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あるべき場所に帰ったナイト・クルージングと清水音泉・清水さんとフィッシュマンズ

大阪の泉大津で開かれるフェス「OTODAMA2013」を見に行きました。2019年の「OTODAMA」で20年ぶりのフィッシュマンズを見て「自分的フィッシュマンズ再加熱の原点」とも言える野外フェスです。

しかし今年のGW連休をなめていました。フィッシュマンズが目当てのためスカパラあたりから見れればいいかとゆっくり目に出発が裏目に出ました。新幹線の指定席取れなかったので何本か見送れば自由席も座れるだろと思ったのが甘かったです。まず東京駅構内で新幹線の改札口に行くのも列が並んでいるような状態でした‥‥。比較的自由席が多い「ひかり」に乗り込むと新幹線も遅れがちで25分ほどの遅れで新大阪、そこから地下鉄、南海電車に乗り継いで何とか泉大津へ。タクシーで会場に行ってもらいますがタクシーでは駐車場のかなり手前までしか行けなくてフェス会場入り口までトボトボ歩いて行きました。遠くからすでにスカパラの演奏が聴こえてきます。

やっとのことで入り口に届くとメインの大浴場ステージ前はすでにオーディエンスでいっぱい。おっさんなので体力温存のためフードエリアから聴くことに。ライブもちょうど後半となりゲストの奥田民生さんが「美しく燃える森」を歌い大盛りあがり!民生さんは次の「PHNB」でもスライドホイッスルで参加してさらにものすごいことに。本当にフェスのスカパラは強い!

そして次の奥田民生さんはPA付近からのんびり眺めることに。リハーサルのドラムの音がすごくいいなと思ったら名ドラマー湊雅史さん!そしてなんとベースも名手・小原礼さん!そこにキーボードの斎藤有太さんを加えてMTR&Yというレギュラーバンドですっとやっているそうで(不勉強ですみません)、ツェッペリンの「Black Dog」をオープニングに腰の座った日本語8ビートロックをたっぷり楽しめました。民生さんのMCで印象的だったのは「OTODAMAは全国数あるフェスの中でも音量制限とかなにもない、一番自由なフェスだと思います!」とのこと。やはりそうか(笑)。

奥田民生さんが終了したあたりでおもむろにセンターゼロズレに場所取り。ど真ん中にPAコンソールへのケーブルのカバーがあるので位置取りはわかりやすいです。エンジニアの西川一三さんがPA席に着くのを確認してから移動しました。隣の露天風呂ステージからはフラワーカンパニーズの素晴らしい出音が聴こえてきます。「ヨサホイ!ヨサホイ!ヨサホイのホイ!」は思わず腰が動きました!

ステージ上ではフィッシュマンズのメンバーが各自サウンドチェックを始めています。そしていつの間にか始まる「土曜日の夜」。欣ちゃんと柏原君がイントロを弾き出すとハカセも木暮っちもダーツさんも自然に曲に乗っていきます。あたりはすっかり夕闇になり、周りは人がいっぱい。そして大音量のロックンロール曲〜ShazamしたらThe Birthdayの「Buddy」に乗ってメンバーが続々とステージに入ってきます。病気治療のため今回のゲスト参加を断念したチバユウスケ氏へのリスペクトを表明していることは言うまでもありません。

1曲目は「チャンス」。位置取りも良かったのかもしれませんが今回はこれまでになく楽器のセパレーションがよくかつ音量もデカイので凄まじい迫力です。特に譲氏のベースのタッチが生々しい。そのまま2曲目「Baby Blue」に突入。ヴォーカルの原田郁子さんも含めバンドとしてもフィッシュマンズの一体感がものすごいです。そして欣ちゃんがゆったり刻むハイハットとハカセが弾くシンセパッドのあの和音に乗ってあの曲、「頼りない天使」が始まります。欣ちゃんが「ウーア!」と叫ぶとそこに登場したのが迷彩のジャンプスーツを身に着けたUAさんでした。

UAさんの声がものすごかったです。女性なのに原曲と同じキーで佐藤くんと全く違うけど凄まじいヴァイヴスでねじ伏せるように歌っていました。両者の邂逅は「SPACE SHOWER SWEET LOVE SHOWER 2009」以来かと思いますがすぐに凄まじい化学反応を起こしました。

