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London ロンドンが呼んでる

旅の青年は飛んだんですね。千葉からロンドンまでいっちゃってますね。

過去の旅の話を、旅を終えていく過程の過去の俺が書きました。

それを今落ち着いてシェアするというスタイルです。

未来の君に届くと良いね。

一体全体、旅の青年は今どこで何をしているのか。

彼はもう、どこにもいないのですが、たまに巡って来て、そっと僕の背中を支えてくれています


こんばんは。書いている俺はもう新しいからさ、彼がどうしたこうしたの旅の話はここでしよう。

昨日、僕はとある国家試験を受けてきました。結果はそのうちわかりますが、これも相当な時間をかける必要があります。

向かわないと、届きませんし、時代の変化めまぐるしくてもう大変。

必死こいてるので、今年は後二つしっかりした試験受けちゃいます。調子に乗ったら、三つかもって、それは冗談です。

本編長いので、もう早速いきます。

編集後記で待ってます。スキです。

the U.K.編

The United kingdom and Northern Ireland 

グレートブリテン及び北アイルランド連合王国

London ロンドンが呼んでる

夢って言うと、ちょっと照れるし臭くもある。でも、今にして思えば俺はいつか見ていた夢の中を旅していた。この話も、俺が描いていたイメージの一部だったんだ。ロンドンに向かうまで、少し日本にいた時の事も思い出して話そうと思う。
思い出の中でロンドンに飛び立つのは今日からがいいのかもしれない。今日は3月11日、満月。東日本大震災が起こった日だ。六年前、それからまだ俺は幸運にも生きてる。いつまで続くかわからないこの時を生きてる。
この日には、僕には何が出来るだろう。祈ること、そしてやはり今を強く生きる事。想うことはたくさんあって、生きることが出来なかった人もいたことも忘れちゃならないことだと思う。

台湾から帰ってきて、大きな括りでいうところの「ワーキングホリデー」っていうのは完全に終わった。いや、もうすでに終わっていたのに、まだ俺はもがいていたみたいだ。

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時間はものすごい勢いで過ぎてく、やりたいことが出来なくなるそれまでにやらねば一生出来ないと思って、ヨーロッパの旅を決めたんだ。そっちの方が怖いから、びびったまんま何にも出来なくなるのが怖かった。

日本にいた頃、もう僕の友達は家庭も、なんなら子供だっている奴も多くいたんだ。そんな中でも毎回いつものメンバーで行ってる夏の旅行、「俺たちの夏」とかバンドのライブも出来た。

地元の後輩の子と花火を観に行ったりデートしてたりしたなぁ。彼女が欲しくて、なってもらったんだけど、やっぱすぐに終わった。九十九里で見た花火とか、ポートタワーの夜景とかそれなりに心地よかったのだけれど。

どうしようもないぜ。これを書き始めて、あと一ヵ月で一年経つ。あっと言う間だ、早すぎる。これが俺の見た「光」なのなら、どこまで輝きを放つのか確かめてみたい。自分でも上手くコントロールできないのがこの「光」なんだ。

実家でお世話になって、ただただ猛烈に英語を勉強してた。遅かったってのは十分わかってた、でもやらなきゃしょうがなかった、それも無くしたら俺、さっぶいじゃんか。
バンドの音は頭の中では殆ど鳴らなくなってた。この夏、何か新しい事を始めないと、もう何も始まらないってことは十分にわかってた。

真っ暗闇の中、胸が苦しくなることも、不安に打ちのめされるようなことも何もなかった。心の中はいたって平和で、むしろ安心していた。将来は眩しくて見えていない、そういうもんだった。たまにふと、寂しくなることはあるけれど、それはそれ。やがて胸の奥で混ざって沈殿していく。

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イギリスへ飛んでから先の事なんててんで見えてなかった。でも確実に運命は俺をそっちに導いていた。喜びの溢れる方向へ顔を向けて、においをかいで、たまに振り向いて、ゆっくりでいい。全く無理な事なんてないんだから、ゼロじゃない。やっぱりこれは夢だったのかもしれない。

