介護vs看護 介護医療の現場から見えてくるもの
現在療養型病院に勤務しており、あと数日勤務すれば派遣契約を終了。そんな矢先に、先日アクシデントを起こしてしまった。内容は、おむつ交換の際に患者の尿測(尿量測定)を忘れてしまったこと。
ほかの介護職員からの冷ややかな視線を意識しつつ、アクシデント報告書を書き、それを提出し、病棟の師長からもかるい尋問?を受けた。
入院患者によってはいろいろな理由から尿量測定の指示が看護サイドから出ていることがある。だから、オムツパットの重さをはかりで測って、オムツ分の重さを差し引き、尿量を排泄表に記入することになっているのだが、それを忘れて帰ってしまったのだった。
たしかにおれのミスではある、しかし施設としての対策不足も大きいと感じていた。尿測の患者が分かるようにもっとわかりやすい表示の仕方もあるだろうに、なぜかそれをやらない。ベッドサイドにはなにも表示が出ていない。そういう表示をつけることを、ナースサイドはやりたくないらしいのだ。これはおかしな話で、ナースから尿測の指示が出ているのに、それが分かるような表示をするのをナースが許さないというのはいかにも奇妙なことに思えるのだが?
療養病棟で働いた経験のある方ならわかるだろうが、おむつ交換の時間に慣れば一斉に、順番に入る。流れで入る過程で、うっかり忘れてしまうことは誰にでもあり得る。それでも、他の職員が気にかけてくれて声を掛け合いながら進めれば防げたかも知れない、しかしそれをやらない職員もいる。
また、看護師はなぜこの患者の尿量を測る必要があるのか、その経緯をよく分かっていえる。その人の疾患、飲んでいる薬剤、入院から現在までの心身の状態を把握してるのはナースの方だ。
一方、介護はそんなことをたいてい知らない、介護が知るのは生活に関わる部分だけだ。たとえば、食事とか排泄とか、オムツのサイズとか衣服は日中着が作務衣かそれともつなぎにするのか、そういった生活面のことにのみ介護は関わる。したがって、なぜこの患者は尿量を測る必要があるのか、その理由や根拠を介護職は知らないし考える習慣すらない。そこは看護と介護の大きな相違になると思う。
現在のように、看護と介護の役割がそれぞれ分断されてしまっているのは間違いであるとおれは思う。本来なら、ケア職種として患者に一貫した関わりをすべきである、たとえばオムツ交換であろうと食事介助であろうと点滴の交換であろうと褥瘡の処置であろうと、同一の職種が関わるべきでそれが当然だと考えている。
ナースはナース、介護は介護、と役割をそれぞれ限定してしまっていることは不自然だと思う。実際、オランダのような国では看護も介護も同一の資格として働いているらしい。そこでは、同一の資格の中でいくつかレベル分けがなされていて、下は介護補助から上は専門看護師レベルまで段階が分かれているのだという。
病院介護職がほかの老人ホームと違うところは、“看護部”の所属となってしまい、介護なのにナースに隷属するかのような働き方になってしまう点である。まぁ、ほとんど看護補助者、看護助手といってもいいでしょう。これは介護にとっては恥ずかしいことだと思う、まともな資格職として扱われていないわけだ。
おれは元看護師だけど、看護でも介護でも、病院では今後まったく働きたくない。男性看護師の方がどこかで書いていたのだが、病院の病棟とは看護師長を中核とした“ムラ社会”らしい。言い得て妙だなと思う。おれはそんなムラの一員になんかまったくなる気はないし、くだらないと思っています。