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九品仏浄眞寺について

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 九品仏(くほんぶつ)浄眞寺。浄土宗。江戸時代の規模をほぼ失わずに伝えている。1965年に本堂(1698)、仁王門(1793)がそれまで茅葺だったのを銅版葺にした。また1983年の大修復工事で三仏堂(1698-99)の威容が取り戻された。三仏堂に九品仏(くほんぶつ)がある。現在、この九品仏の修復作業が進められている。それが終わると九品仏すべてが金色の輝きを取り戻すことになる。
 では九品仏とは何か。観無量寿経と呼ばれるお経によれば、人の往生の階位は信仰の深浅や罪業の有無や程度に応じて9種に分けられる。その真ん中である中品中生までは阿弥陀仏が菩薩を従え、往生した人を来迎すると教えるのだが、阿弥陀仏が何時来られるかや、阿弥陀が示す印相(印契ともいう 手の形 指と指を合わせたり輪を作るなど)には階位ごとに違いがある。三仏堂には異なる印相を結ぶ阿弥陀如来が3体ずつ、計9体が収められている。つまり往生の階位に応じた阿弥陀の印相9種がここの阿弥陀仏によりすべて拝むことができる。この九体の仏を九品仏という。
   野村喜舟(明治19年1886年ー昭和58年1983年)の俳句に以下がある。
 凩(こがらし)や里の子遊ぶ九品仏
 高浜虚子は昭和15年1940年5月3日、以下の俳句を詠んでいる(『虚子五句集(上)』岩波文庫1996年 201頁)。
 涼しさは下品下生(げひんげしょう)の仏かな
 このほか本堂に釈迦如来坐像など、創建時のものが残る。九品仏、本尊の釈迦如来坐像のいずれも、この寺を創建した珂碩上人(1617-1694)自身の作品とされている。
 浄眞寺は仁王門や鐘楼など建物に施された彫刻も大変見事。また一般に指摘されていない石塔、庚申塔、地蔵などもよく研究する価値があるように感じられる。
 アクセス 東急大井町線九品仏下車 左手へ歩いてすぐ。

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