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わすれていた笑顔を思い出すことができる作品 ~「彼岸花」(小津安二郎)🇯🇵

小津監督の映画は、その後、日本がどんなふうになっていくのかを提示してくれるかのようです。

古き良き昭和の崩壊。

かといって、それを悲劇的に描くのではなく、のんびりとした風景の中に、ユーモアたっぷりに描かれているから見ていて楽しむことができます。

この『彼岸花』という映画は、家長としての父親の威厳が、明治、大正、昭和初期と比較して弱くなりつつあるさま、父権の損失が描かれている。

娘の結婚に反対する父、その父をおもしろおかしく説得する友人・・・

この時代、都会でも、人の絆は確かにあったんだなあと、そんなことまで考えてしまいました。絆は、インターネット社会になってから、相対的に失われているものかもしれませんね。この映画では、それがたしかにそこにあったことを感じることができます。

音楽もすばらしくて、この雰囲気に華をそえている。

都会の冷たい風に吹かれているなあと感じる方、仕事、仕事でプライベートが充実していないと感じる方、実家を離れて生活している方。

いそがしい現代日本人はぜひ、小津安二郎の映画を見てほしい。

きっと、わすれていた笑顔を思い出すことができますよ。


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