B's写真展「壁」の展示作品"Why not(o)?を解説するnote
いやー、展示ってやっぱりいいですよねぇぇぇぇぇぇ!(
あなたのココロのスキマ、ライカと写真展でお埋めします、hirotographerです。
今回、Google Pixel7proで撮影した作品の写真展「Pixel展」と別所さん @TakahiroBessho 主催の「壁展」両方に出展したので壁展の方の展示についてnoteでまとめておきます。
展示について語るのも少し野暮な部分はあるけれど、pixel展にも在廊していた関係でお話できなかったか方もいらっしゃるので、補足も含めてお伝えしたいと思います。
壁展展示「Why Not(o)?」
壁展はお題に「壁」が出た時点ですぐにテーマが決まった。金沢と能登半島の壁。
これは実感として感じていたからかもしれない。ただ、いろいろとタイトル自体はこねくり回し、最終的に
「何故そんなに能登が好きなんですか?」
Why noto?: あなたから私への問い
「なぜ行かないんですか?」
Why not?:私からあなたへの問い
この鏡合わせのような問いを展示タイトルにした。問いかけ合う壁の彼岸と此岸だ。
ステートメントを読んでいただければ分かるが、全体のテーマとしての金沢と能登の間の壁を表現するだけではなくて、5枚がそれぞれ「壁」のテーマに即する、ことも意識した。また、キャプションボードの後ろにつけた紙は能登仁行和紙。杉の皮を織り込み壁紙にも使わられる紙。実はこれも壁の展示の一部だ。
1.交通の壁:廃線の能登線
SFの世界では2001年に人類は人工知能と共に木星への旅に出ていたが、現実ではキャプションにもある通り2001年に能登線が廃線となった。現実は非常である。今は車か飛行機、もしくはバスでしか能登半島に来れない、交通の壁だ。展示でも多くの方が興味を示しており、いつか訪れたいと思っていた人も多かったはずだけれど、昨年この車両は撤去された。悲しいかな住民と観光客の間にも思いの壁はある。SNSでも見かけることのある場所なので展示すべきか少し迷ったが興味と意味合い的に外せないと判断した。
2.珪藻土の壁:見附島
観光ガイドには必ず乗ってくる見附島だが、その佇まいには私もいつも魅かれてやまない。
朝の一瞬の赤い光を撮ることができた一枚だが、何よりこの島が珪藻土で出来ていることが今回展示に含めた理由だ。珪藻土は最近だとバスマットなどに使われて俄かに逆光を浴びたが、七輪、珠洲焼、輪島塗、黒瓦にも使われる能登の文化の礎となっている土。
それが露出し、観光名所にもなっているこの場所は展示にあたって必ず入れなくてはいけない一枚だった。
3.黒瓦の壁:輪島
日本海の厳しい冬と雪、塩害に立ち向かう黒い瓦屋根は能登の住宅の象徴だ。もちろん黒く焼いた木の壁もあるのだけど、それではあまりに壁過ぎる。珪藻土のつながりも考慮し、家の第五の壁である屋根の密度を上げて壁のように撮った。ライカアピールする割には今回ライカで撮った展示作品はこの一枚だけ…「お写真全部ライカなんですか?」とその澄んだ瞳で見つめながら聞かないでほしい。ただ、絞ったSummiluxのひりつくような線の密度と曇り空に沈む黒い瓦の囁くような光がかなりハマった一枚だと個人的には思っている。結構この写真をいいと言って下さった方もいて全力でハグしそうになった。派手でもなくわかりやすくもないけれど、大好きな一枚。
4.収穫の壁:はざ干し
収穫した稲を天日で乾燥させるための手法で、能登「里山」の象徴だ。里山は人と自然(山林や田畑など)が共存している地域で人とその手が入った自然の一つの形。調和のイメージだ。能登にはこういった里山が無数に存在している。こちらもどちらかと言うと地味だがどうしても入れたかった一枚。SNSでは反応もない類の一枚だが、展示だとちゃんと意味を持ってくれる。
最近ははざ干しの担い手もすっかり減っており、恵みの壁であるとともに世代の壁でもある。
柄木さんに教わったが鳥取では「はで干し」というらしい。「はさ干し」「はさがけ」などと呼ぶ地域もある。
5.人の壁:あばれ祭り
能登の祭りは激しく、美しい。特に宇出津(うしつ)のあばれ祭りには言葉を失うほど激しく魅入られてしまった。人が連なり、蠢き、それは壁のようにいつしか組み上げられていく。
地元の人の祭りにかける思いも強く、年に一度この時はこのためだけに帰ってくる、と言う方々もいる。普段の穏やかな能登半島からは想像できないエネルギーを伝えたくて選んだ一枚。今年もきっと撮りにいく。
ブックと構成について
SNSとは違うとはいえ、大規模なグループ展ではどうしても派手目の写真を展示してブックへの動線を作るしかない。目に留まることも狙いつつ、限られたスペースに展示するだけでは能登の魅力を伝えきれないと思い、今回ブックを製作した。
手に取りたくなるようなデザインにしつつ、能登象徴となるような表紙にしようと考えて藍染の仁行和紙をブックカバーにした。濃い青は能登の海の色だ。染めのムラ感が、また心地よい…が、ブックを手に持っていると手に藍の青色が付いてしまうため、泣く泣くビニールカバーを装着。
ブックの構成については、まずは日本海の冬を想起させる寒々しい冬の写真から並べることにした。美しい自然の写真だけで能登への興味を誘うのは少し難しいし、違和感があった。全体としては後半になるにつれ、色彩が豊かになっていく流れにすることを当初から考えていた。
表紙には「まがきの里」の誰も座っていないベンチ。この「まがき」は冬の風から集落を守る壁になっている。ベンチが空白なのは来るべき人の不在を表現するためだ。Why you're not here?
そこから寒色の荒涼とした冬の日本海の風景が続く。
そのあとで暖色の室内、食事風景へと誘い、少しほっとさせるような流れをつけた。
途中でも空からのアクセスの視点に切り替えたり、塩作りや和紙作り、棚田などの写真を挟みつつ、リフレクション→透過するガラスという流れで組んでみたり、輪島から位置的なピボットで美しい海への展開、後半に激しい祭りを挟んで春の廃線の桜で最後の余韻を残して終わる。
ちなみにイカキングと九十九湾の形状的、立地的なユニゾンとそこから色と形状で陸と海を繋いだのが右側のページ。
間に食べ物の写真を挟んだが、一枚では印象が偏ってしまうので複数並べたらバランスが悪くなった。そのため、あえてInstagram風に正方形で多数の写真を並べてみた。
ブックは二冊作ったが、すごく気に入ってくださった方もいてありがたい限り。能登でお世話になっている人たちにお渡しするつもりだ。
まとめ
かなり長いこと通っただけあって、文化的背景を踏まえて写真セレクトできたところは良かったかもしれない。何よりテーマについて考える時間、写真を選びレタッチし直す時間は手探りで悩みながらも楽しかったし、多くの方とお話しできて幸せな時間だった。
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と言う訳でこの展示、noteで興味を持った方がいればお気軽にDMください。持ってる能登情報はお渡ししたいと思います!
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・・・ちなみに
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