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"時の移ろい"を感じられる宿に泊まる

"時の移ろい"
例えば"夜"や"朝"を感じられるということだ。

「そんなの当たり前だろ」
と思われるかもしれない。でも最近のホテル、特に街中のビジネスホテルなど隣にビルが迫り、眺望が良くないどころか自然光も入らない。またカーテンも遮光仕様で(それはそれでありがたいが)、外が明るいのか暗いのか分からないホテルも少なくない。


「だったらカーテン閉めなきゃいいじゃん」という意見もあるが、そうじゃない。そうじゃないんだよ...。




よく晴れた冬のある日、私は西へ向かうの旅の途中で、古くから交通の要所として栄えてきた街で一泊することにした。




駅から歩くこと30分、この街の観光名所でもある小高い山の麓に今宵の宿がある。それは1日1組しか泊まることができない築80年以上の古民家宿だった。

チェックインしたのは日暮れ前。
気さくなオーナーさんが気持ち良く迎えてくれた。




これからの時間、特に何かすることも観光の予定もない。
ただこの街を、そしてこの宿を堪能するだけだ。

























































言葉も要らない。時計も要らない。
ただ静かに時が過ぎる美しい宿だった。

オーナーさんによる古道具を中心としたインテリアも良かったが、何より建物が陰影のある空間で、ちゃんと夜や朝の気配を感じることができた。と言っても、このような家屋は少し前まで日本のあちこちに残っていたはずだ。それらが少なくなったことは残念に思うが、現実には老朽化やメンテナンスや快適性など不便なこともあるので、保存したり日常的に住むのは簡単ではないだろう。

この宿も自治体の空き家バンクに登録して物件を探されたそうだが、購入時には荒れていた建物をここまで綺麗に、そして居心地の良い環境に修繕するまでには大変なご苦労があったことと思う。

再びこの街を訪れることがあれば、その時も是非この宿に泊まりたい。



尾道は、陸海路の交わりし港町 。
「瀬戸内の十字路」として隆盛を誇りし港町。

かつて、さまざまな「人・もの・文化」が水脈を渡りて集いしように、「伝え残したい古いもの」と「伝え残るであろう新しいもの」が交わる十字路として、「地のもの」と「旅のもの」が交わる十字路として、「日本のもの」と「異国のもの」が交わる十字路として、この築八十年のお屋敷に「水尾之路」をつくりました。

宿として、カフェとして静謐なひかりに会いに、お越しいただけると嬉しく思います。



追伸:
この宿を教えて頂いたMさん、ありがとうございました!

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