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音楽活動をしながら会社員として企業に所属している事を話すと『趣味なんですね』と言われた


※2023年からフリーランスになったので投稿当時と状況は変わりましたが、noteを通じて伝えたい事は一貫して変わらないのでタイトルはそのままにしています。

noteをご覧の皆様こんにちは。
Hiroya Tanakaと申します。
音楽家の仕事とイベントプロデュースの仕事、2つの仕事をしています。
音楽活動ではSUNNOVA(サンノバ)というアーティストネームで作品を作ったり、サウンドデザインや楽曲制作の仕事をしたり、downyというバンドのメンバーとしてサンプラーやシンセサイザーを担当しています。

最近は上記の活動に加えて服を作って販売しはじめました。


音楽活動をしながら会社員として企業に所属している事を話すと『趣味なんですね』と言われた

私が初めて会った人と話している時によくある話。冒頭に書いた通り、私はTVCM等のサウンドデザインやアーティスト活動といった音楽制作の仕事の他、動画関係の会社で働いています。

どうやら多くの日本人(特にミレニアル世代と呼ばれる自分達よりも上の世代の方々)は私のような働き方をしている人と遭遇すると、会社員としての活動以外は趣味というレッテルを貼るようです。

趣味とは少し違って、と説明しようと思う事もありましたが、だんだんと説明する事も面倒になり何となくモヤモヤした気持ちになってしまうため、最近はミュージシャンですと言い切るか、会社員ですと言って音楽を作っている事は一切言及しない事が多いです。

でも本当は音楽制作と会社の仕事、両方とも好きで2つとも100%のエネルギーを注いでいるので、上記のような状況になると何とも言えない気持ちになります。

私はアルバイトをしながら小説を書いたり、農業をしながら現代美術家として作品を作る等、2つの生き方を並行で追求する事は素晴らしい事だと心から思っています。
だからこそ、自分以外の人でもマルチキャリアの片方を切り取って『趣味なんですね』と言われているのを見ると悲しくなります。発言者に悪意がない事は分かっているけれども。

専業ミュージシャンなのか否かではなく、作品の良し悪しで評価して欲しかった

音楽の仕事をする際(特にCM音楽などの所謂クライアントワーク)、発注側が何を評価基準として音楽家を選定するかというと
・候補に挙がった音楽家の作風がテーマに合っているか
・過去に一緒に仕事をしたことがあるか(チームワーク)
・予算、制作スピードなど数字的な制約とマッチしているか
等が挙げられると思います。
そしてごく稀に、兼業ミュージシャンは候補にも挙げないというプロダクションの方もいらっしゃいます。

制作物のクオリティが低い、という理由で除外されるのは当たり前だと思います。しかし、それ以外の部分(今回の例だと専業ミュージシャンか否か)で土俵にすら上がれないというのは、音楽家だけではなく全てのクリエイターにとって不本意なことなのではないでしょうか。

仕事をしながらバンドをする事が当たり前と思っていた学生時代

私は学生時代にハードコアパンクと呼ばれる音楽に傾倒していました。自分自身も友人とバンドを組んで活動し、日本各地のバンドと交流しながら互いの地元にブッキングし合ってコミュニティを形成していました。
自分達で作ったレコード、CD、カセットテープといった音源やファンジンという個人が作った冊子を、それぞれがトレードしたり買い取って自分の企画したライブ会場で物販として販売したりするムーブメントが、日本だけではなく海外でも存在していました。
振り返ると、私達はシーンに活気があった最後の世代でした。
mixiをはじめとするSNSが爆発的に普及する直前だった事もあり、音源やZINEのトレードなど、リアルなコミュニティの結びつきが強かった事がシーンが活況だった要因のひとつなのかなと思います。

当時の私が大好きで好きだったバンドのひとつ、LOS CRUDOS。

初めてLOS CRUDOSを聴いた時には既に解散済でした。(涙)
しかしヴォーカルのMARTINがLOS CRUDOS解散後に結成したLIMP WRISTというバンドが来日する時は必ずライブに行っていました。

LOS CRUDOSもLIMP WRISTもメンバーがそれぞれ音楽以外の仕事をしながら海外ツアーをしていたので、私自身もバンド以外の仕事をしながら音楽活動をするのが当たり前という感覚でいました。(MARTINは教師の仕事やスクールバスの運転手をしていたらしいです)

日本のバンドだと、音楽以外の仕事を持っている事だけではなく、ジャンルを超え様々なフェスに出演したり海外ツアーに行っている事も含めて、toeの活動の仕方に強く影響を受けました。

経済的に自由になって音楽を作りたかった自分

学生生活を終えて社会人になる時にも、企業に就職して会社の仕事をしながらバンドを続けるつもりでした。
理由は簡単で私の性格上、音楽だけで生活をしようとすると必要以上にマネタイズの部分を気にしてしまい自分の作る音楽がブレる気がしたから。
経済的な制約から解放されて、自分がやりたい音楽だけを続けていければ良いと思っていました。

社会人になってから数年間はガムシャラに働いていたので、結果的にバンド活動をするような時間的な余裕もなく、DAWを使って一人で音楽を作り始めるようになりました。
会社員としての仕事の合間に自分が作った音楽をインターネット上で公開していくと、色々な方から声を掛けて頂けるようになり、ソロアルバムのリリースやシンガーやラッパーへのトラック提供、そして当時は想像もしていなかったCM音楽の制作など、好きな事をしながらお金も頂けるようになりました。(まさか自分が音楽でお金を頂けるようになるとは。。)

2018年には学生時代からファンだったdownyのサポートメンバーとしてライブや海外ツアーに帯同させて頂き、2020年にはメンバーとして加入するというまさかの展開。

自分が本当に良いと思った音楽を作り続けてきたからこそ、色々な人との出会いや縁が生まれサポートして頂くことが出来ました。

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クリエイターの活動の仕方も多様性が許容される時代へ

著名なミュージシャンが自身の会社を立ち上げ、音楽とは別のビジネスを始めたりするのが珍しくなくなった昨今、企業に所属して働いている人が会社の仕事とは別に、クリエイターとして活動する事が当たり前になる時代がすぐそこまで来ています。

副業解禁に向かう会社が増加し、私自身も自社内では音楽活動をしている事がオープンな状態。音楽業も会社の仕事もクライアントに恵まれ、2つのキャリアを並行で積んでいる事が相乗効果でそれぞれに良い影響を与えています。

これからも自分自身が振り返った時に、カッコイイと思えるマルチキャリアの積み上げをしていきます。

シングルキャリア、マルチキャリアを選択するのは個々の自由です。
これまでの日本社会では、マルチキャリアを積んでいる人を中途半端という捉え方をする人が多数でしたが、これからは私たちの時代です。
全ての人が自分の生き方や働き方を選択出来、同じスタートラインに立てる事を願っています。

価値観をアップデートし、皆が多様性を尊重する時代を創りましょう。

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