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web3 x インドスタートアップ 便り vol1

昨日 の投稿に続く、現況レポート第2弾でございます。本日は、インドの生活についてと同様でご質問を頂ける「インドのweb3事情」について、簡単に記載させていただきます。引き続き、お楽しみ頂けると幸いです。有識者の方は、誤認識ありましたら、忌憚なき、ご意見を頂けると嬉しいです。

1.インドweb3の全体感

前提として、web3の分散化された世界観、デジタル、リモート上で地理的要素が分散したプロジェクトが推進されている中で、インドのweb3と語るのも、ややおかしな話ではあるのですが、日本が金融規制の関係で、De-fi(分散型金融と言われ、次世代型金融として注目)プレーヤーが限定されており、NFTプロジェクト等が主流となっているごとく、インドならではのweb3のモメンタムは起きてます。

①Polygon

インドのweb3エコシステムを語る上で、欠かせないのが、世界の時価総額ランキング14位、時価総額約1兆1,000億円(2022年9月10日時点)を超えるイーサリアムのレイヤー2ソリューションとして、急成長を遂げているPolygon(ポリゴン)です。

web3に触れていらっしゃる方は、日本でもコミュニティ、事業開発を推進されているため、ご存知かと思いますが、音楽グループPerfumeのNFTプロジェクトでのローンチチェーンとして、ディズニーが展開する2022年アクセラレーター・プログラムに参加する6社のうちの1社選ばれたり、飛ぶ鳥を落とす勢いで成長を遂げております。

左から、ジャインティ・カナニ(共同創設者兼CEO)、サンディープネイルウォール(共同創業者兼COO)、アヌラグ・アルジュン(共同創設者兼 CPO)

共同創業者3名が、インド人ということもあり、インド現地にも、Polygonで働く方々、デベロッパーとして、貢献しているエンジニア等、多くのPolygon関係者に遭遇する機会があります。

②Chingali

Web2から、華麗なるピボットを遂げたweb3 ソーシャル-fiの代表格のChingaliも、Polygon同様、インドのweb3業界を語る上で、外せない存在です。以下がざっくりとした概要ですが、印中問題、不適切コンテンツの影響もあり、TikTokがインド国内で利用禁止となって以降、頭角を表したコピーキャットです。

  • 急成⻑しているショート動画共有モバイルアプリ

  • MAU(月次アクティブユーザー)は、4,000万人程度、DAU(日次アクティブユーザー)は、500万人程度に及ぶ。

  • web3に年始にピボットし、MAU数は2倍、ユーザーの ジオグラフィックも、インド国内から、中国、バングラ デシュ等、グローバルに広がる。

  • プラットフォーム上のコンテンツクリエイターにインセンティブとして利用している。ログイン、動画作成、友人紹介、一つ一つのアクションにGALIトークンが発行される。

偶発的なご縁から、オフィスにご招待いただいて、急成長の裏側を覗かせていただきました。バンガロール中心地から、少し外れた閑静な住宅街にオフィスを構えてます。

外観的には、一軒家を貸し切ったChingali オフィス

こちらが、初期のChingaliのプロダクト開発を支えたリードエンジニアの方。
今のChingaliのプロダクトのコアは、すべて彼が開発したとのことです。web3スタートアップらしく、新機能開発はトークンホルダーの方にリクエストを出していただき、自社の開発組織の機能提案と併せて、投票形式で決定しているとのことです。ユーザーコミュニティのエンゲージメント施策として、興味深い開発手法を取られていると感心しました。

創業初期メンバーのエンジニアリングマネージャー

③moveworld

日本で大人気を博したmove to earnのプロジェクトSTEPN(ステップン)の初期投資家であるアカツキのWeb3特化ファンド「Emoote」さんも投資をされているプロジェクトのmoveworld。

