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RPA導入こそ現場百回

弊社ヌノコトファブリックの工場での作業をRPA化しました。その、RPA導入の知見を共有したいと思います。

Power Automation Desktop(PAD)での、工場作業自動化の経緯

ヌノコトファブリックとは

弊社は、nunoco fabricという、布・生地のECショップを運営しています。このECサイトでは数千種類のテキスタイルの中から、6種類の布生地、50cm単位で発注ができます。そして、受注したその日に、弊社工場内で白生地にテキスタイルが印刷され、発送されます。

工場のシステム構成

・某ECのSassを利用し、受注管理をしています
・プリンタは布の種類毎に分かれており、プリンタ1台に対し1台のPCとプリンタソフトがインストールされています
・印刷には、プリンタ専用のソフト、「RasterLink7」を利用しています

業務フロー

「RasterLink7」ですが、弊社が契約しているバージョンでは、API等がなく、GUIで操作するしかありません。そのため、1日数百件の受注を、
①印刷用テキスタイルイメージ画像を、布の種類毎・PC毎に分け、受注データを基に受注順並べる
②①を各布毎のPC端末のソフトに取り込み、
③プリタソフトのGUI画面上に表示されている、取り込んだ画像のリストで、画像毎に、受注した印刷する長さ(cm)を入力、
④印刷実行
を行っています

RPAの業務対象

③での入力作業を、毎日数百件、手入力行っていました。この③の作業を今回、Power Automation Desktopで自動化しました。自動化後、1日数時間分の省力化を図りました。
なお①に関しては、以前、エクセルのVBAで開発を行い、自動化が完了しています。それについては、別途書く予定です。

RPA全般で、構築時のポイント

現場の手順一つ一つをよく聞こう

現場の作業をRPA化する時は何よりも「手順一つ一つをよくきく」ことです。
現場での作業は、ショートカットの利用とか、上手につかってやっています。「○○をできるようにする」という考えだけで、RPAの動作ステップをつくると、ステップの複雑化を招きます。そして、そもそも担当者の洗練されている作業手順なので、RPAツールの動作効率が高いものになります。
今回の構築事例の話をします。今回の対象は、受注した画像ファイル毎に、印刷長さを設定します。UI上の取り込んだ画像のリストには、ファイル名が表示されており、最初は、OCR機能を利用して、受注一覧上のファイル名とリストのファイル名を一致したら、その行を選択するというステップ組んでいました。OCRですから、一致性が低く、認識に時間がかかり、使い物になりませんでした。上手くいかない旨、現場の人間と話していると、「リストの一番上を選択、該当の物に対し長さを入力、Ctl+L(リストの最後へ)を、ひたすらくり返している」いうのをききました。そこで、PADのステップ設定も同様な手順にしました。途中で止まったりした時の処理は、最初からやりなおせば十分。エラー対応とか考えなくてよく、ステップは簡単になり、ステップの実行スピードも倍になりました。

処理対象のデータを事前に最適化しておこう

RPAの対象データは沢山あると思います。自動化できるとなると、その量はさらに増える傾向でしょう。だからこそ、データの事前処理を怠ると、処理が終わらなくなります。
今回の事例でいうと、受注データ自体は数百件に上ります。当初、PADに各PCで全受注データを読み取り、そのPCに該当すれば処理するというステップにしていました。そのPCに該当するデータ行まで、待ち時間が発生し、全PCの処理終了に非常に時間がかかっていました。そこで、元の受注データはエクセルなので、エクセルにPC毎のシートを作成し、PC毎のデータを振り分けて、それぞれのPCはそれぞれのPCのシートを読み取りするようにしました。

Power Automation Desktopでのポイント

アプリの実行権限が管理者として実行の場合、PADから操作できない

今回の構築では、これに気付くまでに非常に時間かりました。特殊なソフトなので、もちろん、PADのUI選択は利用できませんでした。そこで、画像認識を利用することにしました。しかし、該当のボタンまで、マウスは設定した箇所まで移動するのですが、クリックできません。PADのせいかと思い、PyAutoGUIでプログラムを組んでやってみたのですが、同様な現象。悩んでいるうちに、プリンタソフトのアイコンをみたら、シールドのワッペンがついてました。プリンタソフトが管理者で実行する設定になっていのです。

管理者権限で実行

アプリが管理者実行だったので、PAD側の権限が低く、操作できなかったのです。ということで、PADに関係するexe全てに、「プロパティー互換性ー管理者としてプログラムを実行する」を設定したところ、クリックができるようになりました。ただし、クリックはできるようになったのですが、ショートカットはいまだに操作不可です。

画像認識は、ちょっとした違いで、認識されない(特にリスト系)

PADの画像認識でのステップ構築時は、ちょっとした違いでも認識されずステップが止まってしまいます。今回のケースでいうと、リストUI時、列幅が異なると、認識がされなくなりました。対策としては、1)必ず全画面表示にする2)列幅に影響されない画面ショット部品画像を設定する3)数個の画面ショット部品画像を設定する
を行いました。

まとめ

  • RPAこそ、現場の作業ステップ一つ一つをヒヤリングすること

  • RPAこそ、データの前処理をする

  • PADの時は、権限に注意

  • PADの画像認識は、工夫が必要

  • RPAの作業効果は絶大

現場百回を肝に、RPA化を進めていきたいと思います。

そして、私の野望『ワイガヤDX部』をすべての組織に

ノーコード、RPA、GAS、VBA等々、現場のメンバーと奮闘して、カイゼンを行っています。ユーザ部門と、エンジニアが一緒にDXを推進『ワイガヤDX部』を、社外に広めていきたいと考えています。

これからDXを推進したい組織、社員自らカイゼンを起こすような組織、アジャイルな組織を作りたいという方、お声がけください。ご協力させてください。


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