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"紅一点"が映える紅葉の京都

金曜日の夜、会社から帰るとふと思い付いた。

「そうだ! 京都に行こう! 今から!」

幸い私が住む名古屋から京都は遠くない。直ぐに家を出て駅から電車に飛び乗ると、各駅停車を乗り継いで京都に向かう。電車内で予約した駅前のホテルにチェックインしたのは日付の変わる直前だった。

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明けて次の日、I have no planである。寺社巡りか紅葉散策か建築探訪か...。まあ気の赴くまま行こう。

はじめに向かったのは左京区にある蓮華寺。天台宗のお寺である。紅葉でも名が知られており、昨年訪れてとても良かったので今年も来てみた。
寺の前を流れる高野川の水は澄み、天気も快晴で、素晴らしい日になりそうだ。

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蓮華寺

この日一番乗り! 門はまだ閉ざされており、しばし待つ。
見上げれば、青い空のキャンバスを背景に、赤・黄・緑といった様々な色の葉たちが見事なオーケストラを奏でている。

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山門から庫裡まで続く参道。充分に美しいのだが、正直に言えば、紅葉にはまだちょっと早かったかな?

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この蓮華寺の見所は書院から眺める庭園。

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縁側ではなく、このようにあえて部屋の奥から鑑賞することをお勧めする。柱が額縁となり、庭園を絵画のように切り取って魅せてくれる。

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庭園は小さいが、池泉回遊式と呼ばれる池の周りに築山を配置したもの。木々が池にこぼれ落ちるかのように植えられている。もう数日経てば、さらに紅葉が色付くだろう。

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紅葉に埋もれた鳥居。

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規模は小さいが、その中に"秋"がギュッと詰み込まれたお寺であった。

ちなみにこちらは去年の蓮華寺。逆に紅葉には少し遅かった。

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比叡山ハイキング

更なる紅葉を求め、蓮華寺から徒歩15分程の八瀬もみじの小径に向かった。ところが川辺の一部は紅葉していたものの、もみじの小径はまだ青々としている。

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どうしたものかと迷っていると、ふと目に入るものがあった。比叡山へのケーブルカーである。

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「山の上は紅葉しているかもしれない」と短絡的に考え、あまり調べもしないでケーブルカーに乗り、山腹の比叡駅で降りた。駅と言っても山の中なので何もないが、麓からの高低差は560mもあり、京都の街を見下ろすことができる。

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延暦寺のある山頂まで行くにはさらにロープウェイに乗り換える必要があるが、今回はハイキングルートを辿って京都市街まで戻ることにした。
素晴らしい眺望であるが、あの下界まで降りるのか...

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歩き始めて数分、鹿に出会った。奈良公園の鹿は人に慣れているが、比叡山の鹿は人を見かけると逃げていく。それが普通だと思う。

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紅葉目当てに山に入ったものの、ここでも紅葉には少し早い。

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それでも紅一点とばかりに、所々にある紅葉が緑の中で映えており、そのコントラストが美しかった。

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途中で水がきれいなせせらぎを渡る。日々の雑念で汚れた私の心まで洗われるようだ。(直ぐまた汚れてしまうが...)

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降りてきた場所は左京区北白川にある大山祇神社。

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比叡駅からは約2時間のハイキング。後で分かったことだが、今回私が歩いたのは京都トレイル東山コースの一部だった。


知恩院

ノープランの旅行だったが、一箇所だけ訪れようと決めていた場所がある。浄土宗の総本山知恩院である。中学の頃、宗教系の学校であったこともあり、学校行事として毎年知恩院を訪れていた思い出がある。

知恩院と言えば、まずは国宝にもなっているこの三門。1621年の建立なので、今から400年前である。高さ24mもあり、訪れた人々は皆その大きさに圧倒されていた。もちろん私も!

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本堂である御影堂は1639年の建立。間口45m、奥行き35mとこちらもデカイ。

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裏手には大方丈と呼ばれる書院建築がある。

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大方丈の庭園。やはり紅葉には少し早く、紅一点

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この松は三代将軍徳川家光公が植えたもの。ただし松も三代目。

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院の奥には法然上人の遺骨が納められた御廟がある。合掌。

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法然は鎌倉時代の僧であり、当時の知恩院はまだ小さな草庵であったそうだ。それがこのような大規模な伽藍となったのは、徳川家康が浄土宗徒であったため、江戸時代に幕府から援助を受けてのことである。


青蓮院

せっかくなので、知恩院の隣にある青蓮院もサラッと見学。青蓮院は皇族・公家が住職を務める寺院である。池泉回遊式の庭園が美しい。

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季の美House

「季の美」は京都初のジン専門蒸溜所だ。私も愛飲している。京都市役所の隣には、そのブランドルームでもある季の美Houseがある。季の美やグッズが購入出来たり、ジンの作り方を学べたり、試飲も出来る。

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歴史ある建物をリノベーションした素敵なインテリア。

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朝からノンストップで歩き回り、さすがに少々疲れたので、数種類の季の美をテイスティングしながら一休みした。

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決して安いお酒ではないが、「ジンってこんなに美味しいの?」と思わせてくれることは間違いない。季の美は全国の酒屋で販売されているので、是非どうぞ。


石山寺

そろそろ帰るかとほろ酔いで季の美Houseを出たが、最後にもう1箇所。
京都の隣、滋賀県大津市にある石山寺にも立ち寄った。奈良時代創建で、枕草子にも登場する歴史ある寺院である。

その境内には江戸初期、古いものでは鎌倉時代からの伽藍が多く残り、国宝や重要文化財にも指定されている。そんな貴重な境内で、この時期、紅葉ライトアップが行われているのだ。

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大津でもまだ緑の葉が多い。しかし紅一点の紅葉はライトアップにより、それなりに美しく見える。

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岩の間に生える紅葉。

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日没直後なので、空がブルーに染まっている。この塩梅が良い!

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凄いのは国宝である多宝塔からのレーザー光線。少々やり過ぎ感もあるが、やはり演出は重要。

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予め分かっていたことであるが、京都でもこの大津でも、紅葉には少し早過ぎた。しかし天気も良く絶好の秋日和であり、何より緑の中で紅一点とも言うべき美しい色を魅せる紅葉は、充分に私を満足させてくれるものであった。


そして石山駅からまた各停を乗り継いで名古屋まで戻る。

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ノープランの旅であったが、終わってみれば40,000歩のハイキングであった。
自分で決めたとは言え、ハイキングは全く想定外だった。だから旅は面白いんだよね。たとえそれが京都というメジャーな観光地であっても!

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