CaptureOne使ったことない私が一緒にTurner Blendを使ってみた話
親交のあるMASAさんがTurner BlendというCapture One向けの現像ツールをリリースし、試用させてもらう機会をいただいたのでnoteでレビューをしてみる。
Turner Blendとは何か?
ちなみにこのツール、ただのプリセットの盛り合わせなどではない。
12のレイヤーにそれぞれ個性の異なるプリセットが割り振られ、それをブレンドすることで無限の色彩を作り出す、プリセットの新しい可能性と言って良い。
まさに光の絵の具。印象派の代表であるウィリアム・ターナーをその名に使っているので、あえて言わせてもらうと、
絵の具は混ぜると濁るのでスーラなどの新印象派のメンバーは徐々に色の美しさを出すために点描画などに傾倒していったが、光は混ぜても濁らない。三原色の光をすべて混ぜると白になるからだ。
三色混ぜると濁った黒になる絵の具との最大の違いを活かしたこのTurner Blendはコンセプトの時点で既に優勝してはいないだろうか?
もちろん美しい色を作り出してくれるだけでなく、「プリセット」というものにまつわる以下のような課題も解決してくれる。
CaptureOneでしか作り得ないこのツール。Lightroomユーザーにはハードルが高そうに思えるが、結論から言うとCaptureOneを使ったことがない私でもRead Meファイルと以下のnoteを読んだだけですぐ使えるようになった。
CaptureOneも30日は無料で利用可能なのでTurner Blendを試してみてそこから継続利用を判断してもよいだろう。
Turner Blendをお勧めできる人
というわけでTurner Blendをおすすめできる人以下↓
当てはまりそうな人はこのnoteをぜひ最後まで見てほしい。
多ジャンル撮影でのTurner Blend現像実践編
まず私自身の撮影する写真だがストリート・風景・ポートレート・フードなど何でも撮る上に、カメラもSony、Leica、Pixel7、iPhoneと多岐に渡る・・・というわけでジャンルに分けて使い勝手を紹介し、このツールの汎用性の高さを紹介していきたい。Lightroomで作り込んだ現像設定を超える、驚くようなアウトプットもあった。
ジャンル1: ストリート/スナップ
まずは今一番撮っているジャンルのStreet/Snapの写真から。
このジャンルの人に共通する傾向の一つとして「フィルムっぽい見た目にしたい」のがあるのではないだろうか?
というわけで1枚目がこちら。VSCOで言うとKodak Ektarっぽい色味。
分かりやすくするために少し濃いめにセットしているが、全体の%をちょっとずつ下げていくか、Flatレイヤーのコントラストを下げるとバランスをとることができる。
続いてはフィルム系とは全く異なるアプローチで近未来感やCGっぽさを出すよう調整してみた。意図的にマゼンタやシアンの色被りを増やして印象的だけど破綻しないような調整だ。Lightroomでこれをやろうと思うと結構な数のパラメータをいじらなくていけないが、Turner Blendであれば5つほどで済むのがよいところ。
ジャンル2: ポートレート
肌の色のキレイさと色の個性の両立、というバランスの難しさ・・・これがポートレート現像の難しさ、だと思う。
比較的汎用性の高いプリセットを自分もいくつか作ったり、買ったりしているがハマらないケースの多いこと多いこと・・・。
こちらの写真ではアンダー目に撮った1枚だが、Blendすることで暗部の会長が程よく復帰し、衣装のブルーも印象的な色になっている。
肌色が少しオレンジに寄っているので更に仕上げるのであれば、レイヤーを一枚追加して顔の部分の色を減算するなど調整してもよいだろう。
こちらは打って変わって屋外での1枚。少し青みがかったBeforeの状態からスタート。桜のポートレートで難しいのは「桜っぽさ」と肌。桜のマゼンタに被りまくった写真をよく見るし、私自身もこの1枚をいろいろなプリセットや現像で試していて、ベンチマークのように使っているが結果は御覧のとおり。桜っぽさと肌色の透明感を両立できていると思う。