日本にいた数週間、静かに暮らしてた。穏やかに、どうしようもなく、息をひそめてた。心の声だけ聴いてる。バンドばかりやっていた頃の僕がぼやけて浮かぶ。後悔はないし、今でもバンドサウンドを鳴らしていたい。「今」って奴を鳴らすんだ。いつだってそう。そうなんだ。全部飛ばして、全部放って、全部持って、全身で感じてこよう。もうどうにだってなれる!
「100%勇気」で、ぶっ飛んでくるってんで、ロンドンに飛んでく為に成田空港へ向かった。胸はドキドキしていたし、どこまで跳ねれるのかもわからなかった。二度と戻って来ない「一瞬」にかけてる。

成田空港でバックパック背負いながら、はらはらわくわくしてたのを覚えてる。本当に入国できるのか、これで入国拒否くらって日本へとんぼ返りしたら笑えるなとか、いろいろ考えまくってた。もう、あと数十分で出発だ。なんか、笑いがこみあげてくる。

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北ウイング出発便ご案内って書かれた電光掲示板が僕らにそれぞれの行き先を示す。コペンハーゲン、ローマ(モスクワ経由)、バンコク(スワンナプーム)とか、ムンバイ。

世界は広く、輝いて見えてる。これから起こりくる近い未来、それを選んだのはいつだって自分自身でいられるだろうか。

無意識にイスに腰かけていた。時間は刻一刻と迫ってきている。この瞬間を忘れないように見上げた空港の高い天井。僕はまた出国していく為、出国審査を受ける。前の人に習って列に並んで順番を待つ。僕はローマ(モスクワ経由)お昼12:00出発の便でロンドンのヒースロー空港へ向かう。途中ロシアの首都モスクワで乗り換える。

どうしよう、ロシアも初めてだ。搭乗口まで行っても、飛行機に乗り込むまでは少し時間があった。僕はおにぎりを最後に口に運ぶ。ソファに腰かけて列に並んでいく人々の顔を眺めてる。アジア風の顔を見つけると気持ちは少し和らいだ。

今日は生憎の雨か。出発前、窓側の席に座って窓の外を眺める。翼の下にあるジェットエンジンが僅かに見える。雲はうす暗いグレー。

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飛行機の窓に雨粒が垂れる。いつ戻ってくるのか分かったもんじゃない。すぐかも、それか保険がきく9ヵ月間以内かも。狙いは、過ごせるもんならどうにか9ヵ月。行くなら今しかない。

飛行機は滑走路の上へ、ガクッとギアが上がってGがかかる、機体がいよいよ飛び立つ。体を椅子にもたれさせ、タイヤとコンクリートの擦れる音が鳴りやみ、機体は上昇して行く。

窓の外、どんどん空港は遠く小さくなっていく。街は、あぁ街はそういう表情をしているんだね。あそこに電車が走ってて、そっちは港。僕の産まれた街はここからの角度じゃ見えない、それもすぐに雲に遮られてわからなくなった。

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飛行機は大きく弧を描きながら上昇しているようだ。雲の上に出るまで、もう少し。目を閉じて、「ふぅ」っと息をはいた。

体は、心は、脳みそは、俺のバックに背負っているもんもまだ離れていなくて、意志も留まってくれてる。どこにもいってない、俺はここにいる。高速で動いていても感じる、向かうべき道に光は射してるって言い聞かせてないとやってられない。

何時間が経っただろう。椅子の前に置いてある本とか、自分で持ってきた本とかを読んでいた。ロシアの航空会社の機内サービスは充実していてご飯も出てきた。

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窓の外に広がるのは青い空と白い雲。雲はぽつぽつと、てんでばらばらにまとまらず浮かんでる。

窓の下には大陸が広がっている、ここは中国か、モンゴルか、はたまたロシア上空か。大きく伸びる一本道以外に見えるのは、森。ずっと森。森だけ。時間は経っている様で経っていない。いや、経ってる。世界は広いので、時差がある。

