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僕たちのプロジェクトが、経産省/環境省からお墨付きをもらいました!

僕たちRECOTECHは、2021年から東京都と共同で、poolを活用したプラスチックの新しいサプライチェーンをデザインしています。具体的には、商業施設から排出される廃プラスチックをpoolでデータ化し、物流パートナーの浪速運送に委託して廃プラスチックを回収、圧縮。そして、提携先のリサイクル工場でリサイクル材料に再生し、花王や凸版印刷のようなメーカーにリサイクル材料を提供しています。対象としているプラスチックは従来はサーマルリカバリーとして燃やされてしまっていたものなので、マテリアルリサイクルによって、もう一度素材として生まれ変わることができます。

この新しい循環型サプライチェーンの取り組みに対して、ようやく経済産業省と環境省の大臣認定を取ることができました。この認定にいたる背景を簡単にまとめたいと思います。


廃棄物業界は、法律で守られている

一般的にはあまり知られていませんが、廃棄物は”廃掃法”という法律のもと、許可を持った会社しか取り扱うことができません。しかも許可は都道府県/市区町村ごとに付与されるので、県をまたいで廃棄物を運ぶことは基本的にできない設計になっています。

廃掃法は、”廃棄物の環境への流出を防ぎ、環境を守る”ことを目的とした法律であるため、法律で認めた会社しか取り扱うことができないようにする、かつ県をまたぐことができない、というのは、すごく真っ当なことであると思います。

廃棄物は大きく分けて一般廃棄物と産業廃棄物の2種類に分かれるのですが、一般廃棄物の許可を取るのは、都道府県/市区町村が必要としないと免許を出すことができないので、新しく取得することが極めて難しい状況にあることと、産廃の許可についても、条件によっては取得するのに数年かかるケースもあります。

これにより廃棄物業界は、クローズドで守られた産業であるのです。だからこの業界の参入障壁が高いのです。この仕組みゆえに、日本の廃棄物業者は規模の小さい家族経営の業者が乱立しています。それぞれがエリアごとに担当をして、縄張りのような形でビジネスを展開しているケースもあります。

実際に商業施設が新しいお店を展開する場合、廃棄物を取り扱う業者はエリアによってほぼ決まっていて、そことうまく付き合わないと、廃棄物を処理してもらえない、というような力関係にある場合もあります。

廃棄物の環境への流出を防ぎ、適切に処理するという目的のもとに制度設計され運用されている廃掃法。この法律のおかげで今のクリーンな日本があるのは間違いないのですが、”廃棄物を資源として活用する”という観点からは、課題がいくつもあります。本来は物流効率を最大化するために、都道府県の制限を受けずにロジスティクスを構築したり、廃棄物業者以外の一般物流を活用したりすることができないなどです。

規制緩和のためにできた新しい法律

そのような背景の中、特定の廃棄物を資源として循環させていくために、緩和措置としての対策を政府としても取っています。それが、2021年に施行されたプラスチック資源循環促進法(通称:プラ新法)です。

この法律は環境省が主体となっているのですが、ポイントは経済産業省も絡んでいる点です。環境省管轄は、「環境流出を防ぐ」ことが目的となりますが、経済産業省が関わることにより「経済を活性化していく」ことが目的となるので、そもそもの考え方の出発点が大きく異なります。国家の経済成長戦略の位置付けとして、プラスチック資源循環が捉えられたということです。

経済産業省は、民間の経済活力の向上及び対外経済関係の円滑な発展を中心とする経済及び産業の発展並びに鉱物資源及びエネルギーの安定的かつ効率的な供給の確保を図ること

プラ新法の大臣認定を取得すると、廃掃法の許認可がなくても、対象となるプラスチック資源をエリアを制限することなく運ぶことができるようになります。これにより、より効率的なプラスチックの資源循環を実現することができます。

ようやく取れた大臣認定

2021年にプラ新法が施行される前から、大臣認定を取るべくチームで話し合いを進めてきました。僕たちのようなスタートアップにとって、経産省と環境省のお墨付きがついているというのは、大きなアドバンテージにもなります。提出書類の出し戻しや修正回数は100回を超えていると思いますが、丸2年以上かかって、ようやく認定を取得することができました。

ちなみに今回取得したのは、RECOTECHではなく、パートナー企業の浪速運送が主体となりました。これには理由があって、大臣認定の取得条件として、本事業以外にも基盤となる収益源があること、経営が安定していることなどがあり、とてもではないですが、シード・アーリーステージの、1点集中突破型のスタートアップには不可能な条件でした。この辺りにもまだまだスタートアップが参入しづらい壁がいくつもあります。日本政府がスタートアップに力を入れるのであれば、このような新しい法律の枠組みもケアして欲しいと強く思います。

今までは東京都の後ろ盾もあり都内に限定して構築してきた新しいプラスチックの循環型サプライチェーンを、ようやく全国展開することができるようになりました。

最後に

メーカーのリサイクル材料のニーズも日毎に高まっており、先日はようやく
豊田通商様とのリサイクル材料の定期契約の発表もできました。

少し時間がかかりすぎましたが、3年かけてようやく土台が整いました。3年前に思い描いていた未来が、少しづつ形になり始めています。3年前話しても見向きもされなかった企業に、同じ提案が刺さるようになりました。ニーズは明確。とにかくここからはスケール化です。たくさんの仲間を集めて、共創による全く新しい資源循環をデザインしていきます。


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