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デアンジェロ・シルヴァの一作目がカッコよすぎる

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Deangelo Silva / Down River

以前、ブラジルのジャズ・ピアニスト・鍵盤奏者、デアンジェロ・シルヴァの最新作『ハングアウト』(2021)について書きましたが、ちょっと興味がわいたので過去作も聴いてみました。2017年の『ダウン・リヴァー』。これ、かなり飛び抜けた内容ですよねえ。リリース当時bunboniさんがブログ記事にしていたみたいです。

ぼくはといえば、ちょっと前にはじめて聴いたとき、もうはっきり言ってひっくり返ったというくらいで、もうほんとうに超絶カッコいいんですが、特に1曲目「Bahia」のカッコよさといったら悶絶ものですよ。出だしはそうでもないんですが、中盤からデアンジェロがキメのフレーズをピアノで反復しはじめ、ドラムスとベースがそれに合わせていくあたりから、もう快感の嵐。こんなにもカッコいい音楽って、そんなにはないよねえ。

そのまま1曲目は最後までキメまくりで、もうこれを聴いただけでトリコになっちゃいます。なお、このアルバム、ギター、トランペット、サックスも参加していますが、編成は曲によって違っていて、1曲目は管楽器抜きでのカルテットによる演奏。ホントちょっと聴いてみてください、びしばしキメるそのあまりのカッコよさにぶっ飛びますって。ドラマー(アンドレ・リモーン・ケイロス)の叩きっぷりも特筆すべきもの。

いやほんとうにこの1曲目の中盤でピアノが反復フレーズを演奏しドラマーがハードに叩きはじめたあたりから、聴き手のこっちの気持ちが極まってしまうんですが、実際Spotifyでの再生回数(がきょう3/31から出るようになった)もこれがアルバム中群を抜いています。やっぱりなぁ、こんなにカッコいいジャズ、なかなかないもんねえ。

2曲目以後ちょっと落ち着きますが、3曲目「Aquelas Coisas Todas」はホーンズも活躍する、ちょっとアフロ・キューバン・テイストなリズムを持つ曲。これもみごとです。デアンジェロの音楽はビートが効いている曲のほうが映えるんですかね。それにコンポジションが抜きん出ているというか、特にリズム・セクションが演奏するキメのリフなんかはしょんべんチビりそうなほどカッコいいですよね。

4曲目「Sâo Paulo」でも、序盤でピアノの低音とベースが地を這うようなリフを演奏しているその刹那にギターが駆け抜けたら、それで背筋がキュッとなりそうな快感が走りますし、その後もギター(フェリピ・ヴィラス・ボアス)が躍動しながらリズムと連動していくそのさまにはほんとうに目を見張ります。どこまでがコンポジションでどこからがインプロヴィゼイションなのか判然としないのも、現代ジャズらしい特徴ですね。

(written 2021.3.31)

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