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逆上がりができる人は成功できる人

 先日、義務教育についての記事を書きました。

 それと少し関連のある内容かもしれません。
 今回は、「成功の要素は逆上がりに詰まっている」という話をしようと思います。


逆上がりを習得する過程が重要

 逆上がりができること自体は、大人になって何の役にも立たないことでしょう。
 強いて言うなら、オリンピックを目指す体操選手や、ハリウッド映画の主演を目指すアクション俳優には、役に立つかもしれません。
 しかし、それよりも、逆上がりを習得する過程において、とても重要な要素があるように僕は思います。

 逆上がりは、やり方を習って理屈がわかったからといって、それで実現できるものではありません。
 また、力が強かったり瞬発力があったりしても、それだけでは成立しません。
 強く蹴り上げれば良いということでもなく、力を入れれば良いというわけでもありません。
 逆上がりを実行するためには、体幹や重心と腕の伸縮を連動させつつ、遠心力や重力などの物理法則を体感しながら、時にそれに逆らい、時にそれを利用して、体で実現しなければなりません。
 心技体が整わなければ成功しない、と言って差し支えないでしょう。

 ところが、一度成功してしまうと、まるでその瞬間に「逆上がりができる体」にアップデートされてしまったかの如く、何度やっても成功できるようになります。
 一度の成功で、体得できてしまうのです。

 逆上がりを体得する過程で、あっちを立てればこっちが立たぬというような状況における「繊細なバランス感覚」を身に付けたり、知っていることとできることは違うという「理解や体得の段階的獲得」の感覚を身に付けたりすることができ、そしてそういう複雑なことに成功したという「成功体験」を得ることができます。


仕事をするようになると

 大人になって仕事をするようになると、「理屈がわかったからといって、それだけで実現できないもの」ばかりです。
 そして、「1つの要素だけで成立しないもの」ばかりですし、「自分で制御できない外力に逆らったり利用したりして、上手くやりくりしなければならないもの」ばかりです。
 逆上がりを体得するための壁と、大変良く似ています。

 問題に突き当たれば解決案を練り、その案を実行してみて上手くいかないことを知り、しかしその実行によってのフィードバックを得て、細かい調整をしながらより良い結果を目指すことを繰り返す。
 これは、逆上がりの練習時に、蹴り足を強く振り上げればどうか、伸ばした腕を強く引き付けてみてはどうか、鉄棒を握る手を逆手にしてみてはどうか、と案を練り、実際に試してみて上手くいかない経験をし、けれどそれを試したからこそ蹴り足と腕の伸縮の連動が必要なことに気付き、惜しいという手応えを何度も感じながらより良い結果を目指して練習を繰り返すことと、全く同じ作業過程だと言えます。

 その作業過程を子供の時に体験し、そして成功させているという実績は、大人になってから成功を得るための、大変重要な実績になると言えるでしょう。


たった一度の成功体験が重要

 また、たった一度であっても、成功体験はとても重要なことです。
「そんなこと、絶対にできるわけがない」
と思っている時には見えなかった景色が、
「確かに実現可能だった」
と気付いた瞬間に見えるようになることは、よくあることです。
 逆上がりができた瞬間、そう思った人もいることでしょう。

 もっとも、逆上がりの場合は、目の前で多くの人がやっているわけで、
「みんなできているし、きっと自分にもできるのだろう」
という気持ちからスタートするかもしれません。これは成功に対して、有利な心持ちであると言えるでしょう。

 しかし、別の案件では、
「課長は実現可能だと言うけれど、とてもそうだとは思えない。絶対無理だ」
という気持ちからスタートすることもあることでしょう。こう思ってしまうと、成功に対して、マイナスな心理状況です。
 とは言え、仮に、
「課長が言うんだから、きっと実現可能なのだろう」
と思い込むことができたとしても、心理状況としては良いとしても、机上の空論の段階でしかありません。
「本当に理論通りに上手くいくだろうか?」
と疑うかもしれませんし、
「理論が正しくとも、私がやって実現できるのだろうか?」
と不安に思うかもしれません。