  • プロジェクトゲーム開発、VR/ARのエクスパートであるインド人が 立ち上げた楽しくエクササイズをしながら、稼げるDance to Earnプロジェクト

  • 点群データを用いた画像認識技術を用いて、モーションのシンクロ度合いをスコアリングし、インセンティブを付与するモデル。

  • ユーザーとしては、dance to earnに限らず、自身がダンスコンテンツを提供し、稼ぐことも可能。

  • 将来的には、コンポーザビリティの概念を用いて、他のmove to eanプロジェクトに対して、move to earn機能提供を構想。

ひょんなご縁から、オフィスに遊びに行かせていただくことに。有数の設備環境、オフィス空間デザインの優れたWe Workに入居されてました。

屋上にはプールが付いている希少なWe Work
マーケッター、デザイナー、Founder(開発)のバランスが取れた創業メンバー


2.web3カンファレンス潜入

まだまだ黎明期のインドですが、数百名でいうと初のweb3カンファレンスに参加して参りました。貴重な情報提供とチケットをプレゼント頂いたweb3の師匠の千田さんには深謝します🙏🇮🇳 

①Alchemy

世界197カ国、数百万人のユーザーを支えるブロックチェーン開発プラットフォームのリーディングカンパニーであるAlchemyのエバンジェリストが、来印し、世界第二位のweb3デベロッパー大国であるインドのエンジニアに対して、Alchemyの魅力をプレゼンされてました。

  • web2デベロッパーが、web3デベロッパーにトランジションする上で、必要な教育ツールを提供。使い勝手の高いUX、洗練したUIを通じて、ユーザー数を急増させている。

  • 学習後は、ノードプロバイダーとして、web3プロジェクトに貢献することも可能。今後は、エンジニアの採用プラットフォーム等の可能性も検討し、全てのweb2エンジニアのweb3へのトランジションを支える。

  • 自身で投資機能も内包しており、ノード提供のビジネスの特徴を活用し、プロジェクトのモメンタムをノードリクエストにより察知し、成長角度の高いプロジェクトに投資する。


②Tokocrypto

インドネシア最大級の仮想通貨取引所Tokocryptoの共同創業者も、インドネシアから来印し、新興国における政府、規制との向き合い方、仮想通貨交換所としてのグロースストーリーについて、熱弁されておりました。
登壇されている共同創業者の方と偶然、ホテルのモーニングで相席させていただいたのですが、非常に気さくで謙虚で、政府渉外に長けている雰囲気を醸し出されてました。

  • 政府と対立構造にならないように、いかに一方的にお願いをするのではなく、提案ベースで、窓口関係者との距離を詰めて、同じ方向性を向かせるか、謙虚、粘り強いコミュニケーションが肝要。

  • Tokoは、インドネシア語で、店、店舗の意味。今後は交換所に限らず、NFTマーケットプレイス、ローンチパッドの事業も組み合わせて、コングロマリット化を推進、クリプトコミュニティカフェの運営をする等で、web3のマスアダプションまでの道のりを加速させたいとのこと。

③インベスターズセッション

セコイアインドのキャピタリスト、web3VC、アドバイザーのセッション。
業界経験豊富な方々が、資金調達面等、web2,3のスタートアップの立ち上げ方の違いについて、示唆に富んだディスカッションがされていました。

  • 資金調達については、PMFするまでは、トークンは発行させないで、SAFE+トークンワラントで、出来るだけトークノミクス設計(ベスティング、クリフ等)まで先延ばしにすることが肝要。

  • web3 VCのバリューアップはweb2とは異なり、マーケットメイク、セカンダリーでの売買等、独自のバリューアップを行なっている。

詳しくは、千田さんが分かりやすくまとめられてますので、ご参考にされてください。

来場者分布

あくまでお話しさせていただいた方々を通じたざっくりの所感ですが、来場者の分布は、以下の通りで、圧倒的にブロックチェーンエンジニアが多かった心象です。

1.ブロックチェーンエンジニア(50%)
2.web2からの移行期(20%)
3.web3アントレプレナー(15%)
4.web3コンサル(10%)
5.投資家(5%)

