Hiroyuki Watanabe

編集者/ライター。主に写真、映像の領域で編集、執筆活動をしています。お仕事のご相談、ご…

Hiroyuki Watanabe

編集者/ライター。主に写真、映像の領域で編集、執筆活動をしています。お仕事のご相談、ご依頼はDMもしくはhiro81p@gmail.comまで。

最近の記事

「祈り」を撮る 金川晋吾写真展『祈り/長崎』

恵比寿のギャラリーMEMで開催中の金川晋吾写真展、『祈り/長崎』を見てきた。金川さんは今年の木村伊兵衛写真賞の最終候補に選ばれ、写真の町東川賞新人作家賞を受賞した写真家だ。 金川さんはこれまでに2冊の写真集を出版している。失踪癖のあった父親をテーマにした『father』。長年消息不明だった叔母を撮った『長い間』。そして、今年7月に刊行予定の『祈り/長崎』が3冊目になる。 写真展、「祈り/長崎」は、長崎の祈りに関わる場所や物、人々の営みを撮った33点の写真で構成されている。

    • 金仁淑作品『Eye to Eye』で感じたムービーポートレイトの可能性

      東京都現代美術館で開催中の「翻訳できないわたしの言葉」展に行ってきた。 この展覧会は、5人のアーティストからなるグループ展で、私たちが普段使っている音声言語だけでなく、視覚言語や身体言語も含めた広い意味での言語コミュニケーションをテーマにしている。 私たちは誰もが異なる経験や文化、歴史をの中で生きてきて、同じ言葉を使ってはいても、他者とは違う「じぶんの言葉」を持っている。言い換えれば、誰もが「翻訳できないわたしの言葉」を持って生きていて、他者を知ることは、その人の「わたし

      • 下町から離れられなかった写真家・木村伊兵衛。  写真展「没後50年 木村伊兵衛 写真に生きる」を見て

        木村伊兵衛写真展「没後50年 木村伊兵衛 写真に生きる」を東京都写真美術館に見に行った。木村伊兵衛は日本を代表する写真家であり、その名前を冠した写真賞は数々の写真家を輩出してきた。日本の写真史を語るうえで欠かすことのできない重鎮である。 木村伊兵衛といえば、市井の名もなき人々やその生活をライカで軽やかに切り取る、スナップ写真の名手であったことは、写真好きなら誰もが知っていると思う。もちろん僕も知っていた。とはいえ、あまり関心はなかった。理由はそのスナップの切れ味と、整った構

        • もうそこにはいないあなたを撮る 森本洋輔 『Yoyogi Park, Shibuya-ku, Tokyo』

          ◾️失恋体験が撮影のきっかけに 『Yoyogi Park, Shibuya-ku, Tokyo』は写真家・森本洋輔さんの初の写真集だ。森本さんは2006年から足掛け17年かけて1,000人以上の女性を撮り続けてきた。そのなかから選んだ130名のポートレート写真に、撮影場所の風景写真を組み合わせた形で編集されている。 この作品のもともとの始まりには、森本さんの失恋体験がある。 2001年に地元香川から写真専門学校への進学で東京に出てきた森本さんは、高校時代から付き合ってい

        「祈り」を撮る 金川晋吾写真展『祈り/長崎』