「すごい影響受けてると思いますね。なんなだろうね、アレね‥‥。
なんか、もう完全に私はサトちゃんのファンだったから
安々と話しかけたりとか出来なかった‥‥。
今だったらすごい出来るような気がするけど、当時はわぁ〜って感じで見てて。ライブ見ちゃった時に、なんかもう、どうなっちゃてるんだろ、あのカッコよさ!
なんか言っても「ヘンタイ踊り」って言うかね、なんだけど、それがもうアタシにはドンズバっだったわけで。
あんなふうには出来ないけど、あんなふうにありたいって今でも思ってる、ステージの上で!」

映画「フィッシュマンズ」より

映画「フィッシュマンズ」前半で登場するUAさんのインタビューです。映画を初めてみたときUAさんがそこまでサトちゃん好きだったことに大変驚いたものでしたがOTODAMAステージでのUAさんのパフォーマンスは映画でのインタビューを十分に裏付けるものでした。

続けざまに「WALKING IN THE RHYTHM」のあのループフレーズが鳴り響き、ギターもいつも以上にモデュレーションがかけられたかのような捻れたサウンドの中で、ハナレグミ永積さんも登場。その横ではUAさんがまさにあのサトちゃんの「ヘンタイ踊り」を披露、まるで佐藤くんが乗り移ったかのようでした。途中UAさんのスクリーミングやダーツさんのギター、ハカセのシンセサイザーもまるでHONZIさんのエレクトリックヴァイオリンをシュミレートしたようなサウンドになったりして、とにかくなんとも言えない磁場のようなものが発生する中、永積さん、UAさん、原田さん、欣ちゃんの4人の”WALKING IN THE RHYTHM”のヴォーカルシークエンスから怒涛のクライマックスに到達し曲は終わりました。これまでに見た一番凄まじい「WALKING IN THE RHYTHM」だったと思います。

そして続けて奏でられたイントロは、チバユウスケ氏が歌うはずだった「Melody」を4人で歌いました。会場は最高潮に盛り上がりました。そのままダーツさんがハーモニックスを使ったあのアルペジオが始まりました、「ナイト・クルーシング」でした。ここで自分は何故か1995年の夏、大阪に転勤となりFM802でこの曲が流れていたときの気持ちを思い出しました。夜になって涼しくなった会場に大音量なのにも関わらず美しく響くフィッシュマンズの音楽。「ナイト・クルージング」は世田谷の「ワイキキ・スタジオ」で制作されたかもしれませんが移籍したフィッシュマンズが鳴り響いていた1995年・大阪の夏がそのままこの場所に現れたかのようでした。ポリドールに移籍してしまったけどフィッシュマンズのライブに変わらず招待してくれた(当時はサウンド・クリエイターだった)清水音泉の清水さんが主催しているのがこの「OTODAMA」。そしてこの会場に「ナイト・クルージング」はまるで帰ったきたかのような想いになり私は思わず泣きそうになりました。

会場のオーディエンスもそれぞれの気持ちでいっぱいだったと思います。それを代弁するかのようにUAさんが「はいっ、みんなでエネルギー送るで!チバッチ〜〜〜!」とシャウト。欣ちゃんも「確実にあの男に届いたよ」とコメント。今日一番感動的なシーンでした。最後に欣ちゃんから「ちょうど30年前に発表したこの曲、これからもずっと歌い継がれていくと思います、「いかれたBaby]!」いつものように「いかれたBaby」を最後にOTODAMA初日トリのフィッシュマンズのステージは終わりました。最後に花火が打ち上がり感動的なライブを締めくくりました。これも清水さんの粋な計らいなんだろな。

とてもあっという間だったフィッシュマンズのライブ、時間を見たらちょうど1時間だったのですが、欣ちゃん&譲、ハカセ、ダーツさんと木暮っちの完璧な演奏は全盛期を超えるかの素晴らしいコンビネーション、それに原田さん、永積さん、欣ちゃん、そしてUAさんの素晴らしいヴォーカルが自然に溶け込んだ「真のバンドサウンド」にフィッシュマンズはまたもや進化していました。あとUAさんは「We are Fishmans! Yamaaan!!」って確実に言っていいました!

noteの清水音泉のページを見つけました。清水さんが書いているのかな?
清水さんもフィッシュマンズは再始動以来、最高のライブだったと言ってます!

余談ですが帰りのタクシー列で待っているとき前に並んでいた20歳の男子と話をしました。彼はサカナクションのファンで山口一郎さんがリスペクトするフィッシュマンズをどうしても見たくて沖縄から独りでやって来たらしくタクシーをシェアして途中まで一緒に帰ったのですが,、彼にも「今日のフィッシュマンズのライブは90年代リアルタイムのライブと全く遜色ないよ!」と自信をもって伝えておきました!おじさんの上から目線になってなかったかな。ちょっと心配です。

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