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歴史と統計に学ぶ。ワクチン接種を振り返る。

はじめに


人類とウィルスの歴史を振り返ると、対ウィルスとの戦いは人類の負け越しが続いており、唯一勝ち越せたのは現代においても天然痘だけだ。
しかし、21世紀になると状況は変わった。
これまで通常10年以上かかると云われたワクチン接種が新型コロナに対して約1年で始まったからだ。
歴史的社会実験となる新たな取り組みに参加する看護師として、mRNAワクチンとは何か・ファイザー社ワクチンについて分かってること・副反応の統計と対策・2回目の接種を終えた私の経験を振り返りたい。


この記事の目的

短期的なリスク、副反応に備え
長期的なリターン、制限を緩めた社会的活動を取り戻すための一助。


mRNAワクチンとは

ウイルス全体の情報の中から、


表面にある突起の情報だけを取り出して、人工的な遺伝物質「mRNA(メッセンジャーRNA)」を作る。それを特殊な脂の膜で包んだものがmRNAワクチン。


人間の細胞に取り込まれると、mRNAの遺伝情報が読み込まれ、


ウイルスの表面にあったものと同じ「突起」を作り、血液中の免疫細胞が異物と認識。
次々と「抗体」を作り出す。


いざウイルスが体の中に入ってくると、抗体がウイルスの突起に取りつき、感染を妨ぐ。「キラーT細胞」も活性化。細胞が感染したとしても、細胞ごと破壊しウイルスの増殖を阻止する。という流れ。



ワクチンについて分かってること

・有効率95%(65歳以降でも90%以上)

→(2020年11月18日ロイター社記事引用)
4万3000人を超える治験参加者のうち、170人が新型ウイルス感染に感染。感染者のうちワクチンの接種を受けていたのは8人にとどまり、残りはプラセボ(偽薬)の接種を受けていた。このことから、有効率が95%と確認。


・有効期間6ヶ月間は確認。9ヶ月目以降は現在も調査中

→(2021年4月8日NHKNewsweb記事より)
ファウチ博士は2回目の接種から半年後までの有効性が91.3%だったとする分析結果が発表。


・将来的な人体への影響、否定的。

→(厚生労働省新型コロナQ&Aより引用)
mRNAは、時間の経過とともに分解される。またmRNAは、人の遺伝情報(DNA)に組みこまれるものではない。身体の中で、人の遺伝情報(DNA)からmRNAがつくられる仕組みがあるが、情報の流れは一方通行で、逆にmRNAからはDNAはつくられない。こうしたことから、mRNAを注射することで、その情報が長期に残ったり、精子や卵子の遺伝情報に取り込まれることはないと考えられている。


・変異株にも効果が見られる。

→(2021年6月2日東奥日報記事より引用)
ワクチンが英国と南アフリカで確認された変異株にも有効だとの研究結果を発表した。既に感染したことがある人でも、変異株への免疫は不十分な可能性があることも分かった。
 米ファイザー製のワクチンを接種した富山大病院の医療従事者ら740人を対象に、2回目の接種から13〜17日後の血液を採取。ウイルスの感染を防ぐ「中和抗体」の量と働きを調べた。
 すると全員が十分な量の抗体を持っていた。変異株に対しても、従来株と比べてやや劣るものの有効性があったという。


・接種後感染するリスクもある

→(厚生労働省新型コロナQ&Aより引用)
ファイザー社の新型コロナワクチンは、通常、3週間の間隔で2回接種。最も高い発症予防効果が得られるのは、2回目を接種してから7日程度経って以降。体の中である程度の抗体ができるまでに1~2週間程度かかるため、1回目の接種後から2週間程度は、ワクチンを受けていない方と同じくらいの頻度で発症してしまうことが報告。


・予防接種法公費対象、満12歳以上へ拡大(現時点ではファイザー社のみ)

→12歳以上の小児を対象とした臨床試験や、生後6ヶ月~11歳を対象とした臨床試験も海外で実施され、うち、ファイザー社のワクチンについては、米国CDCの諮問委員会が接種対象年齢を12歳以上に引き下げることを勧告。日本においても、海外での臨床試験結果を踏まえ、令和3年6月1日より、当初16歳以上であった接種対象年齢を12歳以上に引き下げ、対象者を拡大することになった。



・ワクチン開発者カタリンカリコ博士の希望ある発言。統計データ待ち。

→(2021年5月27日クローズアップ現代より引用)
①ワクチンを接種した人の唾液にも、抗体が含まれていた。
②今回のワクチンは、さまざまな変異ウイルスに対しても有効とみられています。常に変異ウイルスをチェックし、有効性のデータを公開しています。もし新たなワクチンが必要になれば、4~6週間で作ることができます。

より詳しく知りたい方は
厚生労働省新型コロナワクチンQ&A

https://www.cov19-vaccine.mhlw.go.jp/qa/

ファイザー社の新型コロナワクチンについてhttps://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/vaccine_pfizer.html

