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【詩作品】butterfly ecstasy

蝶もサナギがら産まれでる時
勇気と幾ばくかの痛みは
ともなうのではないだろうか

かたい殻の中で内から
突きあげてくる衝動に
身悶えながら
必死に闇の中で蠢く

満身の力をこめて
声なき声をあげて

とうとうそのヨロイを
打ち破った瞬間
パリパリと飛び散った破片が
まだ濡れたやわらかい羽に
突き刺さろうとも
未知なる世界への憧れを抑えきれず
一刻もはやく外界へともがく

すべての束縛を
脱ぎすてた蝶は
悦びに震えながら
新鮮な空気を
胸いっぱいに吸いこむ

優しい光に身体を晒して
恍惚の表情で
温もりに抱かれる

背後に迫る
欲望の気配も知らずに
花の陰に潜む
殺気にも気づかずに
漂う甘い蜜の香りに
酔いしれる

butterfly ecstasy

1ナノグラムの蝶の夢

乾いた風になぶられ

パチン と消えた

※20年程前、まだ詩集も出さない頃に書いた習作です。



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