 そんな中で、一度の成功ほど心の支えにできる要素はありません。
 一度成功してしまえば、「課長」も「理論」も「私」も、疑う余地がなくなるのです。
「確かに課長は信じるに値するし、理論にも誤りはないし、私はその実現にあたって相応しい人物である」
と納得することができ、そう納得するからこそ、次の案件でも成功が近付くのです。

「この前成功したあの人は、次もきっと成功するのだろう」
と世の中では思われがちですが、それはあながち間違ってはいないということです。
 成功体験を積んだ人は、「成功の仕方」を知っている人だからです。


逆上がりができる人、できない人

 あなたは、すぐに逆上がりができるようになったでしょうか?
 もし、そうであれば、自信を持ってください。
 あなたは「複雑なことを要領よく成功させるためのセンス」をはじめから持って生まれてきた人です。
 そのセンスを失わないようにしておけば、きっといろいろな成功ができることでしょう。

 逆上がりができるようになるまで、かなり苦労した人もいるでしょう。
 もし、あなたがそうであれば、何も悲観することなく、自信を持っていただいて結構です。
 なぜなら、あなたは「険しい道であったとしても、成功するまで挑戦し続けることができるスキル」を持っている人であるからです。
 このスキルは、要領の良い人はあまり持つことができないスキルでもあります。
 要領の良い人の道筋とは異なる、あなたなりの成功への道筋があると信じさえすれば、きっと成功が約束されています。

 もし、逆上がりができなかったあなたは、大切なことを身に付ける機会を失っていたとも言えます。
 少し不器用なところがあり、しかも、諦めやすいという性格の持ち主であるかもしれません。
 しかし、今この状況を好意的に捉えるとすれば、そういう自分を知る機会を得たことでしょう。
「彼を知り、己を知れば、百戦して殆(あや)うからず」
と孫子が言うように、自分自身を良く知るからこそ、成功を勝ち取ることができるのです。
 世の中には、自分を過信して、できもしないスケジュールを立てて失敗する人はたくさんいます。
「彼を知らず、己を知らざれば、戦う毎に必ず殆し」
です。
 自分自身を過信することなく、不器用であったり、諦めやすい性格であったりすることを踏まえた上で、そんな自分に実現可能な道筋を模索することで、成功確率は上がるでしょう。
 この模索能力は、むしろ逆上がりができた人たちには身に付ける機会がない能力かもしれませんが、つまりは、
「出来の悪い兵隊しかいない中で、どうやって戦に勝とうか」
と考える軍師の能力であるわけで、経営者や監督などのリーダーに求められる能力だと言うこともできるでしょう。
 ものは考えようです。自分に合った成功を目指しましょう。


成功とは

 ちなみに、ここで言う「成功」とは、「自分で掲げた目標に到達すること」です。
 「希望の会社に就職する」とか「ダイエットをする」とか「会社のプロジェクトで結果を出す」とか「貯金をする」とか、そういった目標を達成できれば、それは疑いなく「成功」したことになります。
 僕自身の例で言うならば、つい先日、クラウドファンディングで目標額に到達しました。こういうことを「成功」とここでは呼んでいます。
 成功率が高いほど、思い通りの人生を歩みやすくなるでしょう。
 人生を設計しやすい、ということにも繋がります。

 「成功している人」というと、1兆円企業の創業者だとか、一流スポーツ選手を思い浮かべるかもしれませんが、必ずしもそれを目指す必要はありません。
 そもそも、そういう偉人たちこそ、
「いえ。まだ成功してはいません」
と言うわけですから、本人が未成功だと言うのに周りが羨んでも仕方のないことです。
 隣の芝生が青く見えたとしても、他人と比べることなく、自分のための目標を定め、自分なりの成功を掴みましょう。

 もっとも、
「世の中の大勢から『成功者』と呼ばれるようになり、そう言われた時に『いえ。まだ成功してはいません』と言いたい!」
という目標を持って、それを叶えるべく努力をするのは良いことかもしれません。
 それもひとつの目標ですし、貯金やダイエットも同じように、自分で定めるべきひとつの目標だということです。


 今回は逆上がりを例にしましたが、人生を成功させる要素は、義務教育の中にも散りばめられています。
 そして、成功というのも人それぞれです。
 この記事が、皆さんの人生において、ほんの少しでも何かのお役に立てたら幸いです。


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