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【胃がんサバイバー日記】次に向かって

術後半年検査

空から光が射している、9月下旬の朝。その日は胃がん亜全摘術後半年検査の日。当日の朝から食事制限があり、検査の前にはより綺麗に写すためにトイレの時間も制限がある。

血液検査と造影剤CTのみ。経験上、入院中なら30分くらいで終わる内容だが、1日休みを取った。

病院について手続きをする。もう何度目かになるその行為は、スムーズに終わり、先に血液検査へと進む。5人ほどのまちを経て順番になる。
「チクッとしますよ」の声と共に、銀色の針が体内へと進む。今回の担当さんは少しだけ、チクッとした。人によって全くと言っていいほどの痛みがなく採血が終わる時がある。そんな時に小さな幸せを感じたりする。

CTの場所へ移動し、書類を提出しながら名前を言う。「今日は混んでるから予約時間ギリギリに再度来てください」と言われ、ソファーで座って読書をする。

老若男女、いろんな人が待っている。目に見える"病"、目には見えにくい"病"、人それぞれだ。時間きっかりにセットしたタイマーが震える。もう一度窓口へ行き、手続きを済ませ処置室の方へと進む。

「混んでいる」、の言葉通りなかなか呼ばれない、何度も部屋に人が入ったり出たりを見送っていると順番になった。

金属の装飾品や、金具のある下着類はないかの確認。ポケットの中身や鞄を下ろし、処置台へと上がる。ベルトを緩め膝ほどまでズボンを下ろし、両手を上げていつくかの確認をされる。

それはそれは、大きなドーナツのような機械に吸い込まれ「息を吸ってください、息を止めてください」と、機械音声案内があり、1度目は終了。
次に造影剤をセットされ右腕から流し込まれる。数秒で身体中が、空きっ腹にアルコールを流し込んだ時に似た感覚で、カァーっと熱くなる。再度ドーナツに吸い込まれ、機械音声案内に指示され、刺激的な検査は終わった。

下ろしたズボンを上げ、ポケットに荷物を戻し、感謝の言葉を伝え処置室を出る。会計に進みまた番を待ち、支払い。3割負担で8400円こちらも刺激的だった。造影剤の検査をした日は水分をたくさんとって薬剤の排泄を促すことを推奨されている。帰りに烏龍茶を飲んだ。


いざ、検診へ

2週間の期間を挟んで、今度は検診となった。
いつもは検査の前などに、お墓に寄り道して
「行ってきます」と、父や先祖が眠る墓前に手を合わせてから病院にへ向かうが、検査は終わっているので、寄り道せずに病院へと向かった。

余裕を持って病院へと行くはずが、あまり余裕のない時間になってしまった。予約診療だったが、なかなか呼ばれない。

中待合に置いてあった、パンフレットの文字が少し刺さった。外から見えない病だからこその辛さがあったりする。だからと言って誰彼に不満など言うことはほぼない。

待合で本を読んで待っているが、検査結果が気になってなかなか本が進まない。結局1時間以上中待合で過ごし、一つの章を読み終わり呼ばれた。

「問題ないです。」

最も欲しかった言葉をもらえた!一安心。半年のチェックポイントは無事通過、残り4年半
いろんな項目の数値も、画像も特に不具合はなかった。

そこからは医師へ質問攻め。半年の間に聞きたかったこと、心配になっていることを次から次へと教えてもらった。全てにおいて的確に端的に満足できる答えがもらえた。

(ちなみに担当執刀医は異動になり、はじめて見る、とても若そうな医師だった、また彼も次回までに移動の噂があるので担当は変わるかもしれないと聞かされた。)

会社の健康診断時に指摘された"貧血気味"と言われたことも術後すぐは数値が下がっていたが順調に回復傾向に向かっていた。何度も「チクッと」を経験した結果が目に見える。嬉しい。

次回は来年の4月。術後一年となる時。検査内容は、血液検査、造影剤CT、胃カメラ。
検査と診察で3日掛かってしまうが、何とか都合を付けて休む。

ご褒美?

久々にマックのハンバーガーを食べた。期間限定の肉厚なんたらと言う、パテが2枚入っていて、更に厚いらしい。バーガー無料券をもらったので、初の試みとなる"追い"をやってみた。
今回は追いトマト3枚。オプション料金で一枚いくららしいが、無料券を使えばそれも含て"無料"となる。単純にトマト分増えているので、持っただけで重さを実感する。

たかがトマト3枚と侮っていたが、そもそも胃がないのに、肉厚かつ追いトマト、バーガーひとつで大満足だった。
(時間をかけて完食しました♪)

珪藻アート

八月の銀の雪という本を読んだ。気になったもの、誰かが勧めていたもので引っかかったものを図書館で探し、見つけたら読みたい本リストに追加。誰が勧めていたのかも忘れてしまったが、予約を入れて順番を待つ。5章からなる短編集、それぞれとても素晴らしかった。どの話も景色が見たくなるものばかり、タイトルから想像できない進み方をするいい読み物だった。

最初の八月の銀の雪は、外国人留学生と就活生の話。銀の雪は、肉眼ではみられない場所にある月より遠くてケータイ程に近い場所。どこだかわかるだろうか?今も降り続いている。誰もみたことがないであろうその景色はとてつもなく大きい。見られる時が来るんだろうか?と思いを馳せた。

瑠璃を拾うはsnsでのトラブルがきっかけの話。その中で出てきた珪藻アート。珪藻土は知っていたが、成り立ちなどは知らなかった。
顕微鏡でしか見られない、その姿はとても鮮やかで素晴らしいものだった。以下ネットから探した珪藻アート

これを作るのに数ヶ月。珪藻を採取して、形を考え、思い通りの場所へ運ぶ。まつ毛の先を使うような、とても繊細で根気がいる作業らしい。
ただ、その美しさは言葉を失う。
よく見かける、珪藻土マットやコースターなどとは同じものとは思えない美しさがある。

ひと段落

半年検診までを一つのターニングポイントとして考えていた。再発や転移があれば
基本「余命」となる。それが10年であっても数ヶ月であっても変わらない。万に一つの可能性で
寛解(がんは完治という言い方はせず、症状が見られなくなった状態を呼ぶ)と、ならない限りだ。見えないほどの小さながんが体内にある状態かは否めないが、とりあえず無い

次の一年検診まで、事件、事故に遭わずに過ごしていきたい。
退院後、ビクビクしながら飲んだアルコールも今ではほぼ毎日晩酌している。喉元過ぎれば、なのかもしれないと思った。検診が終わった日は初心に帰って1日だけだが休肝日にした。

何でもないようなことが、幸せだったと思う。何でもない夜のこと2度とは戻れない夜

と、虎舞竜のロードが浮かんだ。

食べられるって素晴らしい!
飲めるって嬉しい!
動けるって最高!

日々再確認。

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