「石岡はおまつりだな」というイメージ。しかし残念ながら、他の都道府県の人が知っているかというと、まだまだ全国的な知名度は低いように思います。

そこで、所属する部活・サークルを「学園祭実行委員会」として、このような「祭行のイシオカ」のキャラの設定をして、まつりを前面に出す感じで作っていったのでした↓。

大祭のイシオカ修正

しかし、ここで問題が出てきます。

大学生くらいの設定はいいとしても、彼たち彼女たちは、どんな学校に行っているのか? そのような大きな設定を決めないと、ただ「そこにいる」「キャラのためのキャラ」になってしまうのでは?

さあ、どうしよう?

(次回につづく…)

4、名は体を表す

いかがでしたでしょうか?

この記事では「イバーランドの県道」の制作過程について、思いついたきっかけ、ネーミング、部活動・サークル設定について書いてみました。

何回かに分けて、書いていきたいと思います。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

よろしければサポートいただけますと、とても嬉しいです。クリエイター活動のために使わせていただきます!