【金沢のホテルが雇用調整金を利用して、半年に渡る休業を選んだ話】

金沢の中心地で国内外の旅行客をおもてなししているホテルの代表です。

2021年早々、2度目となる緊急事態宣言の発令の報道が流れました。
昨年からあらゆる業種、特に私の生業としている観光宿泊業は大打撃を受け、浮上する機会を窺っている中での全身から力の抜ける報道でした。

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そしてこのニュース。
https://this.kiji.is/718635029218000896
-厚生労働省は4日、新型コロナウイルス感染拡大に関連した2020年の解雇や雇い止めは、累計で7万9608人に上ったと明らかにした。見込みも含む。経営に深刻な打撃を受けた製造業や飲食業が中心となっている。

なんと解雇者8万人。
同じ町で頑張る同業者や飲食店もこれまで頑張って来たけど、今回の緊急事態宣言の発令でそう少なくない数の人の緊張の糸が切れてしまうのではないかと感じています。

私自身も借り入れをしたり経費をギリギリまで削減したりして、事業継続のためにあれこれ模索しながら、一喜一憂する日々を過ごしている一人です。

今回のnoteは、様々な情報があふれる中で、私が利用したいくつかの救済制度についてお話しします。

■私が守りたかったもの

売上が蒸発した3月以降、事業資金はおそろしい速度で溶けていきました。通帳を眺めながら、「どうすれば一人の解雇者も出さず、スタッフの生活を1日でも長く守れるか」
僕はこのことばかり考えるようになりました。

みんなが働くホテルは、日々ゲストの対応をしてくれるコンシェルジュやバーのスタッフ、ひとりひとりの力を合わせて作り上げてくれたものでした。この場所とそれを作ってくれたスタッフ全員の生活を守る為に、私はとある決断をしました。

それは、不安定な社会情勢に振り回され乱高下する売上を捨て、全体力を温存する「休業」という決断です。かなり早いタイミングで長期の休業を決断しました。(現状は2021年3月末までを予定しています)

この決断をする為にこんな制度を利用しました。

■具体的にやったこと

①コロナの特例融資での資金調達
②コロナの特例での返済延期で借入の元本返済を据置
③長期休業に伴う、固定費の削減
④雇用調整助成金の受取額の最大化

大きくはこの4つ。
まず、①でお金を借り、②で返済を先に延ばしました。さらに長期休業することを決断することで、③を大幅にカットすることが可能になりました。
そして④。これを利用することでスタッフにはこれまでと同額の給与を支払うことができました。もちろん、全額が国から補償されるわけではないので、足りない分は事業資金から補うことで、スタッフの生活を100%保証することが実現しました。会社として初めてダブルワークの許可も出してみました。

■悪かったこと

スタッフが簡単に理解できるような経営判断では無く、不安な気持ちにさせてしまったこと(ついてきてくれているスタッフには本当に申し訳ないと思う...)

■良かったこと

上の4つを組合わせることで、会社の体力が減る速度を最大限に遅くしました。
更に、コロナ禍でのウイルスの感染速度や変異、世界の情勢、国内の世論やそれに振り回される政治判断など、様々な外的要因により乱高下する売上に一喜一憂せず、次の施策を落ち着いて考える時間が手に入りました。
このnote執筆現在、私は休業中の誰もいないバーの片隅でホテルの再開時期や、返済のためのあたらしい売上の作り方を日々、考えています。


■今、思うこと

僕は休業を決断したことで、通常営業を続けるよりは会社の体力を温存することに成功しました。しかし、この決断が良かったのかどうかは、もう少し未来にならないとわかりません。

しかし、この状況はいつまで続くかわかりません。冒頭でも書きましたが、今回の緊急事態宣言の発令で緊張の糸が切れてしまう経営者も出てくるかもしれません。この状況下で事業を少しでも長く続けて雇用を守ろうというのは実際、酷な話です。

しかし、それでも事業と雇用を守ろうと考えている経営者の方へ。もし私がお役に立てることがあれば、どんな情報でも公開します。ぜひコメントください。
もし知り合いで開店休業をしているような方がいれば、ぜひこのnoteをシェアしてください。

一人でも多くの方の事業と雇用が守られますように。

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