とにかくロシアに着くまでにえらいこと時間がかかってるんだけど、地球の自転と反対に飛ぶから時間の感覚が狂ってくる。

ロシアに着く迄に今までの旅の事を時系列で考えてた。

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どうやらロシアに着いた頃には自分の体の中じゃ夜の9時か10時くらいの様な気がしていたけれど、現地時間だと午後の3時か、4時かそこらだった。

外はまだ明るい、初めてのロシアの空港で乗り換えに3時間待つことになった。

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僕にはそいつが短く感じてならなかった。そんでもって、イギリスでの滞在場所を入国する際に記入しなくちゃいけないんだけど、まだ宿が決まってないっていうゆるい感じ、頼むぜ。ロンドン着くの夜中だぜ。大丈夫なのか。まだ入国出来るか確かじゃなくてさ、それなのに、宿も何もないかなって思ってさ、目星だけ付けていて、ロンドンに着いたら電話して宿をとろうとしてた。

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ロシアからイギリス迄も窓側の席で、ヨーロッパ大陸を飛行機の上からずっと見ていた。遠くの街の明かり、異様に明るい所。あそこはきっとパリだな。とか、なんとなく席の前に着いてる液晶の画面に飛行機の経路が表示されてたから感じてた。パリにもいつか行くことになるんだろうか。

イギリスに降り立つ頃には、体の中じゃあ深夜だったけど、現地時間は夜の10時くらいだった。さて、無事に入国できるのか。不安だったけど、イギリスを出国する仮チケットも持ってたし、泊まる宿の情報もあったから、なんとか伝える事が出来てパスポートにスタンプを押して貰えた。よしっ第一関門突破だ。体中で血も気持ちも踊ってる気分で入国手続きを終えた。

国を越える時、いつもバンドでステージに立つ前くらいに興奮する。

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ヒースロー空港からロシアで決めたバックパッカーズホステルに向かう。

どうなるんだろ、まだふわふわしてた。試してみてからだ、とにかくやってみる! 地下まで降りて、見よう見まねで地下鉄の切符を買って市街へ向かった。吸い込まれてく線路の向こう。

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電車の揺れる音が聞こえる。目の前にはブロンドのお姉ちゃん達。

僕は今ロンドン市内へ向かう地下鉄の中にいる。どこからともなく悪い奴らが現れて、俺に金よこせって絡んでくる。なんて思ってたけど、そんな奴はいなかったし、真夜中ってわけじゃないから安心だ。

旅で鍛えた勘を頼りに電車を乗り換えて、どうやら今日泊まるホステルの最寄りの駅に着いたみたいだ。ここは一体どんなにおいのする街だろう。ロンドン中心部ではあるけど、場所ごとにやっぱり何か違うもんでって言っても夜だから店は閉まってるし、明かりも少ない。スマホの地図片手にバッパーまで歩くしかない。

フェニックスって言うストリートにあるバックパッカーズホステル。夜中にいきなり空港から電話して行ったのに運よく泊まれた。大部屋、しかも三段ベッドの部屋。それでもって11パウンドだから、なかなか取るよな。人気のない狭い二段目のベッドに入り込んで、シャワーを浴びた。その日は移動でくたくただったからぐっすり眠ったんだ。

今、日本は4月。桜が咲いてる。僕は急性胃腸炎で仕事を休んで寝込んでる。腐った玉子でも食べてしまったんだろうか。いい機会だから、ずっと前に書いた『高校純情物語』を読み返した。
なんか、もう一回散歩してくる。これもまた書けそう。銭湯に行ってきた。体の調子はもうだいぶ良い。

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夜が明けて朝が来た。ロンドンで迎える初めての朝。ご飯を食べに行くついでに、街の中心まで歩いてみようと思う。道路脇の電話ボックスの横を二階建てのロンドンバスが通っていく。

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僕はまず宿の近くの「ビートルズ」のジャケットで有名なアビイ・ロードに行ってみることにした。そこにはなんの変哲もない横断歩道があって、近くのポールにはたくさんのバンドのステッカーが張ってあって、それが剥がされたりしてた。ここはビートルズファンにとって聖地なのか。観光客の多さに地元のドライバーは迷惑をしているように感じた。
「ビートルズさんやってくれたな」って声が聞こえてきそうだぜ。

