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12月定例議会で「インボイス制度の実施延期を求める」意見書を可決しました。

 名取市議会議員のさいひろみです。

 12月定例議会で、インボイス制度の実施延期を求める意見書を賛成多数で可決しました。反響がもの凄いことになったので、その詳細をまとめます。(長文です)
 ※ヘッダー画像は、STOP!インボイス から借用しました。

◇ 本会議への上程に向けて~委員会への付託

 議会に「『消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)の実施延期を求める意見書』の提出について(要望書)」が提出されたことから始まりました。

 この内容・案文をさらに整理して、要望の時に立ち会った他会派の議員に賛同いただいて、議会案として提出しています。(下記が全文)

 12月7日(水)に本会議に上程され、議案に対する質疑は、何ごともなく通過。総務消防常任委員会に付託されました。

◇ 常任委員会での審査。出た意見は?

 9日(金)に常任委員会で審査があり、下記の意見が出ています。(16日の本会議における委員長報告より)

○○ 可決すべき ○○ (概要)

○これから起業する方も含めて、影響は多くの業界に及ぶ。社会経済的な混乱に加えて、コロナ禍でもあるこの状況での制度実施は辞めるべき。

○制度の導入後に廃業を考えている事業者は、全体の2割を超えている。日本の商文化の危機ともいえる状況であるため、制度の適用は中止すべき。

○そもそも制度の導入は、中止されるべきものである。しかし導入まで1年を切っており、中止や廃止が難しい状況なので、延期を求めるべき。

○経済的弱者への負担が増え、書類作成も複雑になる。インボイス制度について知らない方も多く、政府はもっと周知すべき。

○制度が導入されることで、登録をする事業者としない事業者との間に差が生じ、事業の継続が困難となる可能性がある。少なくとも延期すべきではないか。

可決すべきで出た意見より

×× 否決すべき ×× (概要)

 インボイス制度導入後の負担軽減策として、6年間の経過措置があり、制度への登録は事業者の選択に委ねられている。延期よりも円滑導入に向けての改善策を考えるべき

否決すべきで出た意見より

 委員会の採決で、賛成多数で可決すべきものとなりました。

◇ 最終日の本会議にて討論、そして採決へ

 定例議会最終日の16日(金)の本会議で採決です。採決の前の討論がありました。

×× 反対討論 ×× (概要)

 公明党の議員から反対討論(事前通告)がありました。

 公明党会派を代表して反対討論を行う。
 各地域でインボイス制度の実施に対し、中止や延期を求める意見書・請願陳情などの形で議会に提出されている。
 公明党は、この制度について、様々な角度から勉強会を行ってきた。
 結果、国として税の公平性を確保する上で、インボイス制度の実施は必要であると考える。
 買い物の際や外食の際にも、誰もが消費税を払っているが、1000万円以下の事業者は消費税を納める必要がなく、手元に残ってしまうという税の不公平感がある。
 その意味から、制度自体の中止や延期ではなく、円滑導入に向けて、改善策を提言すべきと考える。
 11月30日に、2023年度の与党税制改正大綱の本格的議論が開始されており、12月15日にはインボイス制度の円滑導入に向けて、負担軽減措置の創設が決定されており、さらなる改善策も期待されることから、以下5点の理由より意見書に反対する。
 1.制度については、国の動向を注視すべき
 2.公平な税負担につながること
 3.制度開始後、6年間は一定の仕入れ額控除の認める経過措置期間があり、事業者はこの期間に対応を見極めることができること
 4.電子インボイス制度等のデジタル化により、経営事務全体の効率化を進められること
 5.各団体から制度自体への意見が寄せられており、変更される余地があること

反対討論より

○○ 賛成討論 ○○ (概要)

 賛成討論は、わが会派の代表が出ました。(通告無し)

 反対討論の中に、税の公平性というのがあったが、そもそも私たち日本共産党議員団としては、消費税を公正な税制度とは捉えていない。収入に寄らずに同じ金額を払う、逆累進課税であるという考え方を持っている。
 インボイス制度によって負担を被ることになる方々、売り上げ1,000万円以下の非課税事業者、現行0円のところを、制度が本格導入されると課税事業者にならなければ、取引きをしてもらえないというデメリットが生じる。
 負担軽減があるといっても、3年もしくは6年、控除のための確証要件は売り上げ1億円以下の課税事業者は6年限定である。1万円未満の取引きはインボイス不要だが、本格導入されれば、すべての課税事業者は、例外として公共交通や自販機利用などを除いて、わずか1円の取引きでもインボイスがなければ控除ができない。インボイス発行することが選択制だからといって、インボイスを発行することができない業者になってしまうと、取引きを拒否される恐れがある。
 いずれにしても課税負担が非常に高い、売上金額の少ない業者や事業者、フリーランス、個人でやっている声優や俳優、アニメーターは、私たちの周りにたくさんいる。
 日本の文化を支えてきている方々に、大きな負担がかかってくるのは日を見るよりも明らかである。
 そのことを持って、日本共産党議員団を代表して、意見書案に賛成するものである。

賛成討論より

 その後に採決があり、賛成多数で可決しました。

◇ まとめ

 今回の名取市議会のように延期ではなく、さらに踏み込んだ反対や凍結などを盛り込んで、可決した議会もあったようです。
 なかなかわかりにくいインボイス制度ですが、わかりにくい制度を導入して良いのか、というのも判断基準になるのではと考えてしまいました。
 来年の制度開始まで、動きを見ていきたいところです。

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