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「密やかな結晶」小川洋子さん(読書感想文)(*ネタばれ注意)

☆かなり若い頃に書いたものです☆

これはすばらしーい!
久しぶりに好みの作家と作品に
出会った。
「偶然の祝福」あたりで、
これは!?と
思ってたんだけど、
この物語は素晴らしい!

架空の島、架空の時代、
記憶狩される島民、
それをまた人々が淡々と
受け止めていく。

主人公の作家、「わたし」
と、おじいさんとの
人間的な温かい交流、
記憶狩りからR氏(編集者の人)
を守るために作った隠し部屋、
徐々に増えていく消滅。

この消滅のくる瞬間が、いい。
空気がザラザラしてるらしい。

で、フェリーとかラムネとか
オルゴールとか、
そして、作品中では、
本も消滅する。

そして、右脚、左手と島民は失い、
(あるんだけど存在しないというか、
もう何だかわからない)
そして、最後に声だけが残って、
それも消えていく。

その本筋と、「わたし」が書く、
声の消滅のタイピストの物語が、
絶妙に絡まって、天才!!の一言。

名前も、乾さんだったり、
R氏だったり、と、
かなり自由。

こういう作風、大好き。ってか、
このいう感じOKなんだー、
とホッとした。

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