スペイン旅日記Vol.9、「アルハンブラの思い出」と赤ワイン
乾杯のことをスペイン語で、¡Salud! (サルー!) といいます。
このSaludには別の意味もあります。それは「健康」。
健康を祈りつつ、楽しい歓談のひと時を過ごす。
そんな思いがあるのでしょう。
今回はその「Salud」の思い出を綴ってみます。
1997年.その日のグラナダは、やけに暑い日でした。空には雲ひとつなくて、日の光をさえぎるものもなく。
アルハンブラ宮殿の観光は前日に終えており、1日自由行動の時間がありました。目指すは、崖の谷間のむこうにアルハンブラ宮殿を望む公園。
それは旧市街のアルバイシン地区にあります。
*アルハンブラ宮殿のこと、その夜に行った、洞窟のフラメンコ、そしてフラメンコの歴史についてはこちらに。
この公園から、谷を挟んで向こう側にアルハンブラが見える、、ということは、、、そうです、この公園は丘の上にあるのです。つまり、、灼熱の太陽を浴びながら、坂を上らないといけないわけなのです。。。
市街地を抜けて、旧市街であるアルバイシン地区を散策し始めて数分。
さすがに、一日の中でも一番暑い時間帯に、外を歩いている地元の方はほぼおらず、、。水を持ってくるのを忘れたことを後悔しつつ、照り付ける日差しをかいくぐるように坂道をのぼっていくと、急に視界が開ける場所があって。
それが目指す公園、、というか小さい広場でした。
あまり人がいない昼下がり、とても静かな一日で、公園に人影もまばら。太陽だけが雄弁に日差しを向けてくる。。そんな場所。
公園が見えるとすぐ、谷を挟んだ向こう側に厳かにそびえるアルハンブラ宮殿がひっそりとその姿をたたえているのがみえました。
グラナダは、中世ムーア人が住み着いた地区といわれ、独特の建築様式である白い壁の町並みが特徴。地中海の街みたいな雰囲気があります。特にこのアルバイシン地区は真っ白な建物が並んでいて、青空と太陽に映えて美しい街並みでした。
頭に浮かぶのは、「アルハンブラの思い出」というスペインギターの曲。
この暑さと、素朴な公園と、あまりにも質素な、、静かにひっそりとたたずんでいる宮殿には、アコースティックギターの音色はぴったりだなあと。
でもこの質素に見える宮殿も、レコンキスタからイスラムの占領という歴史の渦の中に巻き込まれていたのだなあと、、、遠い昔のことを考えながら。。
余談ですが、スペインにはアコースティックギターの名手が多いですね。(これもそのうちまとめて書こうと思いますが。。)
アランフェス協奏曲のホアキン・ロドリーゴ
禁じられた遊びのナルシソ・イエペス
そしてアルハンブラの思い出の作曲者フランシスコ・タレガ。
共通しているように見えるのは、感情の奥底に秘めたなんともいえない静かな情念が息づいているということ。どことなく寂しげで、それでいて、感情豊かに語りかけてくるような・・
照り付ける太陽のもとで、宮殿が蜃気楼のように揺れ始め、、、、と、我に返りまして、アルバイシン地区から市街地へと下り、、。
そう、灼熱の日には、体が冷たい飲み物を求めており、、脳裏に浮かんだのはこの旅ですでにトライしていた「Tinto de Verano」=赤ワイン。
スペインではワインはvino(ヴィノ)といいます。赤はrojo , 白はblancoですので、白ワインはvino blanco。ただ、赤ワインはvino rojoとは言わず、vino tinto(ヴィノ ティント)といいます。
「染まったワイン」というような意味合いです。そんな雰囲気ありますよね。
夏向けに、ソーダなどで割ったものは、「Tindo de Verano」(夏の赤ワイン。ティント・デ・ベラーノ)といいます。甘すぎないサングリアのような趣で、さっぱりして、灼熱の大地で飲むにはこれ以上のものはありません。
数名の仲間と合流し、宮殿を思いながら
¡Salud! (乾杯)
あの日の、Tinto de Veranoは格別だった。。家で作るたびに、この日のことを思い出しております。(ワインにソーダを混ぜて、オレンジなどを載せるだけです。簡単!)
願わくば、、、、、もう一度、グラナダで「Tinto de Verano」片手に、¡Salud!とやりたいものです。
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