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それからハイドパークの方へ歩き出した。大きくて何もない広場がドーンとあって、僕は空を見上げる。晴れ時々曇り、隙間からお日様が射して暖かかった。椅子があちこちに置いてあったから、のんびりしたくて上に座ってみた、そしたら人が近づいて来てね、「ここに座るにはお金がかかるよ」って言うんだ。知らなかったから、笑って許してもらった。

ハイドパークは綺麗に整備されてて緑がいっぱいあったなぁ。リスもそこにいて、きょろきょろ周り見渡してた。

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そのまんま歩いてロンドン塔の方面に向かってる時にバッキンガム宮殿とセント・ジェームズ・パークの近くで兵隊のパレードを偶然見た。どこの街角から見る景色もヨーロッパって感じで面白かったなぁ。

「ペデストリアンズ」って書かれた押しボタンが横断歩道に設置してあって、その後ろをロンドンバスが通って行った。そいつの向こうにはロンドン塔がそびえ建つ。僕の足はどんどんそいつに引き寄せられてゆく。

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ちょっと話は変わるけど、この前会社の有休を使って韓国に旅行に行ってきた。この話は終章に書く。たぶん、あと半年くらいで追いつけると思うんだ。そうこうしているうちに、今週末は僕等のバンドのライブがある。
僕等は一体いつになったら年をとっていくんだ。こんなこと書いてる文字の隙間にも時間は流れて行ってるっていうのに。

画像17二階建てのロンドンバスが目の前を通り過ぎてゆく。赤い車体、楽しそうな観光客を乗せて今日も走ってる。ロンドン塔の隣にはテムズ川が流れていて、橋の上からそいつを見てた。ここでも風に吹かれてる。午後2時ちょうど、ロンドン塔を見上げてた。

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なんの予定もないからテムズ川周辺を歩いて巡っていくことにした。観覧車が見えてくる。適当な所で川沿いに見切りをつけてどこかの路地裏へと向けて歩く。昔っからある伝統的な佇まいの建物にそって歩く。

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僕はいつの間にか大英博物館の前に来ている。頭上にユニオンジャックが揺れていた。大きなスクウェアに集まるたくさんの人々が、噴水が勢いよく水を噴き上げてる大きな銅像の元に座り込んでいた。その脇でおひねりを頂いているあまたのバスカー、ユニークな姿に変装している中身は中東の人だろうな。どこにでも裕福な人と、そうでない人がいる。

階段を一段一段踏みしめて、まだ丈夫に動くこの体に感謝してる。僕は大英博物館の中、でっけー絵や彫刻に見入っていた。美術に詳しい人は一日中いても飽きないだろな。俺は旅の中だったけど、割とゆっくり見ることが出来た。経験の一つと考えていた、ロンドンに来てるんなら大英博物館行っとくか、みたいな。これまでの旅でひょっとしたら何千って美術品を見てきた、俺の目は多少は肥えたかもしれないんだけど、本当の事はよくわからないなぁ。

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外に出て、ピカデリーサーカスの近くを歩いて回ってみた。行楽シーズンのロンドンはどこを歩いても人だらけ。ランドマークのエロス像周辺に溢れている人達。「コカ・コーラ」の大きな看板が後ろで赤く光ってる。

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歩き着いたマウントストリートガーデンで、ベンチに座り木漏れ日を浴びてた。メルボルンで買ったグレーのニューバランスの靴がもう随分くたびれてる。こいつで少し歩きすぎたんだ。

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午後の光に照らされるハイドパークに僕はまた来ている。半日、あたふたと歩いて過ぎていった。ここから先の事なんてイメージしかない。確かなものなんて全くない生活の真っただ中。ジーパンにはまだ青みが残ってて、ひげはついてない。

街角に影が伸びて、アスファルトは静かになった。

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短い夏のほんのひと時。若者が一人、車の通りの少ない道路の真ん中を歩いてく。路地裏のバス停でバスを待つ人、通りを歩いていく人々。ロンドンの普段の生活が流れている。そういう現場のにおいに触れてる。初めて見る店のドア。ロンドンのアンダーグラウンドの表示板。「イッツオンリーロックンロール」と書いてあるかっこいい看板。

