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リーダーは知っておきたい。問題解決の最初の一歩はメンバーとの理想像の共有。

皆さんはこれを問題だと思いますか?

「在宅勤務の影響もあり、食事のデリバリーを多用している。」

これを問題だと思うかどうかは、おそらく人によって違うのではないでしょうか?

金銭的・健康的観点から問題だと感じる方もいれば、デリバリーの利用で時間的・精神的余裕ができるから問題ないという方もいるでしょう。もしかするとどちらの言い分もわかるから何とも言えないという方や、回数次第という方もいらっしゃるかもしれません。 

この様に世の中には同じ事象を見てもそれが問題だと思う人もいれば、問題では無いと思う人もいるのが一般的です。

では、そもそも問題とは一体何なのでしょうか?

問題とは人類が作り出す空想の産物

問題とは「理想と現実のギャップ」と定義することができます。理想というのは、ありたい姿、あるべき姿、目標などと表現されることもあります。

この定義に従うと、現状より少しでも高い理想を持てばあらゆる事象が問題となり、現状に満足すればこの世から解決すべき問題が無くなる訳です。つまりこの世に絶対的な問題など存在せず、問題とは常に我々が思い描く理想の姿に大きく左右されるのです。

さて、ここから得られる示唆は何でしょうか?

まずは理想の姿の合意形成 

一般的に問題解決とは「現状を理想に近づける行為」を指します。

そして現代社会においては、自分一人ではなく誰かと一緒に問題を解決する場面が多く登場します。その際に最も重要なのが「理想を共有・合意し、同じ事象を同じように問題として認識すること」です。

これは一体どういうことでしょうか?

前述のデリバリーのケースで触れた通り、「こうだったらいいな」という理想像は人によって異なります。お互いが異なる理想像を持った状態で問題解決に向けた話し合いをしても、お互いの主張は自身の理想像を達成するためのものとなり、議論は平行線をたどりがちです。対策の議論の最中に「この人は何を言っているのだろう?」と思った経験がある方は、この理想像の乖離が起きている可能性が高いと言えます。

これを防ぐために、まずは終着点となる理想像の合意が必要です。例えば前述のデリバリーのような家庭問題の場合は、そもそも「どのような家庭を築きたいか?」からスタートし、それを基準とした時にデリバリーを多用するという状況が理想と乖離しているのかどうか客観的に確認します。

これは子育てのような他の問題にも適用できます。「ゲームばかりやっている」、「スマホをずっと見ている」、「算数の点数が下がった」といった個別事象に対して都度反応してしまいがちですが、まずはそもそも将来どんな人物になって欲しいか・なりたいと思っているのかを、できれば本人も交えてじっくり話し合います。

このように理想像に対して共通理解を持った上で、今回の出来事は本当に解決すべき問題なのか、自身の個人的な価値観だけで問題と決めつけていないかチェックを行います。これが健全かつ前向きな問題解決を行う上で一つの鍵となります。

リーダーに求められるあるべき姿を発信する力 

ここまで身近な例を使いながらお話をしてきましたが、ビジネスでも同じことが言えます。多様性の高い職場環境において文化的背景が異なるメンバーは、皆さんが「普通に考えて問題」だと感じることを全く問題だと思わない可能性があります(私はシンガポール赴任当初、ホーカーセンターで誰も食器を下げようとしないことに驚きました)。

そういった意味で、マネジメントとして自律的に問題解決を推進する組織を構築するためには、個々の事象に対して都度問題を指摘し具体的な対策を指示するのではなく、どんなビジネス・組織・プロセス・人材を創り上げていきたいのかという理想像を色々な場面で発信し、共通のものさしで社員自らが問題(理想と現実のギャップ)を発見し解決できるような組織・文化を作ることが肝要です。

問題を解決するもう一つの方法

最後に、ここまで問題解決とは「現状を理想に近づける行為」という前提で話をしてきましたが、高すぎる理想はストレスの一因となります。特に問題解決に周囲の協力が必要な場合、高すぎる理想の強要は組織を疲弊させますので、理想自体を現実に近づけるという選択肢も持っておくことが大切です。 

例えば弊社では、在宅勤務が主流となって以降「家はオフィスではないので、本来職場ではない場所を間借りしているつもりで家族と接するように」メンバーに伝えており、そのためにある程度生産性が落ちてしまうことを許容しています。逆説的ですが、生産性を維持するためには、理想を下げることによって心の余裕を持つことも大事かもしれません。

まとめ:問題解決に欠かせない最初の一歩とは?

(問題解決後の)あるべき理想姿の定義と関係者への発信・合意形成

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