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きのう何食べた?というドラマ

ちょっと話題が古くて申し訳ないのですが
年末に放送していたドラマで一番好きだったのが
タイトルにもあるテレビ東京系列放送の「きのう何食べた?」
↓ウィキペディア

よしながふみさん原作による漫画のドラマ化で
西島秀俊・内野聖陽のW主演。
2019年4月クールでseason1が放送され
2021年11月に劇場版が公開。
2023年10月クールでseason2が放送と
すでに歴史があり、ファンも多い作品である。


ストーリーは西島秀俊演じる弁護士のシロさんと
内野聖陽演じる美容師ケンジとのゲイカップルの
同棲がメインであるが、それぞれの職場や家族との
やりとりもちょっとおかしくもリアルな描写があって
見ている人たちが共感したり考えさせられたりな作品。

実は私は漫画原作を見たことがなく、ドラマでの世界観
だけでこの記事を書いてしまっているので、
漫画のファンの方に違和感を抱かせてしまうかもしれないのは
ご容赦いただければと思います。

ドラマの見どころとしては、ゲイ同士の同棲ではあるが
露骨な性描写などはなく、お互いの恋愛観だったり
家族や職場の人たちが二人とどうからんでいくのか
ゲイカップルだからこそ起こる同性愛者の未来への不安
この説明だけだと深刻なドラマに見えるが、基本は二人と
周囲の人が起こすトラブルのドタバタである。


私が好きなのはシロさんが家計を切り詰め激安スーパーで
買い物をするシーン。そこで偶然出会った同じく激安スーパー
大好きな主婦佳代子(田中美佐子)とのやりとり。
この野菜安いけど、こんなに量はいらないわ!シェアしましょう
から仲良くなり、まもなく家族ぐるみの付き合いになる。
佳代子の家族がシロさんが同棲するケンジがどういう人か
あれこれ妄想するのもおかしかったりする。

シロさんはものすごく経済観念のしっかりした人に対して
パートナーのケンジはそこに無頓着で無駄使いが多く
シロさんにいつも怒られてしまう。でも二人に共通するのは
お互い好きな人と美味しいものを食べたい!ということ。
二人が料理をするシーンがこのドラマのみどころと
言っていいかもしれない。

もうひとつはシロさんのゲイ仲間である小日向(山本耕史)
とパートナーのワタル(磯村勇斗)とゲイカップル同士の
やりとり。経済的に裕福な小日向カップルは好きなものなら
金に糸目をつけないタイプで、パーテイでは高級食材が並ぶが
シロケンジカップルのお金をかけずに美味しいものを作る。
という対照的なシーンも衝突が起こるわけでもなく
お互いがそれぞれを尊重するのがこのドラマの
よいところだったりする。


私がシロさんケンジカップルと同世代ということもあるが
特にシロさんのように激安スーパーが大好きなので
そういう観点で思い入れが強くなってしまう。
ただケチなだけではなく、ケンジと旅行がしたい
たまに贅沢をしたい!のために節約をしている。

劇中シロさんが美味しいものに出会うと
「ケンジにも食べさせてやりたいな」
料理を作っているときも
「ケンジ喜ぶだろうな」
と、実はとてもケンジ思いだったりする。
でもケンジがたまに無駄使いをしてダメにしてしまうのも
それやっちゃうよなーって共感してしまう。
何からなにまで二人に共感してしまうのである。

物語上で今後の二人の未来や家族とのやり取りで
真剣に向き合うシーンが毎回描かれているが
基本は大きな出来事はなにも起こらない。
日常のほんとによくある描写なのである。

このドラマの脚本である安達奈緒子さんの言葉のチョイス。
特に劇場版でケンジの父が亡くなったあとのお葬式のシーンで
ケンジの母が父を語るとき、たまにしか家に帰ってこない。
家庭を顧みない傍若無人のふるまいぶりを
「顔見知りの泥棒」
と表現して、家族全員が納得してしまう。

私も昨年父を亡くし、家族で父を語るときいい思い出だけではない
家族だからこそ嫌な記憶も思い出してしまう。その印象をひとことで
言語化したのは見事だし、笑いも起こる言葉のチョイスがすごい。
以降言葉選びにも注目してしまった。良作品だと思う。
登場人物全員がちょっとおかしく、でも共感できる。
見ていて心がほっこりするドラマだったなと思う。


最近漫画からドラマ化していい作品だったと思ったら
原作者とドラマスタッフの間でトラブルがあったという
悲しい出来事があった。
いい作品を見たいというのが全視聴者の願いだが
いい作品のために誰かが犠牲になることは望んでいない。
原作者の思いを最優先に尊重しつつ人の心が
動くものを見ていきたいといちドラマファンは思うのです。

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