星野リゾートのマーケター牧場を作る③"リゾート再生"のスキームを踏襲する
②の続きですが話は多少前後します。
2017年の4月に北海道トマムに赴任し、前年までゴルフ場として運営していた100haもの土地を「ファームエリア」として牛が暮らし、生産活動が行われ、訪れるゲストが楽しめる土地にする、という命題を与えられました。
もちろん一人では実現できないので、前章では「海野さん」との出会いを紹介しました。
その前には星野リゾート・トマムエリア内外のアクティビティープログラムの企画、運営、管理などを行う「アクティビティーチーム」とも合流しておりました。
アクティビティーチームは、ゴルフ場エリアのファーム化に伴い、それまでの本拠地から活動場所を移し、ファームエリアを中心にプログラム展開する事になっていたのです。
星野リゾートと言えば、今でこそリゾートやホテルの新規開業も多いものの、私が星野佳路代表のアシスタントを務めていた当時(2004-2005年)は「リゾート再生の星野リゾート」でした。
この2006年にあったNHK「プロフェッショナル」第一回の放送で、特にそのイメージが一般認知されはじめた印象を持ちました。
その再生手法をアシスタントとして隣で見聞きし、身に付けた(と思っている)スキルを10数年の時を経て、発揮する機会がいよいよやってきた訳です。
奇しくもトマムの歴史を振り返ると、リゾート開発前の1980年代前半まで、牛を1000頭ほど飼養する畜産の土地という巡り合わせ。
私にとってこのプロジェクトは「牧場再生」案件だったのです。
代表の隣で学んだのは「リゾート」の再生でしたが、私は「牧場」で応用する事になります。
【星野リゾートの"再生案件"スキーム】
星野リゾートの経営は"基本"を大事にする事は下記の書籍などを参照ください。
星野リゾートの再生スキームの大事な2軸は下記の通り。
①市場に刺さる「コンセプト」を設定し、従業員に浸透させる。
コンセプトはトップダウンでは無く、現場で働く従業員を中心に考え、働くみんなが納得度の高いものにする(中長期戦略)
②とにかくキャッシュを稼げる事はなんでもやる(短期戦略)
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①の「コンセプト設定」は基本に忠実に市場を理解し、自分たちの強み弱みを分析し、従業員が誇りに思える(ここ重要)コンセプトを設定する事が改革の肝になります。
コンセプトは、その後の施設での事業戦略やユニット(部門)単位での戦略を決める上でも常に立ち返る場所になり、航海における「北極星」のような役割も担います。
星野リゾートの施設は、その施設毎の地域性に拘るのは"強み"は地域性にこそ隠れているからです。
その為、星野リゾートではコンセプトメイキングが非常に重要視され、じっくり検討されます。
コンセプトメイキングのフローは、時の流れの中で、姿形が変わっていたり、より進化している物もあるかと思いますが、要点自体は大きく変わっていないかと思います。
一方で"再生案件"はほぼ間違いなく「キャッシュフロー」に問題があります。
単純に言えば"お金が稼げていないので"再生する必要が生じているのです。
①と②は事業再生の両輪になりますが、②を早急に手を打たないと①は絵に描いた餅になってしまいます。
という訳で、キックオフされた星野リゾート トマムのファームプロジェクトも①のコンセプトを策定しながら、アクティビティーチームと協働して早急に②に着手することになります。
トマムの牧場再生においての②はキャッシュフローを稼ぐ事ももちろんですが、”「ファームエリア」の名に相応しい生産地としての命を吹き込んで行く"事も最優先事項になります。
だって、オープン10日前なのに見た目がまんまゴルフ場なので。
トマムは3月いっぱいまでスキー場としての営業を行っており、完全に雪解けするのは4月中旬頃。
なので、グリーン期オープンまでの実質準備期間は2週間ありません😂
アクティビティーチー厶と協力してゴルフ場をファームエリアと呼べる状態に"なる早"で持っていく事が私の着任後はじめの仕事になりました。
次回は、その辺りについて詳しく書きたいと思います。
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長文にお付き合いいただきありがとうございました。
今回は2017年当時と代表のアシスタントをしていた2004年頃を行きつ、戻りつ思い出しながら書きました。
このnoteに記録する事は私にとって、初心を忘れない、という目的もあります。
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