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ホルモン式幸福論

医療従事者やビジネスパーソンなら1度は目や耳にしたことがあるのではないか。日本一アウトプットする精神科医こと
「樺沢紫苑先生」
コロナ前まで店頭に並ぶ書籍はビジネスに活きるマインドやスキルアップ等、個人や経済の成長に視点を置いた本が帯を連ねていた。
しかし、ここ最近は健康や時間効率•ストレスやお金との向き合い方等「幸福」とは何かという視点の本に帯がついていることに気付く。
富や豊かさより、一人ひとりが心地よさを求める時代になったなぁ。。
そんなことを考えながら手にした本書、

THE THREE HAPPINESS
精神科医が見つけた3つの幸福

今日は数々のベストセラーを生み出す樺沢紫苑先生の教えを共有したい。

幸せと脳内物質

私達が「ぁあ幸せだなぁ」と感じた時、脳内では100種類以上の脳内物質が関係していると言われている。

セロトニンはやすらぎや気分の安定。
オキシトシンは愛や繋がりの実感。
ドーパミンは報酬や達成の瞬間。
エンドルフィンはランナーズハイ等限界状況時の多幸感等。

日常的な幸福感を構成する主な脳内物質は3つあり、それが

セロトニン、オキシトシン、ドーパミンだ。


3つの幸福ホルモンの出し方・付き合い方

①セロトニンを活性化する方法

→朝散歩
朝日を浴びる+リズム運動は、セロトニン神経を活性化。その後咀嚼運動を(朝食をよく噛む)行うことでさらにセロトニンを活性化できる。体内時計をリセットする事にも繋がり、夜の睡眠にも良い影響を与える。

→幸福アウトプット
きれいな景色や心地よい体験を話すことで、気持ちよさ・爽やかさ・清々しさを強化できる。

→ポジティブ日記
(寝る前に)楽しいことに注意を向けることでポジティブな心理を強化できる。

②オキシトシンを活性化する方法

→スキンシップ
パートナーや親子・兄弟・ペットの交流、マッサージ。
スキンシップがなかったとしても、アイコンタクトや心の交流によってもオキシトシンは出る。そのため、友人や仲間を持ち人間関係を維持することが大切。

→親切と感謝
親切にされた人・する人、感謝する人・された人、両方にオキシトシンは出る。他者貢献やボランティア活動は自分にとっての幸福につながる。

→非リタイア
昨今FIRE(経済的自立、早期リタイア)が取り沙汰されている。人と話す機会や接する機会が減ると認知機能が下がるため、もしFIREを目指すなら趣味の活動や自身のやりたいことを明確にした上で楽しみながら孤独を避けることが望まれる。

→動物や植物を育てる
世話をする行為が、相手の役に立つという生きがいがオキシトシンを産生する。

③ドーパミンとの付き合い方

→制限をかける。
カナダ🇨🇦ブリティッシュコロンビア大学での研究を例に上げる。
2つのグループにチョコレートを1週間食べてもらい、次の1週間グループAにはチョコレートを制限し、グループBには好きなだけ食べてもらう。
さらに1週間後2つのグループにチョコレートを食べてもらい、楽しいと感じたか質問する。
好きなだけチョコレートを食べたBは前の週よりチョコレートを食べる楽しみが減り、制限を受けたAは前よりも楽しいと感じていた。

つまり、ドーパミン的幸福は制限しながら楽しむことで、幸福度の減らさずに長く楽しむことができるということ。
依存しやすい物とは適度な距離を保つことが、依存症にならないためのコツだといえる。

→コンフォートゾーンから外に出る。
コンフォートゾーンとな、普段から私達が行動する領域や場所・地域等、その中で生活している安心できる場所・状態のことを指す。
ドーパミンは成功や何かを達成した時にも分泌されるが、目標や目的に向かって行動する・挑戦することでも分泌されるため、時には何か新しいことに挑戦することが幸福感を得られるのだ。

幸福の性質

①「Be」と「Do」の幸福

朝起きてカーテンを開けると晴れた青空があり、気持ちの良い朝を迎える。そして最愛の人やペットがいる。これはセロトニン幸福とオキシトシン幸福がそこにある状態。それが当たり前だと思うと、そこにある幸福を感じない。失ってから気づくのでは遅い。
一方で地位や名誉・お金が欲しいと言っているにも関わらず何も行動していない。これではドーパミン的幸福は得られない。ドーパミン的幸福を得たいのなら行動しないのは損である。

②結果ではない過程を指す 

今健康である幸福、支えてくれている人がいる幸福、Beの幸福は未来ではなく今ここにある。大きな目標のために小さな階段を少しずつ昇っている今が幸福だと考える。

③「減る幸福」「減らない幸福」

プリンストン大学のダニエル・カーネマンは「年収7万5000ドル(日本円にして約800万円)までは、 収入が増えれば増えるほど幸福度は比例して大きくなる」ことを科学的に明らかにした一方で、以降年収が上がろうと幸福度にはさほど影響はないと明らかにした。
また、宝くじ当選による幸福感は平均で2ヶ月と言われている。
お金は幸福は言い換えればドーパミン的幸福であり、長く続かない・徐々に幸福感が減っていく性質を持つ。

では減らない幸福とは、それがセロトニン・オキシトシン的幸福だ。晴れた青空やきれいな景色は何度見ても爽やかさ清々しさを感じ、健康や繋がりでの喜びは都度心地よさを感じる。

健康的な生活と人間関係を維持した後に、小さな挑戦を積み重ねる。ドーパミン的幸福は、+aの付加的な幸福として得ることが望ましい。

④3つの幸福を掛け算する

ドーパミン的幸福は減りやすいが、セロトニン・オキシトシンは減りにくい。であれば、お金による報酬や他者からの称賛には
感謝」で応えることが、長く続く幸福となる。


本書を読んでみて

もっと早く読みたかった!

と率直に思った。私は20代前半の頃、看護の仕事でのし上がる!的な愚にもつかない思考の持ち主だった。
単身で知らない土地に行き、給料はそこそこ貰えていたが、高脂血症や精神面の不調を来したこともあった。
本書にも書いてあること、3つの幸福には優先順位があると身を持って自覚している。セロトニン→オキシトシン→ドーパミンの順だ。今となっては、過去の自分を反面教師にして楽天家に転身したのだが、本書にもっと早く出会えていたら違う今があったのだろうか。

とはいえ今は過程。強がりでもなんでもないが、ここ1年以上朝散歩を毎日繰り返している影響か、健康的になり、思考がまとまり、臨床現場でも自分の意見に自信が持てるようになった。
地域のボランティア活動を通して、友人ができ、副業に対しての報酬が貰えるといった本書で言う3つの幸福の掛け算が合わさっている最中。

……私にとって幸福とは何か。

それは小さな心地よさを噛み締めることができる心の余裕のことだ。
一歩ずつ、ゆっくりと歩み、いつか振り返ったら幸せだったなぁと言える。そんな生き方が出来たら良いな。

幸福について考えるきっかけを作ってくれた樺沢先生に感謝したい。
ここまで読んでいただいた皆様にも、ありがとうございました。

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