闇に吠える街〜At the Dark End of The Street
最近暗くなるのが一気に早くなった。
ブルース・スプリングスティーンというおじいさんの曲に”Darkness on the Edge of Town”という曲がある。直訳すると、街の際の闇。邦訳は『闇に吠える街』らしい。かっこいいな。
東京にいた時は感じることがあまり無かった闇がここにはある。日が暮れると一気に寒さも増し、街灯も少ないので歩いてる人も無く、寂しさも増してくる。家の照明も暗めなので夜が夜らしい。街と闇の境界もはっきりしている。
もうお亡くなりになったJames Carrという歌手の曲に”Dark end of the street”というのがある。いろんなミュージシャンがカバーしていて、これまたおじいさんギターリストのライ・クーダーという人のカバーが秀逸。闇の中で揺れ動く感情の機微が、弦の振動を通してこの街の闇に溶けていきそうな雰囲気すらある。ここは田舎だからなのか、夜の闇が深い。
これは日本で言うと演歌みたいなもんなんだろうか。別に演歌好きでも無いのだが、町の寿司屋さんでは演歌がかかっていて欲しい。名前も知らない昭和歌謡でもいい。何故か心に沁みて落ち着く。たまに蕎麦屋さんでジャズをかけているお店があるが、しっくり来たことがない。新進気鋭を演出したいのか、すごく無理をしている気がして蕎麦に集中できない。話が逸れたが、その土地の風土に根ざした音楽というものがあると思う。上記二曲はこんな街外れの闇を歌っているのかもしれない。
ところで、サッカーW杯が今やってるようだ。が、周りで誰も話題にしないので、二、三日前まで全く気づいていなかった。ここではやはりアメフトが圧倒的な人気。試合を放送しているレストランやバーではお客がめちゃくちゃ騒いでる。灯りと騒音を撒き散らし、引くほど騒いでいる。田舎の夕闇に抱く感情の機微は一瞬で吹き飛ばされる。みんな馬鹿騒ぎしながらこの街の闇に吠えている。
が、これはこれでとてもしっくりくる。振れ幅が広い不思議な風土だと思う。
※『闇に吠える街』 Bruce Springsteen
※『At The Dark End Of the street』 Ry Cooder
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