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チューニングを合わせる力

だれもがこれからの時代に必要とされるのは〈コミュニケーション能力〉だと主張します。しかし、〈コミュニケーション能力〉の内実はあまりにも複雑で、しかもその人の性格や人間性と切り離して考えられないものです。「はい、そうですか」と簡単に身につけられるものではありません。

ただし、すべての教師が身につけなければならない〈コミュニケーション能力〉があります。これが身についていないと仕事にならない、これが身についていないと教師失格である、それが「チューニングを合わせる力」です。 子どもがFM電波で発信してきているのに、教師がAM電波で受信しているのでは、コミュニケーションは断絶してしまいます。あの子はFM電波、この子はAM電波という違いがあるのが子どもたちです。しかもそれぞれの子どもたちが何Hzで発信しようと教師はその電波にチューニングを合わせられる必要があります。

また、いまこの瞬間がAM電波で空気が醸成されようとしているのに、教師がFM電波で解釈しようとしているのではその空気が読めません。こういうときにもチューニング力が大切なのです。

よく職員会議において、いま議論されているステージの枠外から意見を言う先生がいますよね。この人、何言ってるんだろう……と場をぽかんとさせてしまう、そんな先生です。そういう先生がチューニング力をもたない人の代表と言えます。この先生は職員会議をぽかんとさせるだけでなく、子どもたちに対してもピントのはずれた、独り善がりの指導をして、生徒指導を混乱させているはずです。保護者に対応するときにも同じで、無用のトラブルを引き起こします。要するに、力量の低い教師、仕事のできない教師とは、「チューニングを合わせる力」に欠けているのです。

では、この世の中にはいったい何種類の電波があり、それぞれ何Hzの電波が飛び交っているのでしょうか。それは勉強すればするほどわかってくるものなのです。だれもが勉強を大切だと言うのはそういう意味なのです。

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