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「ヴァレンティノ」炎上には”愛”が欠けていた。

いやぁ見事な炎上でした。吉原炎上くらい燃えましたね。もう友近さんのネタでしか聞かない言葉になってるけど。

既に当該コンテンツは削除されてるのですが、こんなビジュアルだったのです。

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結論から言うと、これが物議を醸さないわけがない、ですよね。むしろ公開前から炎上確定だったとも言える。賭けになってたら僕は窮地の藤原竜也のごとく全財産賭けてましたよ。

これを予期できなかった、あるいは賛否両論を狙っていたのか分かりませんが、結末が予想できなかったのだとしたら大変お粗末としか言いようがない。僕はてっきり日本にあまり興味のない欧米の人が作ったのかと思っていたのですが、ディレクターが日本人だったという話も出ている。ガッカリだしビックリですよ。本当に。もし自分がブランドのスタッフだったら、なぜこうなったのか詳しく聞かないとお客さまに納得のいく説明ができません、と言ってると思う。

ブランドもようやく公式に謝罪文を出しましたが「あれは本物の帯じゃなかったんで、、」とエクスキューズの余地を残している。いや本物の帯じゃなかったとしても帯を想起させるものを尻に敷いたり踏んづけたりするのがダメでしょうよ。それがOKなら「”ヴァレンティノ風”のデザインなんで、、」って似た商品が出ても許さないといけませんね。

モデルとして起用されているのはkokiさんで、結果として巻き込まれ事故みたいになってしまった。個人的にも周りの大人を含めてどういうスタンスだったのかな?とは思ってしまうし。

ブランドも、モデルも、ディレクション側も、ファンも、だーれも得していません。お金と時間を掛けて作ったのに、壮大な無駄遣いになってしまった。

どうすれば良かったのか?

そもそも着物は完成度の高いものなので、それを使って別のものをプロモーションしようと思っても並び立たないと思うんですよね。織物を使ったアイテムでリンクしてるとかじゃない限りは引き立て役にはなれない。

現に今回のコンテンツでも構成のマズさを指摘する声も多いし、企画のコンセプト自体が難しかったのではないかと。ほぼ日本限定のプロモーションだったみたいだし、kokiさんがヴァレンティノを着こなす、季節的に桜をイメージさせる、くらいの感じで十分だったんじゃないでしょうか。

ヴァレンティノは既に認知度の高い、歴史のあるハイブランドです。奇を衒わずとも話題にはなります。格式を崩さずどう遊ぶか、みたいな観点でチャレンジして欲しかったなと思います。

真の問題点とは

個人的に最も残念だったことは、ファッションへの愛が感じられなかったことです。

ブランドにも、和服にもリスペクトが感じられなかった。当然文化へも。

ヴァレンティノも歴史ある職人が支えているブランドなのに、結果としてそれも貶めるようなことになってしまった。これは悲しいことですよ、本当に。

最近色々なコラボがあちらこちらで行われていて、業界やジャンルの枠を超えた魅力を届けよう、引き出そうとしている。それ自体はいいことなんですが、ときどき「?」と思うようなものもあり。

そういうときは、大抵コラボ元やそのジャンルへの愛が感じられない。話題になればいい、バズればいい、みたいなことが先行していることが多い。

業界の常識に捉われないのと、タブーを踏み荒すのは明確に違いがあります。

たびたび炎上騒動が起きますが、多くの場合”作り手のエゴ”が優先されている。こういうの面白くね?斬新な切り口でしょ?みたいなのが表に出てしまっているし、明らかに問題ある表現でバズりを狙ったりしている。

評価されるものは、作り手の主張よりも、ブランドやユーザーを大切にする姿勢が見える。話題性よりもリスペクトが感じられます。

年始に話題になった、そごう・西武のレシートの広告はグッと来ましたね、僕は。

百貨店もお客さまと一緒に頑張るぞ、という想いもお客さまへの感謝も伝わる、シンプルで良いPRだったんじゃないでしょうか。変なセンスの披露とか尖った表現とかいらないんですよ。メッセージがしっかりしていれば。

自分もスタイリングで気をつけていますが、スタイリストのエゴが出てしまうと着る人の魅力が見えなくなってしまうことがある。着せ替え人形ではないので、あくまでもその人の魅力を引き出すことが大事であって。

自分がどうスタイリングするかではなく、その人をどう表現するのが一番その人に貢献できるか、自分ではなくその人の評価が高まるかを目的にしないといけない。奇抜な発想や変なサプライズは全く必要ないんです。

センスよりも、愛

どの業界でもセンスは大事です。でもそれ以上にその業界に対する愛みたいなものが必要だし、それがないと続けていけないと思います。

今って、愛があろうがなかろうが「それっぽく」良く見せることが難しくない時代でしょう?それで評判が良ければ続けていくけれど、思ったほど成果に繋がらなかったりちょっと面倒になったらあっけなく放り出したりするケースも多いと感じる。

それが今のやり方だから、と言われたら、そうですねとしか言えません。でもそのジャンルに愛があったら、余程のことがない限りは頑張っていくだろうしお客さまのためにも無責任に放り出すようなことはしないでしょうし、敬意に欠くPRをすることもないでしょう。

やっぱり愛情って大事なんだと。人にも、物にも、コンテンツにも。

僕はその分野に愛がある人の作るものには、ただ要領のいい人や自分を誇示したい人が作るものとは決定的な違いが出ると信じている。そういうのが評価される世の中であってほしいという願いも込めて。

だって自分の愛する世界を蹂躙されるようなことは許せないし、本質的じゃないことはしないという想いや求道的な姿勢があるだろうから。センスなんて後からいくらでも磨けます。

 
今、世界中がストレスに覆われていて、悲しい事件や言動が増えています。だからこそ、愛のある前向きなコンテンツが求められていくのではないかと。

何をやってもいちゃもんが付く難しい時代でもありますが、ストレートに愛を訴えていれば嘘はないし、跳ね返せる強さが生まれると思うんです。

今回の騒動自体はフォローできる要素は少ないけど、ヴァレンティノのデザイナーであるピエル・パオロ・ピッチョーリはブランドをトレンドの一角に押し上げた才能の豊かな人物です。元々は現ディオールのマリア・グラツィア・キウリとのデザイナーユニットで活躍していたのですが、分かれてからもファッション界を席巻しています。

直接関わった担当者はある程度言われても仕方ないけれど、とりあえず謝罪はしたし度を過ぎた攻撃はすべきでないし、なによりブランドとしてのクリエイションは今後を見ていきたい。なんて言うと偉そうですけど、そこは切り離して考えたいところです。この後の動き次第でおのずと評価が決まるでしょう。

これ絶対欲しい!!というアイテムが生み出されるのを待ってますよっ

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