綿原 衣都

こんにちは、綿原 衣都(わたはら いと)です。 北海道に暮らす主婦です。精神疾患と…

綿原 衣都

こんにちは、綿原 衣都(わたはら いと)です。 北海道に暮らす主婦です。精神疾患と腎臓の病気と甲状腺の病気をもっています。でも、たいていはあかるく暮らしています。毎日の暮らしに美しさを見いだせる、そんな精神でいたいです。

メンバーシップに加入する

絵本作家でもある、綿原衣都が自分の想いを書き綴ってゆく。だれにも普遍的なものの話や、身近な出来事、絵のこと、仕事のこと、普通に生きることについて、真正直に人生を生きている尊い人たちと、分かち合いたい。人生の意味を問うている人たちに言葉を届けたい。

  • 生きること、生活すること

    ¥500 / 月

記事一覧

童話 「聖夜」

美月と瑞樹はおたがいに一目惚れでした。出会った瞬間に恋におちました。 星ひとつない真っ暗な夜でも、2人はその気持ち故に、おたがいの白い整った顔を見分けることができ…

綿原 衣都
7時間前
3

この世の神

お金なんて ただの紙きれ それなのに それをめぐってひと騒ぎふた騒ぎ 狂乱している まきこまれない人はひとりもいない まるでお金はこの世の神のよう

2

「短歌」夜の恋

ここ数日で書いた短歌です。   別れるは決まっていたこと縁はない いっしょに歩くと そっと下がって 10年後あなたといないきっとそう 道は分かたれ 夕暮れふたつ 野…

5

おしゃれという矜持

わたしは、よくおしゃれだと言われます。 わたしの年からいうと驚くかもしれませんが、お嬢さんぽい服が好きです。 このあいだ、友人とコンサートに出かけたときは、オレン…

10

質のよさがわかりますか

この頃、わたしがなんとなく感じているのは、ものの質というものと、評価は正当に釣り合ってはいないということだ。 質というものは、語るのが難しい。 価格が高ければ、質…

6

「短歌」恋唄

恋の歌を集めてみました。 風かおる5月をひとつつかみけり 花ここに咲き 吾と同じ恋 この恋は実らずにあれ道ふさぎ 目も耳もなき野仏になる 金色の妖精の舞う夢のなか …

4

「短歌」早春日記

これまでに書いた短歌を載せてみます。 花を見て切ないとつぶやく真昼の日 語らぬベゴニア一鉢の孤独 右耳を撫ぜられている肌寒さ 分け合う夜のもの言わぬ雪 二人分洗濯…

8

Without baby

いま、必要があって、赤ちゃんの写真を見ながら、赤ちゃんの絵を描いています。 ネットって、便利で、たくさんの赤ちゃんの写真がすぐ集まり、いろいろな子のかわいい姿が…

4

童話 5歳の貝がら

たぶん、赤ちゃんのときから、夏休みと冬休みはママの故郷の島へ家族で帰っていた。 だから、島の子どもたちともいっしょに大きくなったようなものだった。 咲智(さち)は…

綿原 衣都
11日前
3

だめだめちゃんの襲撃

最近のわたしは、自己肯定感もたぶん、ちゃんとあり、自信もとりあえずあるみたいな顔をしていますが。 ほんの、7、8年前は、わたしにはだめだめちゃんという存在が憑り…

綿原 衣都
13日前
6

闇夜を越えて、優しい自己になる

孤独のなかで 2歳のときには、もう死を知っていた。 母が台所で魚を調理しようとしている。魚はまな板の上に寝て、その赤い目をぱっちりあけたまま、わたしを見ていた。 …

綿原 衣都
2週間前
36

パン屋さん

パン屋さんはいい匂い お腹に届く おいしい匂い どれにしようかな バゲットが好き ジャムパン チョココロネ アップルパイ みんな好き 早くおうちに帰ってみんなで食べ…

綿原 衣都
3週間前
10

いろ衣都つむぎ ~押し入れのなかのわたし~

火曜日はお休みなので、押し入れのなかを整理することにしました。 ふとん類のところからは、40リットルのごみ袋いっぱいのいらないものが出てきました。 そして、わたしの…

綿原 衣都
3週間前
10

いろ衣都つむぎ ~対人関係・・・?~

ほんとうに、ほんとうのことなんですけど、 わたしはもう何年も対人関係に悩んだことがありません。 だいたい30歳くらいからそうでした。 母や姉、夫といった家族とは、す…

綿原 衣都
3週間前
13

いろ衣都つむぎ ~白い人びと 続き~

わたしがいちばん好きな小説は「白い人びと」だと、前回書きました。 だけど、どんな本なのか、あれだけではわからないのではないかと思います。 わたしは45年もイゾベルと…