皆さん学生エンジニアで、既に複数のweb3プロジェクトに関われていらっしゃいます。

会場外では、ネットワーキングが熱心に行われており、沢山の有意義な出逢いが創出されているようでした。こういうネットワークの場に行って、改めて痛感するのが、インド人のネットワーク力?(物怖じせず突っ込んていく力)です。会話しているところに、突如カットインしていくスタンス、鈍感力は、本当に感心させられます笑。

中には、前職時代に接点を持たせていただいたFounderとのリアルでの出会い、前々職のインド人同僚の親友との出逢いもあり、世界の狭さを改めて実感しました。

スマホ向けAIキーボードツールを開発する Bobble AIの共同創業者
OYO Japanの第1号エンジニアRohitの学生時代の親友の同じくRohitさん。
新卒で、楽天でエンジニアとして活躍したのち、現在は、web3教育プラットフォームの創業者

今回の開催地は、インド有数のリゾート地であるゴアだった為、会場近くには海辺があり、息抜きに黄昏れることができました。偶然にも、牛の大行進に遭遇し、思わずパシャリ。この辺りの斜め上から来る予想だにしない現象が、インドの趣深さです。この写真の如く、デベロッパー、web2からの移行期の方々、投資家等がカオスに混ざり合う素晴らしいイベントでした。

3.web3ハッカソン潜入

非エンジニアの自分にとって、場違い極まりない雰囲気でしたが、自宅から徒歩5分の場所で、web3ハッカソンが開催されていたため、散歩がてら、会場に潜入して参りました。

2日間にわたり、ホテルに缶詰めとなり、25チーム程度が、web3領域でのプロダクト開発を最小単位で実施するというもの。NEAR、Polygon、Polkadot等のチェーンのデベロッパーがメンターとして、プロジェクトにアドバイスする形式。

約250名のエンジニアが、インド全土から集まり、激しい戦いを繰り広げていました。傍観者として、見ているとウズウズしてきた為、その場でチームを探していたエンジニアに交じらせていただき、即興チームで参加することに(結局タイムオーバーで開発間に合わず、ドロップアウトしました笑)

一丁前なポーズでエンジニアと会話してますが、内容は漫画ナルトについてです。
即興チームで参加したエンジニアメンバー。貴重な機会とご縁に感謝です。

最後の最後まで、審査員の中で激しい議論がされており、拮抗、白熱したバトルが窺い知れるハッカソンでした。Defiのマルチチェーントレード、運用DAOコミュニティのマネージメントツール、スマートコントラクトの脆弱性診断ツール等々が、高い評価を受けてました。

終わりに

最後までご覧いただき、ありがとうございます。少しでも、インドのweb3の状況の片鱗が、垣間見えていただければ幸いです。今後も定期的に発信できるよう、現地での活動を継続できればと思います。また、今回の投稿で、少しでもインドのweb3のエコシステムに興味を持たれ、雑談、ご質問されたい方は、お気軽にDMくださいませ。

  • カンファレンス、ハッカソン共に、学生参加率が異常に高く、この領域に賭ける熱量、熱気を感じる。参加者の居住分布は多様で、プネ、ムンバイ、チェンナイ、デリー、コルカタ、ケララ等、多岐に渡る。

  • デベロッパー大国ということもあり、プロトコル、インフラレイヤーで、ブロックチェーンのスマートコントラクトデベロッパーとして活躍する方々は多数。

  • 他方、XX to Earn、NFT、De-fi、マルチチェーン対応、ZK、スマコンセキュリティ等、幅広いプレーヤーが出てきている状況ではある。

  • Alchemy、Udemy等の教育ツールを通じて、多数のweb2デベロッパーがweb3への移行を果たしており、今後も人材獲得合戦が加速する模様。

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