田代浩史

あなたがいるから私が活きる。違いがあるから新しい何かが生まれる。デザインの届きにくいと…

田代浩史

あなたがいるから私が活きる。違いがあるから新しい何かが生まれる。デザインの届きにくいところにこそ、豊かさへのヒントがある。グラフィックデザイン→ユニバーサルデザイン。 S36年東京下町の浅草橋生まれ。現在葉山在住。芸大、電通クリエイティブを経て2021年田代デザインスタジオ開設。

最近の記事

アクセシビリティーを担保しながらも、場の雰囲気を大切にするフィンランドのユニバーサルデザイン。

北欧四カ国の旅の最後は、森と湖の国フィンランドでした。ムーミン、イッタラ、マリメッコなど日本にもファンが多いこの国のデザインには、自然への愛情や手作り感を大切にするクラフト精神が息づいています。街や施設の雰囲気を壊さずアクセシビリティーを担保ししているところには大いに共感でき、障害者にもそうでない人にもWIN WINな街が実現していました。 ■大胆な発想と繊細な心遣い、図書館の可能性は無限かも知れない。 ヘルシンキ中央図書館を訪れてみると、まずはその大きさに驚かされました

    • スウェーデンの高齢者施設。我が家のような温かさと、介護する人の姿勢の素晴らしさ。

      ユニバーサルデザインの先進国である北欧に行ったら高齢者施設を訪ねてみたいと思っていました。その理由は義理の母が軽度の認知症に加えて今年の春に脊髄の圧迫骨折で一人暮らしが難しくなり、急遽施設で暮らすことになったからです。日本の高齢者施設を色々知っているわけではないのですが、福祉先進国のそれはどういう所なのか、自分の目で見てみたかったのです。 旅に出る前に一冊の本と出会いました。『北欧のノーマライゼーション』 田中一正著(TOTO出版)。著者は専門である建築の視点で北欧の高齢者

      • +7

        今年ライフシフトした人が等身大の自分を語る、それは誰かへのGIFTになると思う。

        • 再生

          森戸川を知ってますか?

          僕が神奈川県の葉山に引っ越してきたのは、ちょうど子供が生まれて半年ぐらい経った頃です。今から25年前です。子育てをするのに自然豊かな葉山はとても良いと思いました。もちろん湘南地域の魅力は海が近くにあることなんです。ただ、東京の下町育ちの僕には、海も山もそこでの遊び方を知りません。そこで、神奈川県が主催したに成人教室に通うことにしたんです。三浦半島の多様な自然を紹介してくれるその教室の最初の授業が、葉山町を流れる森戸川の上流の自然観察ハイキングでした。先生は当時県立大楠高校の生物の先生で、メンバーは大人が20人程度でした。山道に入ると、あたりは大きなシダや杉の木、珍しい草花、そしていろいろな小鳥の鳴き声が聞こえてきます。葉山にもこんなところがあったのか、と、深呼吸しました。このムービーは、それ以来何度か通う中で、撮影したものです。上流だけでなく、中流域、下流、河口まで。僕の好きな場所(生き物がいるところ)を中心に撮影しています。ムービーの編集は、iPhoneのiMoovieですので、とても簡単です。 海をきれいにするには、山や、川もきれいにしたい。子供達にも、森戸川の魅力を伝えたい。そんな思いで作りました。

        アクセシビリティーを担保しながらも、場の雰囲気を大切にするフィンランドのユニバーサルデザイン。

        • スウェーデンの高齢者施設。我が家のような温かさと、介護する人の姿勢の素晴らしさ。

        • 今年ライフシフトした人が等身大の自分を語る、それは誰かへのGIFTになると思う。

          +6
        • 森戸川を知ってますか?

          再生

          葉山漁師書体ができるまで

          長年住んでいる葉山で、友達の漁師が新しい漁船を手に入れたと聞き、その船体に船名を書かせてくれとお願いました。そして書体を考えて、実際に漁船にペンキで文字を書くところまで、プロセスを書いてみます。 まず下見に行くと今までの船(向かって左)より大きい漁船が漁港にありました。まだ名前は書いていないのでのっぺらぼう。 子供の頃、白い紙を見ると絵を描きたくなっていたように、この船に文字を書けることにワクワクしました。船の近くに行って実際に文字を書くシミュレーションをしてみましたが、

          葉山漁師書体ができるまで

          形の無いもののデザイン

          昨日は3月11日でした。テレビ局も各社で特番を組んでいました。10年間の定点観測は街が復興していく様子を写すのかと思いきや、ジリジリと進まない様子や、福島にいたっては少しずつ家が減っていく様子も見ることができました。 震災後僕も岩手県の宮古市、田老地区を訪れました。巨大な防潮堤を乗り越えて、街は壊滅的な状態でした。その時考えていたのは、津波に強い家でした。半地下構造で、一階の屋根をステルス戦闘機の様にして津波の力を逃すもの。 津波が来て一部の壁や家財は流れるけど、頑丈な壁と

          形の無いもののデザイン

          designってなんだろう?

          designの語源はそもそも何なんだ? もう37年もデザインや広告の仕事をしていたのに、、、、 そんなことにたまたま出会ったので書いてみます。 もともとはdesignareというラテン語で、deは「〜から」signareは「しるし=サイン」。つまりは、「しるし」によって何かから脱却していくこと。 これは松岡正剛さんの「デザイン知」という本に書かれていたものですが、そもそもはヴィレム・フルッサー(1920~1991)というチェコの哲学者によるものです。 何かからの脱却の

          designってなんだろう?