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ロンドン二日目、朝からパークスクウェアガーデンを歩くと、リスと目が合った。そこから歩いてユーストン駅まで行ったんだ。ここからはバーミンガムまでの列車が出てる。

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ロンドンにはいくつかの主要駅があって、それぞれが別の場所へ繋がっている。日本でいう山手線みたいのがなくて、たぶんメトロでは繋がってんのかもしれないけど。そんで、なんでバーミンガム行くかってーっと、リヴァプールからアイルランドへの飛行機のチケットを持ってたからで、時間もあったから。それと、バーミンガムの女の子達にシドニーの「マルディグラ祭り」の時に、俺がアフロのウィッグ被って出かけてたら声かけられて、そっからなんか連絡先交換してみたいな感じになったから、せっかくだしイギリス第二の街だし行っておこうかなって感じで向かうことにした。

次の日の為にユーストン駅の下見と切符を買う。これで間違いなく俺の体はバーミンガムへ行く。

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キングスライブラリーでアートを鑑賞しながら物思いにふけってから、街角に木漏れ日なんか射してるロンドンを漂流していく。

バッグを肩にかけた男がマウンテンバイクに乗ってる。雨が降った日の後だったら、後輪に雨水を遮るやつがないタイプのだから背中が汚れちゃうぞ。その男の目線の先の車が今まさに右折しようとしているお昼前。

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ロンドンの街中をぐるぐる周る、セブンダイアルズ付近でコーヒーブレイクをしているロンドナー達を横目で見ながら僕は、5パウンドくらいするコーヒーをまだ飲めずに歩いていく。道しるべの裏手にはどこかの何かのステッカーが張ってある。こいつらはバンドマンなんじゃないかって首をかしげる。赤い電話ボックスの横に綺麗に並んでいるバイク。

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コヴェントガーデンまで来た。賑わうアップルマーケットの広場の石畳に座り込む人々は何を話してる。石と石の間にはこれまでの塵が詰まってる。やたらと機材を持ったバスカーが奏でるミュージック。

何を歌ってた、お前は世界に何を放ってる。そして俺は、まだそこにいたのか。いつだって夢を見てる。まだ見ぬ世界にはいつだって希望を持っていい、そう思ってた。

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抜けるような夏の青い空、ロンドンにはテムズ川が流れる。「ピーターパン」も昔は飛んでいた橋の上から船が行きかうのを見ている。観光客を乗せたジェット船が橋の下に消えていく。

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呼吸をしていたその瞬間の雲はもう何処にもなくて。あれ、俺は。俺は無事に日本に帰れるのだろうか。片道切符の一人旅、気晴らしに公園まで歩こう。
リバーサイドの公園の芝生で寝転ぶ時間は幸せだろう。ロイヤルナショナルシアターのあるサウスバンクに渡って来た。このまま川沿いに歩いてロンドン橋まで行こう。

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そこにはオーストラリアみたいに地下道があって、ギター弾きの若者が壁にもたれかかってだるそうに演奏してる。バイオリンを弾いてる女の子は可愛くて、後ろのなんでもない壁に音が反射してまわる。

この道はもう二度と通らないかもしれないんだ。

円錐形の建物、ザ・シャードのてっぺん見上げながら進んだ。ロンドンブリッジステーションのアンダーグラウンドの看板の前で佇む男。まるでディズニーランドのようだ。もう少しでロンドンブリッジ。もう、目の前まで来てる。

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なんかさこのまま一日が終わるのも違うなって思ってさ、だったらここに一つ何かを記しておきたい。去年の4月にこの物語をブルガリアで書き始めてから、大まかな流れを時系列で記してここまで来た。本当は毎日30分づつくらいで進めてきたかったけど、そうもいかなくって。IELTSのテストが終わったら、少しは時間に余裕が持てるかもしれない。
今年はやたらと自分なりに挑んでいると思う。いつもそうだけれど。行けるところまで行かなくちゃ。ロンドンブリッジを眺めてからもうすぐで2年が経ってしまうなんて考えられない。時の速さに置いて行かれてしまいそう。もっと僕は激しく生きたい。毎日にしがみついていたい。何かやるせない時間をただ繰り返す毎日ってのは好きじゃない。

