Hiroyeah

慶應義塾大学 SFC研究所 所長/ 環境情報学部 教授/ 博士(工学)/ 著書「Fab…

Hiroyeah

慶應義塾大学 SFC研究所 所長/ 環境情報学部 教授/ 博士(工学)/ 著書「FabLife」「SFを実現する―3Dプリンタの想像力」 。デジタルとフィジカルを、自由に横断し、自在に結合するための創造力と触媒力(=FAB)の研究と、ファブシティへの応用展開。

最近の記事

withコロナ時代のFabCity/Metapark

最後にNoteを書いたのは2019年の夏休み(札幌)だったのでだいぶ時が過ぎてしまっている。そしてご存知の通り、2020年5月現在、世界は新型コロナウィルスの影響を受け、まったく別様に変わってしまっている。 しかしこのようなときだからこそ、またFabCityを巡る思考を再開しようと思う。実践を通じて、国内でこれを考える材料もだいぶそろってきた。 そもそも、FabCityとは何かという説明からして困難で、なかなか要点をまとめきれていなかった。FabCityの要点は以下の3つ

    • FabCity/MetaPark(4)

      故郷である札幌に久しぶりに帰ってみると自分が幼少期にどんな「環境」から影響を受けたのか分かる。 中島公園:「池」と「川」を中心としたベンチの配置が素晴らしい都市公園 大通公園:黒いイサムノグチの「彫刻」に擬態した「遊具」(遊具に擬態した彫刻)と、白いクジラ坂という「斜面」が素晴らしい 札幌芸術の森:自然とランドスケープ・彫刻の融合

      • "Metapark"から"FabCity"を目指せるか

        私は「デザイン工学 (Design Engineering)」分野の研究者で、特にデジタル・ファブリケーション、3D/4Dプリンティング、デザイン方法論などを専門としています。 研究と緩やかに結びついた活動として、日本では、ファブラボ (FabLab)を社会展開し、世界とネットワーキングすることも行ってきました。 このNoteは、普段の研究活動から少し離れ、10年~20年かけて取り組んでいく新しい研究の方向性を模索するため、緩く書いていきます。 特に世界のファブラボの新

        • FabCity/MetaPark(3)

          (写真は、フランス・パリ第19区にあるラ・ヴィレット公園。2019年4月30日に訪問) フランス・パリ北駅からさらに北へ向けて歩いていくと、20分ほどして、ラ・ヴィレット公園が視界に入ってくる。パリでもっとも大きなこの公園は、もともとナポレオン3世の時代に「ラ・ヴィレット食肉処理場(屠殺場)」だった場所だ。この場所が公園になると決まった時、大きな公園設計競技(コンペティション)が開催された。そしてそのコンペティションは建築家や造園家が「21世紀の都市型公園」を巡って行わ

        withコロナ時代のFabCity/Metapark

          FabCity/MetaPark(2)

          著者らは、2011年に日本初・アジア初のファブラボを鎌倉に設立した。3Dプリンタやレーザーカッター等の「デジタルファブリケーション」技術を一般市民にもアクセスできるよう門を開いたファブラボは、「ものづくり市民工房」あるいは「まちの工作室」とも呼ばれ、鎌倉と筑波を皮切りに、多様な「ファブ施設」という形態で社会に広がっていった。その結果、カフェと一体化した「ファブカフェ」等日本独自の融合形が生まれ、過去8年間で日本国内での「ファブ施設」は100以上に増えている。世界規模でも年々倍

          FabCity/MetaPark(2)

          FabCity/MataPark(1)

          (写真は2019年5月1日のロンドンで撮影。芝生に寝そべったり、ベンチで本を読んだりする様子が、誰もが教科書でよく見る「風景画」そっくりのままの光景として、現在でも当たり前に持続していることに驚いた! ロンドンには、ほぼ街区ごとにこうした公園がある) 「PARK」には、「公園」と「駐車場」という2つの訳語がある。一方は子供が遊び、大人が社交を行うスペース、一方は車を留めるためのスペースである。近年では、この2つの交錯を巡った、「タクティカル・アーバニズム」の実践も盛んだ。都

          FabCity/MataPark(1)