綿原 衣都
3週間前
8

いろ衣都つむぎ ~白い人びと~

わたしのいちばん好きな小説は、フランシス・バーネットの「白い人びと」です。このお話は1917年にアメリカで出版され、日本語訳は1967年(わたしが生まれた年)にポプラ社…

綿原 衣都
3週間前
5
童話 「聖夜」

童話 「聖夜」

美月と瑞樹はおたがいに一目惚れでした。出会った瞬間に恋におちました。
星ひとつない真っ暗な夜でも、2人はその気持ち故に、おたがいの白い整った顔を見分けることができたのです。

美月は瑞樹をこの世のどんな男性よりも、雄々しく立派だと思いました。
瑞樹は時折、赤く熟したりんごをくれました。それは、とても甘くて瑞々しく、美月の喉を潤してくれました。

瑞樹は美月をこの世のどんな女性より、美しくて愛らしい

もっとみる
この世の神

この世の神

お金なんて
ただの紙きれ
それなのに
それをめぐってひと騒ぎふた騒ぎ
狂乱している
まきこまれない人はひとりもいない
まるでお金はこの世の神のよう

「短歌」夜の恋

「短歌」夜の恋

ここ数日で書いた短歌です。

 
別れるは決まっていたこと縁はない
いっしょに歩くと そっと下がって

10年後あなたといないきっとそう
道は分かたれ 夕暮れふたつ

野心など持ったことない夢もない
あなたといると未来が分かれる

君がいま育てる花壇を見てみたい
この真昼に強い花咲け

あなたへの気持ちは開かずの間に仕舞う
忘れた頃に笑んであげる

おしゃれという矜持

おしゃれという矜持

わたしは、よくおしゃれだと言われます。
わたしの年からいうと驚くかもしれませんが、お嬢さんぽい服が好きです。
このあいだ、友人とコンサートに出かけたときは、オレンジのレースのついたブラウスにオレンジのカーディガン、真っ白なロングスカートでした。
こんな感じでレースが大好きで、きれいなスカートが好きです。
いつも新しい服ではなく、何年も着ている服もたくさんあります。
なぜ、いつもおしゃれをしているの

もっとみる
質のよさがわかりますか

質のよさがわかりますか

この頃、わたしがなんとなく感じているのは、ものの質というものと、評価は正当に釣り合ってはいないということだ。
質というものは、語るのが難しい。
価格が高ければ、質がいいということは多くは当たっているのだが、必ずそうだというわけではない。同時に価格の安いものがすべて粗悪品ということもない。
世の中は雑多なものであふれているから、ほんとうに質のよいものを見つけるのは難しい。
わたしも貧乏なので、安いも

もっとみる
「短歌」恋唄

「短歌」恋唄

恋の歌を集めてみました。

風かおる5月をひとつつかみけり
花ここに咲き 吾と同じ恋

この恋は実らずにあれ道ふさぎ
目も耳もなき野仏になる

金色の妖精の舞う夢のなか
あなたのかけらを探し続ける

百を聴き千を聴いてもあの人の
声を聴きたいこの夜のなか

見えぬのは明日だけではないような
雲間に消える 届かぬ心

海鳴りの響き訪ねて浜を行く
脳裏にあるのは君一人だけ

 

「短歌」早春日記

「短歌」早春日記

これまでに書いた短歌を載せてみます。

花を見て切ないとつぶやく真昼の日
語らぬベゴニア一鉢の孤独

右耳を撫ぜられている肌寒さ
分け合う夜のもの言わぬ雪

二人分洗濯物を畳んでる
同じ匂いの君と生きてる

天空に光のピアノ鳴りだせば
まだ見ぬ未来手のなかに落つ

花もまだ咲かないけれど春はある
雪解け見える藻岩山裾

愛はもう 言葉としてはすり減って
好きと言うだけあなたに届け

ほんとは、短歌

もっとみる
Without  baby

Without baby

いま、必要があって、赤ちゃんの写真を見ながら、赤ちゃんの絵を描いています。
ネットって、便利で、たくさんの赤ちゃんの写真がすぐ集まり、いろいろな子のかわいい姿が見られます。
この子、かわいいなー、こっちの子もいいなー、と見ていると、どの子を選んで描いていいやら、わからなくなります。
ほんとに、表情も、目も髪もその子だけのもの。
この小さいときに、もう個性は出ています。
いつか、だれかが、赤ちゃんの

