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高校野球のためのピリオダイゼーション: 解剖学的適応期の理解と実践

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解剖学的適応期(Anatomical Adaptation Phase = AA)とは何か?

解剖学的適応(AA)の段階では、他の段階のトレーニングの基礎を築きます。この段階の名称は、筋力トレーニングの主な目的が、すぐに過負荷をかけることではなく、アスリートの解剖学的構造を徐々に適応させていくことにあります。

解剖学的適応(AA)段階の目的は基礎作りです。
すぐに過負荷をかけて筋肥大(筋線維の断面積の増大)が目的ではなく、アスリートの解剖学的構造を徐々に適応させていくことが目的です。
結果的に筋肥大が起こるかもしれませんが、トレーニングの基礎を解剖学的適応(AA)段階の目的としては大きく以下の3つです。

(1)腱、靭帯、関節の強化
(2)心肺機能の向上
(3)神経筋協調性の向上

さらに、解剖学的適応(AA)段階のトレーニングメニューで気をつけなければならないことは以下の3つです。

(1)1セットあたり30から70秒
(2)アゴニスト筋とアンタゴニスト筋をバランスよく鍛える
(3)バイラテラルエクササイズよりもユニラテラルエクササイズを使用する

上記の点を踏まえるとトレーニングを行うには、サーキットトレーニングはとても有効的な手段です。
多くの筋群を動員できるコンパウンドエクササイズを使用し、いろいろなエクササイズを組み合わせることでバランス良く全体を鍛えることができます。さらにバーピーなどを取り入れたり、エクササイズ間の休憩を30-90秒と短めにすることで心拍数を上げることで心肺持久力も養うことができます。

筋力トレーニングと持久性トレーニングを組み合わせて行うコンカレントトレーニングは、どちらか片方の発達を阻害してしまう可能性があると言われたりしていますが、これはアスリートのトレーニング歴も関係してくるので一概にはそうとも言えません。トレーニング経験がないアスリート、もしくは少ないアスリートにおいては干渉作用が少なく、反対にエリートアスリートは干渉作用が高くなる可能性があります。ですので、トレーニング歴がない、もしくは浅いアスリートに対してはサーキットトレーニングはとても有効な手段の一つではあります。

解剖学的適応期のトレーニングパラメーター

解剖学的適応期におけるサーキットトレーニングプログラムを作っていく際の考え方は以下の通りです。
これらのパラメータは一般的なガイドラインであり、選手の個々のニーズと能力に合わせて調整することが重要です。

エクササイズ数
ショートサーキット:6-9エクササイズ
ミディアムサーキット:10-12エクササイズ
ロングサーキット:13-15エクササイズ

セット数
ショートサーキット:4回以下
ミディアムサーキット:3回以下
ロングサーキット:2回以下

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