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101.チュニジアの「五月病」

(器用に止まった鳥はどこへ行く)

5月の悩みは、かくも深いものか。

私ではなく、青少年の話です。

この日、2名の中学生がスタッフに「学校を辞めたい」と相談に来ました。
今月は既に2件目なのですが、5月がチュニジアの学年末ということも関係していると思われます。(大学入試に重要なバカロレアも5月にあります)

チュニジア版「5月病」現象でしょうか。ここを乗り切れば、3か月以上続く夏休みに入るので頑張って欲しいところですが…

一室で悩みを聞く所属長(手前)

学校中退者と厳しい現実

チュニジアでは、学校中退者が毎年6.5万人もいるという統計があります。
(実際は10万人以上という説もあります)
ほぼ10人に1人という割合なので、いかに多いかが分かると思います。

中退者の一部は、フリースクールや職業訓練センターに行き、勉強や仕事の機会を探りますが、3人に1人はこれらの機会がなく、地方にはそもそもこの選択肢がないことも多いです。

この日来た彼らも「農業をしたい」と話していましたが、所属長はそれだけで生計が立てられるほど甘くない(※多くは兼業のようです)ことを説明していました。

残りの多くは非行・薬物に走る、欧州への不法移住を試みる等の深刻な問題になっています。

「ダメだ、学校に戻りなさい!」と大人が言うことは簡単ですが、青少年は厳しい現実を知っています。

国内で良い大学を出ても、就職ができない若者が多く居る現実。
(15‐24歳の失業率は4割程度の高水準)

仕事をせず、毎日カフェで賭け事に興じる大人が数多く居る現実。

「勉強したところで何になるの?」という青少年の問いに、真剣に答えることのできる大人はどの程度居るでしょうか。

彼らに、自分ならどのような言葉をかけることができるのか、自問しています。

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