無論ここからCaptureOneの強みである輝度マスクなどを活用するとさらに仕上げられるはずだ。
ジャンル3.風景
風景のレタッチは王道がある。
特に色に関しては記憶色に近づけつつ、独自の世界観をどう作るか?がポイントだと理解している。
ちなみにこのBlendはまさかの1レイヤー(Flatを除く)。
もともとLightroomで複数パラメーターやトーンカーブをいじって現像していた理想形にどうやったら近づくかな~となんとなくそれっぽいレイヤーを追加して%を減算したら一発で決まった・・・
というわけで今までの写真ではさんざん複数レイヤーをBlendしてきたものの、1レイヤーだけでも理想のOutPutになるのがTurner Blendのよさ。レイヤーごとのクオリティの高さを感じた瞬間だった。
想定以上のアウトプットになったのが次の1枚。
撮影意図としては手前の足跡から奥の見附島(能登半島)まで緩いS字カーブを描きながら視線誘導し、雲の隙間からさす光につなげていくようにしているが、Afterでは諧調を維持しつつもコントラストが上がったことで足跡の立体感が増し、より撮影意図に沿った仕上がりになっている。全体の落ち着いたトーンを崩さずに見せたいやり方に簡単にシフトできるのはCaptureOneとTurner Blendならではなのかもしれない。
ジャンル4.テーブルフォト
テーブルフォトも撮るので試してみた。1枚目の作例はGoogle Pixel7Proで撮った1枚。当然フルサイズと比べるとダイナミックレンジやノイズ耐性にも差はあるものの、Turner Blendのパワーでサクッとよい感じのトーンに仕上がっている。お料理的に見せたいのはチャイの泡のツヤ感。
こちらはリンゴジュースとカーネーションの組み合わせ。Afterではジュースの透明感が増し、花の色もより印象的になっている。敷かれたクロスは白が多く、この色が転びすぎると違和感が出るがほどよい青みでバランスがとれていると思う。Turner Blendの元のnoteだと各レイヤーの特徴を明確にするために濃いめに出力されているが、こういったバランスをとっていくようなBlendもかなりやりやすい。
まとめ
最初はCaptureOneということで少し戸惑うものの、慣れると割と思い通りの色を作れるようになってくる。それに加えて、自分のテイストでない新しいプリセットの可能性にもリーチできるという意味で自分の現像の可能性を広げてくれるツールであることは間違いないだろう。
ちょっとBlendしただけでどんどん新しいプリセットが出来てしまうので現像が得意になったように錯覚してしまった。
CaptureOneに移行するきっかけがなかなか掴めなかった人や移行したけど使いこなせていない人なども含め、興味を持ったら以下からチェックしてみてほしい。
また、参考になった!興味がわいた!と思ったら、この記事についてもぜひ、スキ!お願いします。
個人的TIPS
以下、購入された方向けに個人的なTIPSを載せておくので参考になればうれしい。
・複数混ぜるときは不透明度~50%までにすると使いやすい。10~35%が個人的なスイートスポット。
・L01-Flat、このレイヤーの不透明度は初期設定25%だがこれをいじることでコントラストが変わる。「もうちょっと!」という時はここをいじってみよう。
・イメージレイヤーを整えてあげると改善することが多い。撮影時のホワイトバランスや明るさがイマイチだとTurner Blendの良さが活きないのでどうやっても上手くいかないときはチェックしてみるとよいかも。
・L02~13のレイヤーをonにするとそれぞれ100%から始まってしまうので最初はコントラストが高すぎたり、色の個性が強すぎたりするが実はこれがヒントになっていて「そのレイヤーを追加するとどういった影響がでるか?」というのをわかりやすく示してくれている。例えばL09_Cinematone style_Odysseyを足すと全体にマゼンタが入るが、パッと見でそれがわかるのでそこから弱めていき最適値を探す・・・といったようなやり方だ。
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