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ブロンドのお姉ちゃんの大きな背中を見ながらロンドンブリッジを渡り、橋の上からテムズ川を眺めよう。サングラスに映った白い雲。シティクルーズが川を渡っていく、僕にはなんにもできないのかもしれない。認めるのが負けな様な気がして、旅にしがみついてただけかもしれない。僕は風に吹かれてぱりぱりに乾かされていたい。

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ロンドン橋を渡ると、緑色した芝生の上に大砲が川に向かって置いてあった。すぐ隣にはロンドン城、壁の向こうの城の全体像をイメージした。近くの立派な建物にあるスクウェアの芝生の上で寝転がってるロンドナー、オーストラリアでみた光景に似てて笑える。

陽が傾き始めてる、僕は大きな宮殿の入り口で歩みを止めて、どうしてまた入り口に戻ってくるのに人は歩むのか考えてた。

夏のロンドンの日は長く、午後7時前だというのにまだ明るくかった。あぁそうだね。僕は「サマータイムブルース」を歌えない。僕は風みたいなもんで、誰も僕を気に留める者はいない。知っている人が誰も居ないユニオンジャックがはためく街に来ていた。

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これが旅なら、少しの可能性も見いだせなかったんなら、今こうして僕の事を記せなかった。この全ての旅には意味があったってことを、それをただただ信じていたい。
ピカデリーサーカスの前で座り込む人々はどことなく公園にたむろしてる鳩の様で、そうみると滑稽で、俺もお前もなんにも変わらないんじゃんかって思えてさ。なんか不思議で、天パーの毛むくじゃらのおっさんが見上げる空も、ロンドンバスの二階席からの空も同じなんだ。

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今日もピカデリーサーカスの向こうの看板に、でかでかとコカのマークが赤く光る。

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2ピースバンドが街角で熱を上げて歌っている時、ロンドンの名もなき両替所で日本円をパウンドにしたことを思い出した。

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バケツを叩いてパフォーマンスをする黒人男性、見た感じ45くらいでも、実年齢32のそいつは奏でる。そいつの音、バケツを鳴らすコイン。僕もしてた道端での活動、やっぱり思い出せる。

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宿に戻って狭い小さなベッドで微かな安らぎと共に眠ろう。

希望を胸にそっとしまってる。落とさないように、零さないように、盗まれないようにそっとしてる。

朝起きたらUK第二の街、バーミンガムへ。

編集後記

ここまで読んでくれてありがとうございます。

皆さん優しいね。お茶出したいよ本当に。スキです。

彼が残した旅の言葉達はどこにも届いていませんでした。

胸の中に秘めているだけ、でも彼はそれが伝わるもんだと信じていたらしいのですが、そうは問屋が卸しません。

言葉で伝えないと、届くものも届かないんだよ。

僕達は言葉足らずで、言いたい事も上手く言えません。

音楽や、今は皆さんのnoteに癒されています。

一番いいのは画面の前にいる君の笑顔です。

臭くて、濃い。頂きありがとうございます。

本編でUK編に入っているのでここで「ビートルズ」を聞きたいし、『サマータイムブルース』も聞きたいんだけど、今日はあえて、『デイドリーム・ビリーバー』を聞かせて頂きます。と、思ったんだけど。

やっぱり、今日は「ビートルズ」にしようかな。

『Let It Be』がとても優しいので、次回のバーミンガムでの旅の話もシェア出来そうな気持になってきました。

スキ、フォローいただけたらクライマックスのヨーロッパ編勢いに乗っていきます。

「コメントするのは気を使うので、遠慮させていただきます」

そんなあなたもスキです。そのままでいい。

また次回会いましょう。

ここからも、どうぞよろしくお願いします!!

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