もっとみる
童話 5歳の貝がら

童話 5歳の貝がら

たぶん、赤ちゃんのときから、夏休みと冬休みはママの故郷の島へ家族で帰っていた。
だから、島の子どもたちともいっしょに大きくなったようなものだった。
咲智(さち)は、島の幼馴染のひとり、タニオカに言われたことで無性に腹をたてていた。
5歳のとき、咲智はタニオカと将来結婚すると約束したそうだ。
5歳のときのことなんて、覚えてないわよ。だって、子どもじゃない!
と、いってもまだ9歳なのではあったが。

もっとみる
だめだめちゃんの襲撃

だめだめちゃんの襲撃

最近のわたしは、自己肯定感もたぶん、ちゃんとあり、自信もとりあえずあるみたいな顔をしていますが。
ほんの、7、8年前は、わたしにはだめだめちゃんという存在が憑りついていて、わたしになにをしても、おまえはだめだと言ってきていました。
たとえば、しんどくて、そうじができないとすると、そうじができないなんてだめだ!そして、夫にそうじを頼むと、やってもらっているようじゃだめだ!だいたい主婦のくせに、家事や

もっとみる
闇夜を越えて、優しい自己になる

闇夜を越えて、優しい自己になる

孤独のなかで

2歳のときには、もう死を知っていた。
母が台所で魚を調理しようとしている。魚はまな板の上に寝て、その赤い目をぱっちりあけたまま、わたしを見ていた。
「おさかな、かわいそうやし、切らんといて」
わたしは母に懇願した。
涙が流れて号泣になった。
おさかなは、いまから切られて、血を流す。いやだ、かわいそうだ。
母は泣き叫ぶわたしを持てあまし、台所から連れ去った。そして、わたしに隠れて調理

もっとみる
パン屋さん

パン屋さん

パン屋さんはいい匂い
お腹に届く おいしい匂い

どれにしようかな
バゲットが好き
ジャムパン チョココロネ
アップルパイ
みんな好き

早くおうちに帰ってみんなで食べたいな
パパとママと ねこの小次郎と
みんなパンが大好き

みんなのお腹にパンがはいったら
幸せが生まれる
幸せを感じたわたしたちは
笑顔になる

幸せと笑顔になったわたしたちは
パンがふくらむように
愛を育てる

パン屋さんのパン

もっとみる
いろ衣都つむぎ ~押し入れのなかのわたし~

いろ衣都つむぎ ~押し入れのなかのわたし~

火曜日はお休みなので、押し入れのなかを整理することにしました。
ふとん類のところからは、40リットルのごみ袋いっぱいのいらないものが出てきました。
そして、わたしの趣味のものの棚からは、6箱ほどの裁縫用の生地、3箱ほどの毛糸、手芸用品が1箱、と、もう、これをすべて使いきるには、残りの人生が3倍ほどの長さがないとだめだなーと見ていました。
バッグやポーチなどの手作り品をつくるのが好きで、その材料がた

もっとみる
いろ衣都つむぎ ~対人関係・・・?~

いろ衣都つむぎ ~対人関係・・・?~

ほんとうに、ほんとうのことなんですけど、
わたしはもう何年も対人関係に悩んだことがありません。
だいたい30歳くらいからそうでした。
母や姉、夫といった家族とは、すごく関係悪化で悩んだんですけど、母は亡くなり、姉とは絶縁状態なので、無風です。夫とのみ、ひどい喧嘩もしなくなり、良い関係になりました。
家族ではない人、というと、だいたい、出会う人はみんなよい人と思っているので、嫌いな人もおらず、悪い感

もっとみる
いろ衣都つむぎ ~白い人びと 続き~

いろ衣都つむぎ ~白い人びと 続き~

わたしがいちばん好きな小説は「白い人びと」だと、前回書きました。
だけど、どんな本なのか、あれだけではわからないのではないかと思います。
わたしは45年もイゾベルといっしょに生きてきました。
彼女には、死というものがなく、生も死も同じように受け容れているのでです。
死というものがないと感じる精神。
わたしはそうはいかなくて、愛する人を亡くしたとき、どんなに泣いたことでしょう。
悲しみのなかに沈みこ

もっとみる
いろ衣都つむぎ ~白い人びと~

いろ衣都つむぎ ~白い人びと~

わたしのいちばん好きな小説は、フランシス・バーネットの「白い人びと」です。このお話は1917年にアメリカで出版され、日本語訳は1967年(わたしが生まれた年)にポプラ社より刊行されました。翻訳者は川端康成です。
このお話は、「小公子」という分厚い本に、表題作の後ろにおまけのように併録されていました。だから、そんなに長いお話ではないのです。

わたしは小学校の図書室でこの作品に出会い、よくわからない

もっとみる