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410字 毎週ショートショート学びの場

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ゼロさん+まろちゃんの410字で、ヒスイの410字もステージアップだ! まなぶ、切磋琢磨、みがく、やりぬく、ひとつあがる。 をめざす。非公開マガジンです。
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記事一覧

「雨上がりはいつも、僕の後ろにある」ヒスイの毎週ショートショートnote

うちはバー。カウンターだけの小さな店です。 今夜さいしょの客は男性。バースツールに座る角…

「祈願上手は7カ月後」ヒスイの毎週ショートショートnote

1カ月前、交通事故で亡くなった夫の部屋には、古いお守りがズラリと並んでいる。 色が褪せた古…

「あの舌は、特急タイプ」ヒスイの毎週ショートショートnote

『世のなかの人間全員が、パソコンを持っていると思うなよ!』 ひそかに毒づきながら、俺は街…

『二億以上・斉藤』ヒスイの毎週ショートショートnote

うちのクラスには『二億斉藤』がいる。 一億円を稼ぐと明言している男だ。 夢みたいだけど、斉…

「24時間持続・虹」ヒスイの毎週ショートショートnote(字余り)

女にとって、身を捨ててでも惜しくない、と思った男と再会するのは、リスクがありすぎる。 相…

「深煎り/浅煎り なりたいふたり」ヒスイの毎週ショートショートnote

「高校生活って、すっごい簡単に終わるんだね」 「まーな」 晴れた卒業式のあと、二人で話し…

「さて、死んで来るか。命乞いする蜘蛛を割り」ヒスイの毎週ショートショートnote

「私を差し出せば御命が助かりましょう。ぜひに、ぜひに」 彼女は完璧な曲線を作り、つつましくうずくまっていた。 ほ、と彼女の肩がふるえたように見えた。 松風の音が聞こえる。 無音の室内に、煮えがつく音が広がる。 水一杓で湯の煮えがいなされる。俺の揺れも、いなされる。 茶室の中が一瞬だけ静まりかえり、ふたたび湯が沸きはじめる。 「おまえを命乞いには使わん、『平蜘蛛の釜』よ」 茶筅を振る。茶が練りあがる。 虚空で、俺は俺を殺そうとしている男に茶を差し出す。 織田信長。裏切り

「桜回線・1年後」ヒスイの毎週ショートショートnote 字余り参加(笑)

「大事すぎるから、『愛している』なんていえないのよ」 五月の夜、彼女は庭の桜に手を触れて…

「忠実な伝書鳩と、終わらない断捨離」

年の暮れから病になった母は、最近しきりと断捨離をする。 それも『人にあげたい断捨離』だ。 …

「スプーンを捨てろ、腹をくくれ」ヒスイの毎週ショートショートnote 410字

「……今日が、その日か」 俺は頭上を見た。天井が膝の上のお子様ランチに向かって、下がって…

「行列リモコン~有機か無機か」ヒスイ毎週ショートショートnote 字数オーバー編

夕暮れどきのマクドは混んでいる。向かいに座っていたカレシの俊一が、ぺりぺりと紙コップの底…

「このツノは、未来の貴女のため」ヒスイの毎週ショートショートnote 字数オーバー(…

わが家が代々受け継いできた老舗ホテルには、「人のツノ」が見える場所がある。東館の、祖母の…

「完全アメリカ製保健室~ジャパンテイスト」ヒスイの毎週ショートショートnote

曽祖母の話を聞きたい? いいですよ。 彼女は、日本から戦争花嫁としてやってきた。曾祖父亡…

「会員制粉雪・1/92」ヒスイの毎週ショートショートnote

「オプションで『会員制粉雪』はいかがです?」 「はあ?」 結婚相談所の登録で『粉雪』って。まあ、ハンコを押したけど。 しかし36歳女の婚活は厳しい・・・。連戦連敗、ついにお断りレターが30枚。 最後の手紙には、 『粉雪メンバーになりました。過去レターをご持参のうえ、会場においでください』 行ってみた。 会場まえにスタッフがいた。隣にはシュレッダー。 「レターをお預かりいたします」 手紙30枚は一気に粉々になった。 スタッフは紙片をバケツに入れ、私に渡した。 「どうぞ