2020年度の振り返り

今年度の振り返りです。(noteって,こういうこと書くとこじゃない!?)

【業績】

1:出版・公刊されたもの

「出雲方言アクセントの分布と歴史−−2拍名詞4類と5類のアクセントをめぐって」『筑紫語学論叢Ⅲ:日本語の構造と変化』(風間書房) 100-135,2021年3月.

「丸山徹著『キリシタン世紀の言語学−−大航海時代の語学書−−』『南山大学日本文化学科論集』21:37-43,2021年3月.

「奥出雲のことばから「日本祖語」の姿を探る:伝統方言の記述と日本語の歴史」『FIELDPLUS』25:20-22,2021年1月.

2:発表したこと

「出雲方言の格と情報構造」国立国語研究所共同研究プロジェクト「日本の消滅危機言語・方言の記録とドキュメンテーションの作成」令和2年度第1回研究発表会「格・情報構造(本土諸方言)」 2020年6月14日(オンライン).

「伝統方言の記述と比較方法」シンポジウム 「日琉諸方言系統論の展望」 2020年12月19日(オンライン).


【所感】

とにかくコロナに影響された1年で,調査はほとんどできず(オンライン調査もままならず),かと言って,成果公表などもそこまで進まず,でした。唯一年度内に公表できた論文1点(『筑紫〜』所収のもの)と丸山先生のご著書の紹介文については,以下に書きましたので,そちらをご覧ください。

もう1つ書いたものは,フィールドワークに関するエッセイのようなものです。この中で書いたことの一部については,書き直して,学術論文として投稿中ですが,この記事を記事の中にも登場してくる奥出雲の方にお送りしたところ,大変喜んでくださり,そんなに重要な研究ならと,オンライン調査にもとても前向きになってくださいました。来年度,少しずつやっていきたいと思います。

自分の成果はほとんど出せませんでしたが,今年は9人の学生さんが私のところで卒業論文を書かれました。どの卒論も力作でした。いくつかのものは,学会で発表しても良いレベルのものだと思っています。

日本語史(文献)も方言も,どちらもやるのが,私自身の研究の売りであり,また,私のゼミの売りだとも思っています。次に入ってくるゼミ生さんたちのゼミ志望理由書を読んでいても,やはり方言研究の方に「人気」は偏っているように思いますが,日本語史研究の魅力を伝え,その伝統は保っていきたいと思います。もちろん,そうすることで(どちらもやることで),私がやらねばならないこと(指導のために学ばねばならないこと)は増えるわけですが,それも,私を研究者・教育者として成長させてくれるものと思って,やっていきます。

コロナ対応,という点では,九大の下地さんが先頭にお立ちになり,企画された「Covid-19の影響下における方言研究のあり方を模索するWS」(第一弾は2020年5月,第二弾は2021年3月開催)で発表したり,東大の小西さんが中心に管理してくださっている「オンライン調査対応日琉方言話者紹介」(http://www.l.u-tokyo.ac.jp/~ikonishi/dialectspkrs/dialectspkrs.html)にも少しだけ携わっています。第二弾のことについては,以下の記事にも書きました。

このWSの席上,私のゼミでの指導とかについて,とてもポジティブに捉えてくださる方がいて,とても嬉しく思ったのですが,私としては,学生が迷わないように,というのもありましたが,一方で,指導しすぎかも,手を入れすぎかも,と思うこともありました。理想は「卒論の添削をしなくても,卒論を書く段階にあっては,既に論文の書き方も,言語学的な考え方も身についている」というところなのですが,難しいところです。

昨日は,このWSで発表をしてくれたゼミ生(もう卒業生?)を労うために,オンラインで少し飲みました。お疲れ様,ありがとう。


そういうわけで,今年度も終わりです。次回は,新年度の抱負でも書きたいと思います。(noteって,こういうこと書くとこじゃない!?)応募中の科研の採択結果を待ちます。