副反応の統計と対策

・重篤な副作用(アナフィラキシー等は)は0.0025%程度


(2021年5月10日厚生労働省重篤副作用疾患別対応マニュアルアナフィラキシーより引用)
国内で国際基準によりアナフィラキシーと判断されたのは、2月17日~4月22日の約251万回接種(ファイザー社の mRNA ワクチン、コミナティ筋注)のうち94件。接種100万回あたりに換算すると37件。接種数の増加により発生割合が減少傾向にある。

・医療従事者用対応マニュアル表


・起こりやすい副反応

また、順天堂大学における2021年5月21日時点での新型コロナワクチンの投与開始重点的調査(コホート調査)では統計的に起こりやすい副反応が明確になった。


接種部位の反応として最も起こりやすいものは疼痛であり、1回目と2回目で程度に差はないものの、接種当日~3日目にかけて疼痛は出現するものと考えて良さそうだ。

次に全身反応。1回目に出なかった全身倦怠・37.5度以上の発熱・頭痛が2回目の接種で当日~3日目にかけて特に出やすいことが分かる。

そのため対策としては。
接種後から最低15分~30分は会場にて待機し、接種当日から翌日(可能であれば翌々日)まで安静を保てるように休みを確保する。
予め解熱鎮痛剤(主剤アセトアミノフェン)を用意し、疼痛などの副反応が現れたら用量・用法を守って服用する。
ことが大事だと結論づけた。


私の接種後の経過

3月22日夜勤明けの9時20分、1回目(コミナティ筋注:BIONTECH/pfizer)左上腕部に接種。
蕎麦アレルギーがあるため、30分間待機室で過ごす。接種後の3時間後~接種部位に「2」程度の痛み。(※最悪の痛みを10として1~10で表します)
翌日、腕が上がらない「6」程度の痛み、寝返りや着替えをするのもやっと。なるべく安静にしてゲーム実況みて過ごす。(お勧めは牛沢さん)
翌々日、腕は上がるが上げると痛む「2~4」程度。散歩や半身浴、読書でなるべくリラックスできる時間を作る。次の日には、押すと少し痛む「1」程度となり、仕事も問題なくできる。
痛み以外の副反応はなかった。


4月21日夜勤明けの9時20分、2回目(コミナティ筋注:BIONTECH/pfizer)右上腕部に接種。
2回目は発熱のリスクが高いことから、予めアセトアミノフェン:カロナール500mgを用意。
接種3時間後~接種部位に「2」程度の痛み。12時にアセトアミノフェンを1回目服用。服用後4時間は少し治まるが、徐々に強くなり始めたため、18時に再度服用。21時には就寝。
翌日、体温37.3度・やや体が怠い・痛みは「6」腕が上がらない程。アセトアミノフェンは7時、13時、20時に服用。やはり服用して4時間強は「2~3」まで落ち着くが以降は徐々に強くなる。
翌々日、平熱・倦怠感はなくなり、痛みは「1~2」押すと痛い程度。

その後は、今に至るまで体調に変化はない。
今まで通りのチョー健康って感じ。

私はたまたま同じ病院のつてでアセトアミノフェンを処方していただいたのだが、ワクチン副反応に適応する市販薬について、スギ薬局の薬剤師さんに聞いたところラックル速溶錠を勧められた。アセトアミノフェンは成分量300mgなのだと。

↓リンク


その他にアセトアミノフェンのみが主製剤の市販薬としては、タイレノールA・バファリンルナなどがある。


私の考え

短期的に見ると、副反応のリスクや体の中に異物を入れるのは怖いという感情が湧くことは、無理もない話だと思う。

しかし人口が増え、家畜と人の距離が密接になり、テクノロジーの進歩で人が移動しやすくなったことで、新型コロナ以外のパンデミックもこれからの未来、より身近なものになる。

身近になるパンデミックに適応するためには
①歴史を知り、
②新しい科学技術とテクノロジーを学び、
③責任のある統計データを信じる姿勢が、私は必要なのかなと考える。


最後に

変化の激しい時代に生きる私達にワクチンの開発者、カタリンカリコ博士の言葉がとても心強く残ったので共有したい。

「不可能だと教わったことでも、それを不可能とは知らない人が可能にするかもしれません」
「不可能だという思い込みが、挑戦することを妨げてしまいます」

「私のことをヒーローという人がいますが、それは違います。患者を治療する医師や看護師、それに清掃作業の人たち。感染のリスクがあり、命を危険にさらしている彼らこそがヒーローです。私は、ただ研究室にいただけです」

苦難と謙虚さと野心を積み重ねた叡智の結晶がワクチンなのだと、素敵だと思える人を知り、後世の教科書に載るであろう歴史的社会実験に参加できて本当に良かった。

読んでいただき、ありがとうございました
(人*´∀`)。*゚+

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